サザンオールスターズ 1978-1985
924円(税込)
発売日:2017/07/14
- 新書
- 電子書籍あり
日本の音楽を変えた、あのメロディ――。《勝手にシンドバッド》《いとしのエリー》《C調言葉に御用心》《メロディ(Melody)》。初期の名曲を徹底分析、胸さわぎの音楽評論!
あの曲のあのメロディの何が凄いのか? 《勝手にシンドバッド》《いとしのエリー》《C調言葉に御用心》など、1978〜1985年の“初期”に発表した名曲を徹底分析。聴いたこともない言葉を、聴いたこともない音楽に乗せて歌った20代の若者たちは、いかにして国民的バンドとなったのか? 栄光と混乱の軌跡をたどり、その理由に迫る。ポップ・ミュージックに革命を起こしたサザンの魅力に切れ込む、胸さわぎの音楽評論!
参考文献
書誌情報
読み仮名 | サザンオールスターズ1978-1985 |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
装幀 | 新潮社装幀室/デザイン |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 256ページ |
ISBN | 978-4-10-610724-5 |
C-CODE | 0273 |
整理番号 | 724 |
ジャンル | 音楽 |
定価 | 924円 |
電子書籍 価格 | 880円 |
電子書籍 配信開始日 | 2017/07/21 |
インタビュー/対談/エッセイ
サザンを正しく語りたい
「夏、海、青春、サザンオールスターズ!」――なぜサザンは、そんな手垢にまみれた文脈でしか語られないんだろう?
そんな疑問がまずあって、だからこそサザン、とりわけ初期サザンによる音楽的功績の広さ・深さ・奥行きを、きっちりと測定する本を出したい、そして、初期サザンを批評的に語る気運を盛り上げたい――という思いで書いたのが、この本=『サザンオールスターズ 1978-1985』です。
タイトルにもあるように、ここで言う「初期サザン」とは、78年から85年の8年間を指します。78年=傑作シングル《勝手にシンドバッド》で鮮烈なデビューをしてから、85年=こちらも傑作シングルの《メロディ(Melody)》を発表し活動休止するまでの、怒濤の8年間。サザンと20代の桑田佳祐が、何を考え、何に迷い、何をしでかしたのかを克明に追った、一種の評伝となっています。
1年で1章、8年で8章、プラス終章でトータル9章。そして、初期のアルバム8枚(「熱い胸さわぎ」~「KAMAKURA」)については、全収録曲の批評(5つ星採点付)も載せています。
さて、この本を書き進めるときに、ある「仮想敵」を、ずっと頭の中に置いていました。それは――「はっぴいえんど中心史観」です。
実は、日本ロック史に関する本の多くが、この「史観」の下に書かれています。ざっくり言えば「日本のロックの全ては、はっぴいえんどから始まり、そして、はっぴいえんどが完成させた」とでもいったような、ずいぶんと乱暴な歴史観です。
細野晴臣、大滝詠一、松本隆、鈴木茂。70年にデビューし、傑作アルバム「風街ろまん」を遺し、そして73年にさっさと解散した伝説のロックバンド。その知的で陰鬱な感じのサウンドが、さらに伝説性を高め、結果「はっぴいえんど中心史観」が、日に日に広まっているように感じます。
違うだろう、と。少なくとも、日本のロックをぐんぐん推進させ、ビジネスとして完成させたのは、初期サザンじゃないか。そして、はっぴいえんど以前の、例えばザ・スパイダースの功績も認めなければいけないだろう――そんな考えが、この本の中心的な視座となっています。
最後に自己紹介になりますが、私は66年生まれ、今年51歳になる音楽評論家です。ということは、桑田佳祐のちょうど10歳下。20代の桑田が走り抜けた、初期サザンの怒濤の8年間、私は10代でした。多感な思春期に、20代の桑田による、天才的な作品を浴び続けたことの幸せを噛み締めながら、この本を書きました。
そんな幸福感を、読者の方々と共有したいと思います。桑田の曲=「Kissin’ Christmas」風に言えば、「人生の想い出にすべてサザンがいる」――そんな方々に読んでいただきたい一冊です。
(スージーすずき 音楽評論家)
波 2017年8月号より
著者プロフィール
スージー鈴木
スージー・スズキ
1966(昭和41)年大阪府生まれ。早稲田大学卒業後、博報堂に入社。在職中より音楽評論家として活躍、すでに十を超える著作を発表。2021年、55歳になったのを機に同社を退職。著書に『サザンオールスターズ 1978-1985』『EPICソニーとその時代』『桑田佳祐論』など。