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楔形文字が語る古代オリエント─都市と文明の興亡史─

小林登志子/著

1,980円(税込)

発売日:2026/04/22

  • 書籍
  • 電子書籍あり

文明発祥地の古代都市で繰り広げられた様々な人間ドラマ!

王から后妃への手紙、留守番の妻から単身赴任の夫への私信、子供向けの「なぞなぞ」、麦についての会計簿、世界最初の平和条約……太古の粘土板に刻まれた楔形文字を読み解き、彼らの肉声に耳を傾ける。ウルク、アッカド、ニネヴェなど古代オリエントで輝きを放った諸都市を周遊する気分を味わえる、最良のガイドブック!

目次

はじめに

序章 都市とは─ギルガメシュの城壁─

一 古代文明発祥の地
「都市があった」/共通の経済概念/奇妙な「都市印章」印影図/都市文明は「イラク湖沼地帯」から/前二四世紀頃の「なぞなぞ」/「(両)河の間の土地」メソポタミア/「両河の賜物」/人々が定住したウバイド文化期/都市文明がはじまるウルク文化期
二 都市を定義すると
三つの地区から成立する都市/人口はどれくらいだったか/都市国家はいくつあったか/都市国家の形
三 城壁で囲まれる都市
楽しい都市生活/ベベルド・リム・ボウルの大量出土/ギルガメシュ神が建てた城壁/城壁の破壊すなわち都市の崩壊/城壁冠

第一章 ウルク─文字が生まれ、英雄も生まれた都─

一 最初の都市ウルク
文字を考案したエンメルカル王/最古の文字が記された粘土板/『イナンナ女神とエンキ神』神話が語っていること/「ウルク出土の大杯」に見られる豊饒の風景/交易は必須条件/植民都市ハブバ・カビーラ南遺跡
二 ウルクで生まれた文字
円筒印章の出現/トークンが文字の祖型/複合トークンからウルク古拙文字へ/ウルク古拙文字で書かれた会計簿/古拙文字から楔形文字へ
三 英雄たちの誕生
ウルクの伝説の王たち/威信財ラピスラズリ/求められた木材/実在したエンメバラゲシ王/エジプトに残された「ウルクの王」/エジプト人の選択/シュメルを統一したウルクの王/ウルクの終焉

第二章 ラガシュ─饒舌な王たち─

一 シュメル語粘土板文書の出土
ウルイニムギナ王の弁明/出土品のほとんどはルーヴル美術館へ/複数の地区から成立するラガシュ市/王碑文と会計簿
二 王碑文を記したウルナンシェ王朝
ウルナンシェ王朝はじまる/日本まで伝わった定礎埋蔵物の習慣/エンメテナ王の祈願者像/エンメテナ王の戦争と外交/ファースト・レディーの外交/エンメテナ王の「徳政」/エミの会計簿が伝える社会/アッカド王朝との戦い
三 グデア王の時代
不安定なグデア王朝/多数のグデア王像/アダド・ナディン・アッヘの定礎碑

第三章 アッカド─どこにあるのか最古の帝都─

一 サルゴン王の覇業
上の海から下の海までの支配/ニネヴェ出土「アッカド王頭部像」/アッカド人は文明人/『サルゴン伝説』/シュメル・アッカド統一/ティルムン、マガンそしてメルッハ
二 文字にこだわるアッカド文化
才媛エンヘドゥアンナ王女/封筒のはじまり/『クタ伝説』
三 シュメル諸都市の反乱
リムシュ王が手こずったシュメルの反乱/マニシュトゥシュ王のオベリスク
四 神格化されたナラム・シン王
「四方世界の王」/ペルシア湾から地中海、ザグロス山脈へ/「ナラム・シン王の戦勝碑」
五 アッカド語は残った
衰退するアッカド王朝/共通語はアッカド語

第四章 ウル─なぞの王墓と、法典と─

一 豊かなシュメル文化
『猿の手紙』/生活に余裕のある社会/ウル遺跡の発掘
二 なぞのウル王墓
被葬者は誰か/「ウルのスタンダード」が語る王の責務/「戦争の場面」/「饗宴の場面」/道化──王権を永続的に守る仕組み
三 ウルナンム王による支配
ウルナンム王の統一/三重構造の中心地域/第二地帯には駐屯軍団/第三地帯・臣従国/経済的繁栄/「やられても、やりかえさない」シュメル法
四 シュルギ王四八年の治世
個人情報が多いシュルギ王/四八年分の「年名」/学校へ通った王/街道整備/改革断行/「四方世界の王」/マルトゥの侵攻阻止/熊も馬もいた家畜収容施設/星になったシュルギ王/ウル王家の内紛/手紙が語るウル王家の弱体化/猿の貢物

第五章 カニシュ─アッシュル商人やヒッタイト人が行き交った都市─

一 アッシリアのはじまり
アッシュル商人の手紙/アッシュルのはじまり/アッシュルからカニシュへの旅路/アッシュル商人たちがおもむいたカニシュ/カールムとは/カールム出土の粘土板文書
二 「キュル・テペ文書」は語る
アナトリア史を知る貴重な史料/商品は織物/遠方から運ばれてきた錫/アッシュル市と商人たち
三 カールム出土の手紙
タラーム・クービの手紙/危ない手紙/ヒッタイト登場

第六章 マリ─ハンムラビ王に滅ぼされた王国─

一 后妃の識字力
シプトゥ后妃の手紙/ヤムハド王国の王女
二 マリ発見
イシュギ・マリ王の像/マリの水運
三 三度にわたる繁栄
最初の繁栄/ウル王家との縁組/シャムシ・アダド一世による支配/父王からの手紙/「ジムリ・リムが人口調査をした年」/近隣に鳴り響いた華麗な王宮/ブランコが結ぶ交流
四 ジムリ・リム王の「休暇」旅行
マリ王宮が見たい/ジムリ・リム王の旅立ち/ヤリム・リム一世へのご機嫌伺い/ウガリト訪問/マリの滅亡

第七章 バビロン─ハンムラビ王の都、ネブカドネザル二世の都─

一 オリエント世界最大の都市バビロン
統一以前、勢力均衡の状況/王たちが憧れたバビロン/ヘロドトスは見た/バビロン遺跡/ベルリンでよみがえったイシュタル門
二 ハンムラビ王のバビロン
バビロン第一王朝成立以前のカ・ディンギル/アムル人のバビロン第一王朝/四三年の治世/属国の地位からの脱却/メソポタミア統一への動向/ハンムラビ王の手紙/同盟国マリを滅ぼす/『ハンムラビ法典』の傷害罪/バビロンの都市神マルドゥク/バビロン第一王朝の滅亡
三 ネブカドネザル二世のバビロン
新バビロニア王国の成立/「バビロンの空中庭園」/ネブカドネザル二世の支配/バビロニア捕囚/悪霊どもの住みか/新バビロニア王国の最期/ペルシア王に味方したマルドゥク神/バビロンの終焉

第八章 ハットゥシャ─「ボアズキョイ文書」は語る─

一 最古の印欧語の記録
「アルザワ書簡」/「ボアズキョイ文書」の出土/アナトリア──最古の印欧語族の居住地/記されていた多様な言語
二 テリピヌ王の功績
ヒッタイト王国の歴史はじまる/「赤い河」の内側/ハットゥシャへの遷都/バビロン襲撃/『テリピヌの勅令』/『ヒッタイト法典』/古王国時代の終焉から中王国時代へ
三 勇将シュッピルリウマ一世
勇将にはじまる新王国時代/さらなる拡大/ツタンカーメン王の未亡人からの手紙/カデシュの戦い/「平和条約」の出土/ヒッタイト王女の輿入れ/製鉄についての情報
四 アナトリア西部の国々についての情報
ウィルシャすなわちトロイ/アヒヤワすなわちアカイア人/ヒッタイト王国の滅亡/王国滅亡後のアナトリア

第九章 アケト・アテン─「異端王」の儚い都─

一 「アマルナ文書」の出土
はるかなるエジプト/アマルナ時代と「アマルナ文書」
二 テーベからアケト・アテンへ
「アテン神の都」/アテン神の都へ遷都
三 ミタンニ王国からの手紙
「兄弟」を連呼する大国の手紙/第一八王朝の国策変化/エジプトへ旅する女神像/古代もパスポート持参
四 外交の表舞台へ登場したアッシリア
エジプトと交流するアッシュル・ウバリト一世/「黄金がほしい」
五 消し去られたアケト・アテン
小国ビブロスの悲哀/「宗教改革」の失敗/アケト・アテン生まれかツタンカーメン王/否定された都に残された三八二枚

第一〇章 ウガリト─いくつもの「太陽」を仰いだ小国─

一 大国に従属
「医者を寄こしてほしい」/したたかなバランス外交/茴香の丘/貝紫も生産/ひれ伏すウガリト王/新たな「太陽」の出現
二 東地中海交易の要
「古代世界のベイルート」/カルケミシュ王と結んだ補償協定/「海の民」の襲撃
三 豊饒神が活躍するウガリト文学
ウガリト語アルファベット/邪神に貶められたバアル神

第一一章 ニネヴェ─大帝国の最後の首都─

一 遷都の末に
アッシュル・バニパル王の手紙/ニネヴェに遷都したセンナケリブ王/クユンジュクの丘の発掘
二 「学者王」アッシュル・バニパル
エジプト征服/ティル・トゥーバの戦い/「兄弟戦争」/先生は占星術師/「学者王」の図書館/奥付は情報源/護符としての粘土板文書/アラム語アラム文字の採用
三 アッシリアの最期
王座を去る/ニネヴェ陥落/アッシリアの遺跡を見たクセノポン

終章 スーサ─エラム王国の都、ペルシア帝国の都─

一 先史時代からの長い歴史
シュメル地方へ侵攻するエラム人/民族系統不詳のエラム人/要衝の地スーサ/フランス調査隊の発掘/斬新な意匠の彩文土器
二 エラム王国の首都
シュメル・アッカドとの対立と共存/巨大なジックラト/バビロニアからの戦利品/宿敵アッシリアにより滅亡
三 アケメネス朝ペルシアの首都
ダレイオス一世によるスーサへの遷都/帝都起点の「王の道」/スーサ占領さる/楔形文字による記録の終焉/現代も重要なスーサ

あとがき

本書関連略年表
図版引用文献/主要参考文献
索引

書誌情報

読み仮名 クサビガタモジガカタルコダイオリエントトシトブンメイノコウボウシ
シリーズ名 新潮選書
装幀 駒井哲郎/シンボルマーク、新潮社装幀室/装幀
発行形態 書籍、電子書籍
判型 四六判変型
頁数 288ページ
ISBN 978-4-10-603943-0
C-CODE 0322
ジャンル 歴史読み物、歴史・地理・旅行記、世界史
定価 1,980円
電子書籍 価格 1,980円
電子書籍 配信開始日 2026/04/22

著者プロフィール

小林登志子

コバヤシ・トシコ

1949年、千葉県生まれ。中央大学文学部史学科卒業。同大学大学院修士課程修了。古代オリエント博物館非常勤研究員、立正大学文学部講師、中近東文化センター評議員等を歴任。第4回日本オリエント学会奨励賞受賞。著書に『シュメル人』、『シュメル神話の世界』(共著)、『文明の誕生』、『古代オリエントの神々』、『古代メソポタミア全史』、『古代オリエント全史』、『アッシリア全史』、『古代メソポタミアの神々』(共著)、『五〇〇〇年前の日常』など。

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