無頼の画家 曾我蕭白
1,540円(税込)
発売日:2009/01/23
- 書籍
奇天烈御免! めくるめく“水墨サイケデリック”の世界へようこそ。
舞台は江戸中期の京都・伊勢・播磨。悪夢のような凄まじい画から、軽妙洒脱な水墨画やドラマチックな山水画までを易々と描ききる、型破りの絵師がいた。その名は蕭白。裕福な商家に生まれるも十代で両親を亡くし、ひとり人生の荒波に立ち向かう。筆一本でどん底から這い上がった叩き上げ画家の尋常ならざる作品世界を、とくとご覧あれ!
本書では“観音開き”を導入、六曲一双の屏風も一挙に見せています。
(作品は《林和靖図屏風》)
2005年サンフランシスコで開催された、18世紀の京都画壇を紹介する展覧会“TRADITIONS UNBOUND”の図録より。蕭白作品、中でもこの《寒山拾得図屏風》は話題を呼んだという。
【解説】狩野博幸
第弐章 奇ッ怪大作戦
第参章 瀟洒なテクニシャン
第四章 通俗ばんざい!
第五章 濃密山水
芸術の魔界に踏み込んだ画家
〈1〉迷画つくります
〈2〉そのサイン、出鱈目につき
〈3〉蕭白お騒がせ行状記
〈4〉近年出現の蕭白作品
書誌情報
読み仮名 | ブライノガカソガショウハク |
---|---|
シリーズ名 | とんぼの本 |
雑誌から生まれた本 | 芸術新潮から生まれた本 |
発行形態 | 書籍 |
判型 | A5判 |
頁数 | 128ページ |
ISBN | 978-4-10-602184-8 |
C-CODE | 0371 |
ジャンル | 芸術一般、画家・写真家・建築家 |
定価 | 1,540円 |
関連画像
担当編集者のひとこと
無頼の画家 曾我蕭白
昨年1月刊行の『異能の画家 伊藤若冲』に続いてお届けする、異色の日本画家シリーズ第二弾は曾我蕭白です。若冲と同時代(生年は14年後)、やはり京都の商家に生まれた蕭白ですが、10代で家族が次々に亡くなり、自活を余儀なくされてしまいます。終生、経済的には恵まれ、悠々と描き続けた若冲とは対照的に、筆一本で立たなければ食うに困る。そんな追いつめられた境遇で、みごとに才能を開花させた蕭白の画からは、鬼気迫るものが感じられます。 妖しく奇怪な登場人物たち、狂おしいほどのダイナミズムみなぎる画面は、私たちを圧倒し、魅了します。いっぽうで、抜群のテクニックを駆使して描いた端整かつ緻密な水墨画や山水画もあるから、この画家の底力ははかりしれません。
2005年、京都国立博物館における「曾我蕭白―無頼という愉悦―」展を仕掛けた現・同志社大学教授、狩野博幸先生の明快かつ深遠な解説と、蕭白をこよなく愛する美術家・横尾忠則さんのエッセイで、蕭白の作品世界を余すところなくご紹介します。
2009/01/23
著者プロフィール
狩野博幸
カノ・ヒロユキ
1947年福岡県生まれ、同志社大学文化情報学部教授。九州大学大学院博士課程中退。京都国立博物館を経て、現職。博物館時代には「没後二○○年 若冲展を手掛け、若冲ブームの火付け役に。専門は桃山絵画、江戸絵画。著書に『異能の画家 伊藤若冲』(新潮社、共著)、『江戸絵画の不都合な真実』(筑摩書房)など。
横尾忠則
ヨコオ・タダノリ
1936年兵庫県生まれ。美術家。1969年パリ青年ビエンナーレ展版画部門でグランプリを受賞し、1972年にニューヨーク近代美術館で個展を開催。その後もパリ、ベネチア、サンパウロ、バングラデシュほか各国のビエンナーレに出品するなど国際的に活躍。1997年兵庫県立近代美術館、神奈川県立近代美術館、2001年富山県立近代美術館、原美術館、2002年東京都現代美術館、広島市現代美術館、2003年京都国立近代美術館、2005年熊本市現代美術館、2006年カルティエ現代美術財団(パリ)、2008年世田谷美術館、兵庫県立美術館、フリードマン・ベンダ・ギャラリー(ニューヨーク)など国内外の美術館で個展を開催。1995年毎日芸術賞、2000年ニューヨークADC Hall of Fame受賞。2001年紫綬褒章受章。2006年日本文化デザイン大賞受賞など多数。また小説『ぶるうらんど』では2008年度泉鏡花文学賞を受賞した。主な作品集・著書に、『インドヘ』、『コブナ少年』(ともに文春文庫)、小説『ぶるうらんど』、『人工庭園』(ともに文藝春秋)、『温泉主義』(新潮社)、『隠居宣言』(平凡社新書)、『Y字路』(東方出版)、“Tadanori Yokoo:Tokyo,December 2005”(Thames&Hudson)。