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パリ、NY、中南米、東アジア――。10の時代×土地でたどる傑作。

旅する画家 藤田嗣治

林洋子/監修

2,268円(税込)

本の仕様

発売日:2018/09/27

読み仮名 タビスルガカフジタツグハル 
シリーズ名 とんぼの本
装幀 展覧会を開くために訪れたニューヨークにて。1930年(C)Bridgeman Images/カバー表、PPS通信社/カバー表、中村香織/ブックデザイン、nakaban/シンボルマーク
発行形態 書籍
判型 B5判変型
頁数 142ページ
ISBN 978-4-10-602285-2
C-CODE 0371
ジャンル 絵画、絵画
定価 2,268円

フランスと日本だけじゃない。「乳白色の裸婦像」や「戦争画」で知られる画家は、生涯にわたり世界各地を旅し、描き続けた。1920年代のパリ、30年代の中南米、40年代のアジア、そしてNY……。旅の体験はいかに作品に結実していったのか。旅の足跡をたどりながら、傑作を読みなおす決定版。没後50年記念刊行。

著者プロフィール

林洋子 ハヤシ・ヨウコ

美術史家。文化庁芸術文化調査官。1965年、京都市生れ。東京大学大学院修士課程修了。パリ第一大学文学博士。東京都現代美術館学芸員、京都造形芸術大学准教授を経て現職。おもな著書に『藤田嗣治 作品をひらく 旅・手仕事・日本』(名古屋大学出版会/サントリー学芸賞、渋沢・クローデル賞ルイ・ヴィトン ジャパン特別賞ほか受賞)、『藤田嗣治 手しごとの家』『藤田嗣治 本のしごと』『藤田嗣治 手紙の森へ』(すべて集英社新書ヴィジュアル版)、編著に『藤田嗣治 妻とみへの手紙 1913-1916』上下巻(人文書院)、『藤田嗣治 戦時下に書く 新聞・雑誌寄稿集 1935〜1956年』(ミネルヴァ書房)など。監修を手掛けた展覧会に「没後50年 藤田嗣治 本のしごと―文字を装う絵の世界―」(2018〜19年、西宮市大谷記念美術館、目黒区美術館ほか)、「没後50年 藤田嗣治展」(2018年、東京都美術館、京都国立近代美術館)など。

目次

はじめに

藤田嗣治の世界地図
パリとフランス 中南米 東京と日本


東京 1886-1913
生まれは牛込・大曲

パリ 1913-1920
モノクロームの「パリ周縁」と城壁

パリ 1921-1926
モンパルナスの乳白色の裸婦たち

パリ 1927-1930
壁画の中の日本

中南米 1930-1933
色彩と非西洋との出会い

日本 1933-1938
東北から沖縄まで、母国再発見の旅

極東アジア 1938-1949
戦地に赴く、戦争を描く

ニューヨーク 1949-1950
みじかくも、実り多き滞在

パリ 1950-1961
郷愁の街と子どもたち

ヴィリエ=ル=バクルとランス 1961-1968
手しごとの家と祈りの空間

年譜 旅して、描いた81年

インタビュー/対談/エッセイ

乳白色の裸婦像と戦争画をつなぐ

とんぼの本編集室

 1920年代のパリを魅了した、浮世絵を彷彿とさせる艶やかな「乳白色の裸婦像」。日本軍からの依頼で制作した、一面茶褐色の画面に兵士たちが絡み合う凄惨な戦争画ーー。
 藤田嗣治(1886~1968)はその波乱に富んだ人生もさることながら、作風も振り幅が大きい画家です。時代とともに変化してゆく作品が、人々を惹きつける一方で、「思想がない」などといった厳しい評価にもつながりました。
 本書はそんな藤田作品を「旅」というキーワードで読み解いてゆく一冊です。
 藤田といえば、その半生を過ごしたフランスの印象が強いかもしれません。しかし実は、フランスのみならず、生涯にわたり、旅と移動をつづけ、世界各地へ赴いた画家でした。1910~20年代のパリを皮切りに、1930年代には中南米を遍歴。戦前の日本では東北から沖縄までを巡り、母国を再発見します。1940年代に入ると、戦争画制作のために従軍画家としてアジア各地へ。戦後はニューヨークにも1年ほど滞在し、再びパリに腰を落ち着けてからも、個展や取材のためにヨーロッパ各地、ときにはアフリカ大陸にまで足を延ばしています。同時代の日本人画家と比較しても驚くほどの行動範囲です。自著でも「地球を三周した」と述べていますが、これは欧州航路で日本からフランスへ、大西洋航路でフランスからアメリカへ、太平洋航路でアメリカから日本へ……とまさに地球を船でぐるりと周った実感から生まれた言葉でしょう。
 そして、これらの移動先、旅先で藤田は何を見て、何を描いたのか? 丹念にその経緯を追ってゆくと、異文化との出会いが、制作に大きな役割を果たしていることがわかります。たとえばパリではモノクロームで描かれていた白人の裸婦像が、中南米旅行を経て、色彩豊かな有色人種の群像へ変化する。これまであまり重要視されてこなかった旅先の現地風俗を描いた作品は、「乳白色の裸婦像」と「戦争画」をつなぐ線となっているのです。
 また旅先だけでなく、暮らした土地も重要です。少年期・青年期を過ごした、江戸情緒がのこる明治東京。藤田の原風景ともいえる、その情景が、のちの定住地・パリで発見する光景、描く作品とどのように結びついてゆくのか。是非、巻頭に付したパリや東京、そして世界地図もあわせて、解説をご覧いただければと思います。
 本書は、現在開催中の展覧会「没後50年 藤田嗣治展」で監修をつとめる美術史家の林洋子さんに監修していただきました。林さんが2008年に上梓した『藤田嗣治 作品をひらく 旅・手仕事・日本』(名古屋大学出版会)はまさに、藤田の空間(と時間)の旅を軸に作品の変遷を仔細に追った、その後の藤田研究の道標ともなった労作です。同書に多くを負いつつも、この十数年で格段に進んだ研究の成果も盛り込み、藤田の画業を最新の情報をもって俯瞰できる、恰好の入門書となっています。

波 2018年10月号より

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