イタリア古寺巡礼 ミラノ→ヴェネツィア
1,870円(税込)
発売日:2010/09/24
- 書籍
十字軍、カノッサの屈辱、マルコ・ポーロ――イタリアは「中世」がおもしろい!
ミラノ、パルマ、ラヴェンナ、ヴェネツィア――北イタリアの都市は中世にかたちづくられた。世界遺産からアルプスの隠れ里まで、北イタリアの12の中世教会を訪ね、美術と歴史の魅力を案内。北と南、東と西の民族・文化が交差した中世の北イタリアは、「ヨーロッパ」の原点だった。中世ヨーロッパの教会をめぐる「古寺巡礼」シリーズ第1弾!
中世的世界の幕開け サンタンブロージョ聖堂
看板建築の起源 サン・ミケーレ・マッジョーレ聖堂
山上に残された絶品 サン・ピエトロ・アル・モンテ聖堂
ロマネスクとジュリエット サン・ゼノ・マッジョーレ聖堂
アルプスの小聖堂 アッピアーノ城礼拝堂
古代と中世のかたち サンタ・マリア・イン・ヴァッレ修道院聖堂祈祷堂
寄せ集めの聖地 サン・マルコ大聖堂
聖母の島へ サンタ・マリア・アッスンタ大聖堂
平原に聳える名塔 サンタ・マリア修道院聖堂
モザイクと東ローマ帝国の栄華 サン・ヴィターレ聖堂
教会建築のお手本 モデナ大聖堂
中世とルネサンスの競演 パルマ大聖堂
1 キリスト降誕
2 ペテロの耳切り
3 サロメの踊り
1 ユスティニアヌス帝のラヴェンナ攻略
2 レニャーノの戦い
3 マルコ・ポーロの『驚異の書』
書誌情報
読み仮名 | イタリアコジジュンレイミラノヴェネツィア |
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シリーズ名 | とんぼの本 |
発行形態 | 書籍 |
判型 | A5判 |
頁数 | 160ページ |
ISBN | 978-4-10-602207-4 |
C-CODE | 0326 |
ジャンル | 世界史 |
定価 | 1,870円 |
担当編集者のひとこと
イタリア古寺巡礼 ミラノ→ヴェネツィア
この本の取材で北イタリアを訪れたのは、今年の3月です。約2週間で15カ所の教会をまわりました。ミラノからパルマやラヴェンナを経てヴェネツィアへ到り、そこで折返してヴェローナからドロミテの山を上り下りし、またミラノへ戻る、という旅路でした。
3月の北イタリアはまだ寒くて、パルマは大雪でした。旧市街の地下駐車場へ降りてゆくとき、積雪で車がソリになってしまったり。
著者のおふたりと同行しましたが、通訳と車の運転を担当してくれたのは、スポレート在住の粉川妙さん。著書のあるフードライターの方でしたので、毎回の食事(店)が楽しみになりました。ラヴェンナでは営業時間外に、シェフたちとともに賄い料理を食べたり。ヴェローナで注文した「ボイリートミスト」は、初めて食べましたが、いろんな部位の肉を、ちょうど日本のおでん鍋のような四角い鍋で煮込んだ料理で、眼の前で切りわけてくれます。体が温まるし、フルーツの唐辛子漬けなど付けあわせも多彩で飽きません。
イタリアの教会めぐりの本はいくつもあると思うのですが、本書の特色は、時代を「中世」の教会に絞ったことです。ヨーロッパの中世では、歴史的にも南北、東西の民族・文化が交錯しつつ、キリスト教によって融合し、「ヨーロッパ」というものが生れました。また美術史でも同じく、「ヨーロッパ美術」すなわち「西洋美術」が生れた時代でした。その美術は生れたばかりなので、まだ細かい約束事もなく、自由で、奔放で、ときに愉快です。展覧会等で見る機会の少ない「中世美術」は、日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、「西洋美術とは何か」だけでなく、洋の東西をこえて「美術とは何か」を考えるときのヒントを与えてくれます。
来年もまた「古寺巡礼」に出る予定です。イタリアかどうかはまだ決めていませんが、ヨーロッパ中世の教会をめぐるこの「古寺巡礼」シリーズを、1年に1冊ずつ、刊行してゆければと考えています。
2010/09/24
著者プロフィール
金沢百枝
カナザワ・モモエ
美術史家。西洋中世美術、主にロマネスク美術を研究。東京都生まれ。インドで育ち、英国で教育を受けた後、東京大学大学院理学系研究科及び総合文化研究科にて博士号取得(理学・学術)。多摩美術大学美術学部芸術学科教授、アートとデザインの人類学研究所員。著書に『ロマネスクの宇宙 ジローナの《天地創造の刺繡布》を読む』(島田謹二記念学藝賞)、『ロマネスク美術革命』(サントリー学芸賞)、共著に『イタリア古寺巡礼 ミラノ→ヴェネツィア』などがある。『工芸青花』でロマネスク美術について連載中。
小澤実
オザワ・ミノル
歴史家。立教大学文学部史学科准教授。西洋中世史を研究。1973年愛媛県生れ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。共著に『ヨーロッパの中世3 辺境のダイナミズム』(岩波書店)、『イタリア古寺巡礼 ミラノ→ヴェネツィア』『イタリア古寺巡礼 フィレンツェ→アッシジ』(ともに新潮社とんぼの本)。