
私の考え
858円(税込)
発売日:2020/04/17
読み仮名 | ワタシノカンガエ |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
装幀 | 新潮社装幀室/デザイン |
雑誌から生まれた本 | 週刊新潮から生まれた本 |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 239ページ |
ISBN | 978-4-10-610856-3 |
C-CODE | 0236 |
整理番号 | 856 |
ジャンル | ノンフィクション |
定価 | 858円 |
電子書籍 価格 | 858円 |
電子書籍 配信開始日 | 2020/04/24 |
人間、迷ったら本音を言うしかない。政治について、孤独について、人生について、誠実に書きとめた思索の軌跡。
「人生は一回限り。人間、迷ったら本音を言うしかない」――常に冷静に、建設的な議論を求めるスタンスで言論活動を続けてきた著者が、思うままに本音を語る。「“リベラル”にも女性憎悪は潜んでいる」「『性暴力疑惑』を報じる価値」「政治家が浮気してもいい」「怖がっているだけでは戦争はわからない」「恋は本当に美しいものだから」etc. 政治について、孤独について、人生について、誠実に書きとめた思索の軌跡。
コラム(1)この島国の明日
コラム(2)女子の消えない呪い
コラム(3)ほんとうの自由と規律
コラム(4)教育が本来持つ意味
コラム(5)お友だちってどうやって作るの?
コラム(6)月くんと惑星くん
「はじめに――人生は一回限り」より(抜粋)
だからこそ、まずは政治にかかわる選択を私たちがくだす前の構造を分かりやすく示し、タテ(歴史的比較)とヨコ(各国比較)の構造をつまびらかにしようと心を砕いてきた。物事をあちらとこちらにぴしっと整理したあとは、人びとの自由な決断があっていい。こうでなければいけない、というのは私の正義感と価値観にすぎないのだから。
ただ困ったことに、こういった態度を続けていくとどうもひとりぼっちになりがちだ。自由であることには代償が伴う。
けれども人生は一回限り。人間、迷ったら本音を言うしかない。
担当編集者のひとこと
一文の強さ
ご存知のように三浦瑠麗さんは2012年に『シビリアンの戦争』を上梓、いまや、「朝まで生テレビ」や「ワイドナショー」といった人気テレビ番組などでも活躍する国際政治学者として知られています。昨年は『孤独の意味も、女であることの味わいも』で衝撃の半生を告白、その過去が広く女性の共感を集めたことをご存知の方もいるかもしれません。
本書はその三浦瑠麗さんが2017年から「週刊新潮」で執筆していた連載エッセイに新たに加筆・訂正を加え、まとめたものです。「まとめたもの」と簡単に言っていますが、連載当時から間近で見ていた担当編集者からしてみれば別物と言っていい完成度です。取り扱うジャンルは国際政治はもちろん国内政治、テレビ番組の裏側からご自身の私生活にまで及び、まさに三浦さんの『私の考え』が横溢した一冊となっているのですが、印象的なのは三浦さんの他の本にはあまり見られない、エッセイならではのフレーズの強さです。
例えば冒頭の一篇では、なぜ自分は「書くのか」というその理由の一端を明かしつつ、政治評論に携わる者としての困難を綴り、こう締めくくるのです。
「ただ困ったことに、こういった態度を続けていくとどうもひとりぼっちになりがちだ。自由であることには代償が伴う。
けれども人生は一回限り。人間、迷ったら本音を言うしかない」
あるいは、かつての女性運動について思いを馳せた一篇では、「私の胸の中にも、夢なんか見なくていいんだという声は潜んでいる」と述べつつも、自身に刻印された過去を振り返ります。
「保育園のお迎え後も仕事が終わらず、職場の床にマットを敷いてあやしたこと。赤ん坊を抱っこ紐に入れ、両手に二十四時間スーパーの袋を幾つも抱えて夜道を歩きながら、ふいに訳もなく涙が出たこと。
ごめんね、ごめんね。そういいながら顎の関節の奥がきゅっと痛んだ」
どの一篇にも、エッセイだからこその、三浦さんの「考え」が凝縮された一文が含まれているのです。
2020/04/24
イベント/書店情報
著者プロフィール
三浦瑠麗
ミウラ・ルリ
1980年、神奈川県生まれ。国際政治学者。幼少期を茅ヶ崎、平塚で過ごし、県立湘南高校に進学。東京大学農学部を卒業後、同公共政策大学院及び同大学院法学政治学研究科を修了。博士(法学)。東京大学政策ビジョン研究センター講師を経て、山猫総合研究所代表取締役。博士論文を元にした『シビリアンの戦争――デモクラシーが攻撃的になるとき』(岩波書店)でデビュー。近著に『21世紀の戦争と平和――徴兵制はなぜ再び必要とされているのか』(新潮社)。「朝まで生テレビ!」、「ワイドナショー」などテレビでも活躍する一方、旺盛な執筆、言論活動を続ける。第18回正論新風賞受賞。『孤独の意味も、女であることの味わいも』は初の自伝的著作である。