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私の幕末維新史

渡辺京二/著

1,760円(税込)

発売日:2025/12/17

  • 書籍
  • 電子書籍あり

「色眼鏡」を外すと歴史はこんなに面白い!

「幕府は薩長に倒されたのではなく自壊した」「尊王攘夷が盛り上がった理由は日本人の“京都敬い”」「吉田松陰の面白さは馬鹿げていて愚直なところ」「外国人が幕末の人々に感じた頭の良さと狡猾さ」「大久保にない西郷の人間的な魅力」……『逝きし世の面影』の著者が、黒船来航で始まる激動期を独自の視座から捉え直す。

目次

はじめに 池澤夏樹

第一回 幕藩封建体制の崩壊
「マルクス主義」的思考の捩れ/武士はサラリーマン/ピンキリだった石高/藩は巨大な官僚組織/「番方」という軍役/家臣団と藩行政/人材登用制度としての藩校/科挙制度の日本的変形/幕藩体制の硬柔構造/惰弱になった江戸の旗本/幕府の鎮圧軍トップが落馬/会津落城血涙の悲話/地方に残る武士道の遺風/「塩がおかず」の貧困生活/「太平無事」な武士の日常/水戸の猫は飼い主思い/年貢収奪という体制矛盾/伝統からの逸脱が起こす農民一揆/「切り捨て御免」は本当か/武士階級の自壊/借金で首が回らない大名や旗本/田中正造の対「高家」闘争/「啓蒙藩主」による重商政策/庄屋層の台頭/お百姓さんの平和な小宇宙/維新の原動力となった二つの階層

第二回 尊王攘夷と吉田松陰
開国と攘夷のうねり/将軍継嗣問題と安政の大獄/長州藩と薩摩藩/久光の「率兵上京」/雄藩連合による意思決定/立憲主義の萌芽/「養君論」と条約締結問題/開明的幕臣は一橋派/島津家と近衛家の深い関係/幕府と朝廷の権威逆転/天皇への畏敬の念/勅使派遣に二条城は大混乱/京都所司代より位が高い貧乏公家/尊王論の諸相/草莽思想の屈折した国民意識/排外主義は自然な感情/豊かで自足的な社会/機械文明以前で最高の物質文化/平和と専制の桃源郷/開国が招いた物価高騰/日本人に芽生えた危機意識/「狂」の人・吉田松陰/ヒューマニストか? 侵略主義者か?/情が極まると理になる/「僕は忠義をするつもり、諸友は功業をなすつもり」/「草莽崛起」の志

第三回 文久から慶応まで
勅語による幕政改革/朝廷から幕府に突きつけられた改革案/参勤交代緩和や礼式簡素化/長州の「京都手入れ」/鹿児島砲撃に発展する生麦事件/三条実美の「攘夷決行」要求/将軍家茂は敵地・京都へ/薩会クーデターに足をすくわれる長州藩/天誅組の挙兵/百姓は勝つ方に味方する/互角の戦いだった薩英戦争/京都奪還を試みる長州/西郷復活と「禁門の変」/四国艦隊砲撃で「泣きっ面に蜂」/第一次長州征伐と高杉のクーデター/天狗党の筑波山挙兵/地に落ちた幕府の声望/幕府を見限った薩摩/木戸を包み込んだ西郷の度量/第二次長州征伐失敗/将軍家茂と孝明天皇の死去/遅すぎた幕府の軍制改革/先手を打った慶喜/「討幕の密勅」と「王政復古の大号令」/薩摩の挑発に乗った慶喜/箱館で戦死した浦賀の与力

第四回 外国人が見た幕末日本
日米和親条約と修好通商条約/開国を促す二人の外国人/西欧派ロシア人と旅する英国人女性/他のアジアにはない独自性/利口で優秀で嘘つき/嘘を指摘するのは「野暮」という文化/柔弱で礼儀を重んじる武士階級/怒らないのが大人の対応/「質素と正直の黄金時代」/鉱山は子孫に残すという美徳/支配者層と庶民の断絶/ロシア人に響いた老旗本の善意/貧しくても勤勉な東北人/なぜ封建社会は葬り去られたか/消えた「古き良き日本」

第五回 西郷隆盛という人
血染めの衣を譲り受ける/斉彬の「庭方役」/二人で錦江湾に身投げ/奄美大島での潜居生活/久光公は「田舎者」/気質の異なる二人/二回目の島流し/「馬鹿らしき忠義立ては取りやめ申し候」/挫折者の自覚と志士たる責任感/門閥制度解消運動/太政官政府の陣容/実務に強い肥前閥/西郷留守政府の急進的改革/条約改正の頓挫/木戸孝允の挫折/江藤新平による汚職追及/出る幕のない岩倉使節団/「征韓論」の浮上/草梁倭館の貼り紙/西郷隆盛の本意/征韓派の一斉下野/「近代日本」の作り方をめぐる対立

幕末維新史年表

書誌情報

読み仮名 ワタシノバクマツイシンシ
シリーズ名 新潮選書
装幀 駒井哲郎/シンボルマーク、新潮社装幀室/装幀
発行形態 書籍、電子書籍
判型 四六判変型
頁数 224ページ
ISBN 978-4-10-603939-3
C-CODE 0321
ジャンル 日本史
定価 1,760円
電子書籍 価格 1,760円
電子書籍 配信開始日 2025/12/17

著者プロフィール

渡辺京二

ワタナベ・キョウジ

(1930-2022)1930年京都生まれ。大連一中、旧制第五高等学校文科を経て、法政大学社会学部卒業。日本近代史家。主な著書に『北一輝』(毎日出版文化賞)、『逝きし世の面影』(和辻哲郎文化賞)、『日本近世の起源』、『江戸という幻景』、『黒船前夜』(大佛次郎賞)、『未踏の野を過ぎて』、『もうひとつのこの世』、『万象の訪れ』、『幻影の明治』、『無名の人生』、『日本詩歌思出草』、『バテレンの世紀』(読売文学賞)、『小さきものの近代』他。2022年没。

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