ホーム > 書籍詳細:バカの壁

バカの壁

養老孟司/著

858円(税込)

発売日:2003/04/10

  • 新書
  • 電子書籍あり

見えない「壁」がわかると世の中が見えてくる。気が楽になる。

「話せばわかる」なんて大ウソ! イタズラ小僧と父親、イスラム原理主義者と米国、若者と老人。互いに話が通じないのは、そこに「バカの壁」が立ちはだかっているからである。いつの間にか私たちを囲む様々な「壁」。それを知ることで世界の見方が分かってくる。

  • 受賞
    第38回 新風賞
目次
まえがき
第一章 「バカの壁」とは何か
「話せばわかる」は大嘘
「わかっている」という怖さ
知識と常識は違う
現実とは何か
NHKは神か
科学の怪しさ
科学には反証が必要
確実なこととは何か
第二章 脳の中の係数
脳の中の入出力
脳内の一次方程式
虫と百円玉
無限大は原理主義
感情の係数
適応性は係数次第
第三章 「個性を伸ばせ」という欺瞞
共通了解と強制了解
個性ゆたかな精神病患者
マニュアル人間
「個性」を発揮すると
松井、イチロー、中田
第四章 万物流転、情報不変
私は私、ではない
自己の情報化
『平家物語』と『方丈記』
「君子豹変」は悪口か
「知る」と「死ぬ」
「朝に道を聞かば……」
武士に二言はない
ケニアの歌
共通意識のタイムラグ
個性より大切なもの
意識と言葉
脳内の「リンゴ活動」
theと a の違い
日本語の定冠詞
神を考えるとき
脳内の自給自足
偶像の誕生
「超人」の誕生
現代人プラスα
第五章 無意識・身体・共同体
「身体」を忘れた日本人
オウム真理教の身体
軍隊と身体
身体との付き合い方
身体と学習
文武両道
大人は不健康
脳の中の身体
クビを切る
共同体の崩壊
機能主義と共同体
亡国の共同体
理想の共同体
人生の意味
苦痛の意味
忘れられた無意識
無意識の発見
熟睡する学生
三分の一は無意識
左右バラバラ
「あべこべ」のツケ
第六章 バカの脳
賢い脳、バカな脳
記憶の達人
脳のモデル
ニューラル・ネット
意外に鈍い脳の神経
方向判断の仕組み
暗算の仕組み
イチローの秘密
ピカソの秘密
脳の操作
キレる脳
衝動殺人犯と連続殺人犯
犯罪者の脳を調べよ
オタクの脳
第七章 教育の怪しさ
インチキ自然教育
でもしか先生
「退学」の本当の意味
俺を見習え
東大のバカ学生
死体はなぜ隠される
身体を動かせ
育てにくい子供
赤ん坊の脳調査
第八章 一元論を超えて
合理化の末路
カーストはワークシェアリング
オバサンは元気
欲をどう抑制するのか
欲望としての兵器
経済の欲
実の経済
虚の経済を切り捨てよ
神より人間
百姓の強さ
カトリックとプロテスタント
人生は家康型
人間の常識

書誌情報

読み仮名 バカノカベ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 208ページ
ISBN 978-4-10-610003-1
C-CODE 0210
整理番号 3
ジャンル エッセー・随筆、評論・文学研究、ノンフィクション
定価 858円
電子書籍 価格 660円
電子書籍 配信開始日 2007/04/13

オーディオブック

担当編集者のひとこと

「話せばわかる」か?

「話せばわかる」とよく言いますが、実際にはそうではないことが多いようです。話が通じなくなって戦争になる例を私たちはたくさん見てきました。
 映画やドラマでも、刀を向けられて「ま、待て。話せばわかる」と言った人に限って、バッサリやられているような気もします。
 そこまでドラマチックではなくても、たとえばこんな経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。○子供に「宿題をしなさい」と言うと、そのときだけは「うん、分かった」と返事が返ってくるが、全く動く気配がない。
○どんなに彼女のことが好きか、熱く語っても相手にしてもらえない。
○いくら興味がないと言っても、「とってもいい教えなのよ」と“善意”丸出しで勧めてくる知人がいる。

 大雑把にいえば、いずれも何らかの情報に対して、脳が拒絶反応をしている状況です。こういう状況で、大抵の人は、苛々したり、腹を立てたりします。それは「話せばわかる」はずだと思っているからではないでしょうか。
 話が通じない時、情報を遮断しているもの。それを養老孟司さんは、「バカの壁」と名づけました。
 今月の新刊『バカの壁』(養老孟司・著)のまえがきには、こんな文章があります。
「結局われわれは、自分の脳に入ることしか理解できない。つまり学問が最終的に突き当たる壁は、自分の脳だ。(中略)
 あるていど歳をとれば、人にはわからないことがあると思うのは、当然のことです。しかし若いうちは可能性がありますから、自分にわからないかどうか、それがわからない。だからいろいろ悩むわけです。そのときに『バカの壁』はだれにでもあるのだということを思い出してもらえば、ひょっとすると気が楽になって、逆にわかるようになるかもしれません」
 この本のなかで、養老氏は、これまで考えてきたテーマについて易しい言葉で語っています。「脳」「身体」「共同体」「無意識」「教育」等々。いずれも人生でぶつかる様々な問題について考えるヒントになります。
 そして、読後には、「気が楽になって、逆にわかるように」なっているはずです。読めばわかる、のは間違いありません。

2003年4月刊より

2003/04/10

著者プロフィール

養老孟司

ヨウロウ・タケシ

1937(昭和12)年、鎌倉生れ。解剖学者。東京大学医学部卒。東京大学名誉教授。1989(平成元)年『からだの見方』でサントリー学芸賞受賞。著書に『唯脳論』『バカの壁』『手入れという思想』『遺言。』『ヒトの壁』など多数。池田清彦との共著に『ほんとうの環境問題』『正義で地球は救えない』など。

関連書籍

この本へのご意見・ご感想をお待ちしております。

感想を送る

新刊お知らせメール

養老孟司
登録
エッセー・随筆
登録
評論・文学研究
登録

書籍の分類