イタリア古寺巡礼 シチリア→ナポリ
1,760円(税込)
発売日:2012/11/22
- 書籍
モモ先生が案内する、秘境のキリスト教美術。
中世のシチリアと南イタリアは、アラブとヨーロッパ世界をつなぐ「知の発信地」だった。ヴァイキングの末裔ノルマン人が築いた王国の建築・美術・歴史をめぐる旅。シチリアの壮麗なモザイク、マテーラの知られざる洞窟教会、プーリアの愉快なロマネスクと名王フリードリヒ2世の驚異の城――イタリアは中世がおもしろい!
金沢百枝
パレルモ・Palermo
アラブとノルマンの都
エリチェ・Erice
お菓子とヴィーナス
【カラブリア州|Calabria】
スティロ・Stilo
山路こえて
【バジリカータ州|Basilicata】
マテーラ・Matera
花咲く洞窟
【プーリア州|Puglia】
オトラント・Otranto
ロマネスクのDIY
ブリンディシ・Brindisi
柱頭の動物たち
トラーニ・Trani
中世建築の美しさ
【カンパーニア州|Campania】
ナポリ・Napoli
素敵なカオス
ノルマン人
ヴァイキングの末裔がシチリアの王になる
フリードリヒ2世
「世界の驚異」と呼ばれた名王
小澤実
書誌情報
読み仮名 | イタリアコジジュンレイシチリアナポリ |
---|---|
シリーズ名 | とんぼの本 |
発行形態 | 書籍 |
判型 | B5判変型 |
頁数 | 128ページ |
ISBN | 978-4-10-602238-8 |
C-CODE | 0326 |
ジャンル | 歴史・地理・旅行記 |
定価 | 1,760円 |
担当編集者のひとこと
イタリア古寺巡礼 シチリア→ナポリ
著者の金沢さんから、もう10年近くまえに教えてもらった本に、フランスの「ゾディアック」シリーズがあります。ヨーロッパ各地に残る、中世の、それもロマネスク時代の聖堂建築と美術(壁画や彫刻)を、地域ごとに、写真と文章で案内したもので、たしか88冊出ているそうです。
古い本で、写真もほとんどが白黒ですが、そのてらいのない撮り方が、やはりてらいのないロマネスクの空間と、石の質感をまっすぐに伝えてくれます。いっぽう壁画や彫刻の写真は、キリストの指とか、熊の顔面とか、ぐっと近よって撮った写真も多く、取材者の心のはずみが伝わってきます。そういえば写真家の名取洋之助にも『ロマネスク』という写真集があって、「え?」と思うくらい、寄った写真ばかりです。たしかにロマネスクの彫刻や壁画は、そうやって見るとより楽しい。ゾディアックのシリーズは、フランス人の修道士ふたりがはじめたそうです。取材もふたりで出かけていたようで、以前金沢さんに、ふたりの写真を見せてもらったことがあります。木製の三脚に、大きな暗箱のカメラ。ひとりは撮影役で、もうひとりはカメラが雨にぬれないように、傘をひろげていました。ふたりとも修道服姿でした。
金沢さんも私も、その写真が大好きです。今回で3冊目になる「古寺巡礼」シリーズは、そんなふうにしてゾディアック・シリーズをつくりつづけた修道士たちにたいする、敬意と憧憬の思いからはじめました。
2016/04/27
著者プロフィール
金沢百枝
カナザワ・モモエ
美術史家。西洋中世美術、主にロマネスク美術を研究。東京都生まれ。インドで育ち、英国で教育を受けた後、東京大学大学院理学系研究科及び総合文化研究科にて博士号取得(理学・学術)。多摩美術大学美術学部芸術学科教授、アートとデザインの人類学研究所員。著書に『ロマネスクの宇宙 ジローナの《天地創造の刺繡布》を読む』(島田謹二記念学藝賞)、『ロマネスク美術革命』(サントリー学芸賞)、共著に『イタリア古寺巡礼 ミラノ→ヴェネツィア』などがある。『工芸青花』でロマネスク美術について連載中。
小澤実
オザワ・ミノル
歴史家。立教大学文学部史学科准教授。西洋中世史を研究。1973年愛媛県生れ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。共著に『ヨーロッパの中世3 辺境のダイナミズム』(岩波書店)、『イタリア古寺巡礼 ミラノ→ヴェネツィア』『イタリア古寺巡礼 フィレンツェ→アッシジ』(ともに新潮社とんぼの本)。