江戸の献立
1,760円(税込)
発売日:2013/01/30
- 書籍
江戸の人々はどんな献立を、どんな思いで食べていたのか? 名人が再現!
素材も調理法も食べかたも、いわゆる「日本料理」は江戸時代に始まった。水戸黄門の宴会料理や滝沢馬琴のある日の昼餐、お伊勢参りの旅籠の食事や、元禄御畳奉行の深酒の晩など、著名人から無名の武士まで古文献にもとづく献立を、名店「なべ家」主人が正確に再現。当時の食卓をかこむ人々の心に寄りそうエッセイ、レシピも充実。
案内 江戸時代の食文化 松下幸子
年表 江戸時代の食と社会
料理の再現について 福田浩
おわりに 松下幸子
書誌情報
読み仮名 | エドノコンダテ |
---|---|
シリーズ名 | とんぼの本 |
雑誌から生まれた本 | 小説新潮から生まれた本 |
発行形態 | 書籍 |
判型 | B5判変型 |
頁数 | 128ページ |
ISBN | 978-4-10-602239-5 |
C-CODE | 0377 |
ジャンル | 文学賞受賞作家、クッキング・レシピ |
定価 | 1,760円 |
担当編集者のひとこと
江戸の献立
編集作業も大詰めを迎えていた昨年11月下旬、東京・大塚のなべ屋さんに追加撮影のためにうかがう機会がありました。ご主人の福田浩さんにご案内いただき、厨房で調理されているところを撮影。もくもくと調理をされているそのお姿は、何とも言えず素敵でした。
撮影の合間にうかがったお話で印象的だったのが、包丁の話です。刺身包丁の形が関東は刃先まで四角くなっていて、関西のそれとは異なるということ。包丁そのものとしては刃先が丸くなっている関西のものの方が使いやすいそうなのですが、福田さん、お料理の種類によってあえて関東のものを使われるとか。今回の本では関東の包丁を使ってお料理をされています。料理を盛りつける器についても、「再現」を目指す以上は江戸時代かそれ以前のものを使うのが肝要とおっしゃっていました。お料理は当時のものなのに、器が現代のものでは興醒めだと。料理に用いる道具ひとつ、器ひとつおろそかにしないその姿勢が印象的でした。
そんな福田さんが再現された献立についてのエッセイは松井今朝子さん。ご実家が京都で料亭を営まれていた松井さんの文章ではじめて知る関東と関西の食文化の違いも多かったです。
詳細なレシピがついているので、がんばればご家庭でも江戸時代の献立が再現できるかも!? ぜひ挑戦してみてください。
2016/04/27
著者プロフィール
福田浩
フクダ・ヒロシ
料理家。大塚「なべ家」主人。1935年東京都生れ。早稲田大学文学部卒業。家業のかたわら古い料理書の研究や江戸時代料理の再現に力を注ぐ。著書に『完本 大江戸料理帖』(新潮社とんぼの本)、共著に『江戸料理百選』(2001年社)、『料理いろは庖丁』(柴田書店)、『豆腐百珍』(新潮社とんぼの本)など。
松下幸子
マツシタ・サチコ
食文化研究家。千葉大学名誉教授。1925年生れ。東京女子高等師範学校家政科卒業。調理学を経て、江戸時代の料理書研究を専門とする。著書に『江戸料理読本』(ちくま学芸文庫)、『祝いの食文化』(東京美術)、『図説 江戸料理事典』(柏書房)、『錦絵が語る江戸の食』(遊子館)など。
松井今朝子
マツイ・ケサコ
1953(昭和28)年、京都生れ。早稲田大学大学院修士課程を修了後、松竹株式会社に入社。歌舞伎の企画・制作にたずさわる。退社後は武智鉄二氏に師事し、歌舞伎の演出・評論などを手がける。1997(平成9)年、『東洲しゃらくさし』で作家としてデビュー。同年、『仲蔵狂乱』で時代小説大賞を受賞。2007年、『吉原手引草』で直木賞を受賞する。『幕末あどれさん』『非道、行ずべからず』『似せ者』『辰巳屋疑獄』『家、家にあらず』『銀座開化おもかげ草紙』『道絶えずば、また』『円朝の女』などの著書がある。