令和の巨人軍
814円(税込)
発売日:2020/06/17
- 新書
- 電子書籍あり
61歳の若大将 原辰徳。待望の生え抜き4番 岡本和真。不動のエース 菅野智之。史上最高の遊撃手 坂本勇人。“今”の巨人軍が一番面白い! 当代一のウォッチャーによる、新しいジャイアンツ論。
王・長嶋もゴジラもいない。地上波中継はなく、人気・実力は他球団と拮抗中。それでも巨人軍は永久に不滅です――。“悪役”として戻ってきた若大将、史上最高の遊撃手、待望の生え抜き4番と今も“役者”は揃っている。アップデートされた魅力を当代一のウォッチャーが徹底解説。次世代エースや歴代最強助っ人は? ポスト阿部と亀井の背中、ビール売り子の本音など、新旧G党もアンチも楽しめる新しいジャイアンツ論。
書誌情報
読み仮名 | レイワノキョジングン |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
装幀 | 新潮社装幀室/デザイン |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 208ページ |
ISBN | 978-4-10-610865-5 |
C-CODE | 0275 |
整理番号 | 865 |
ジャンル | アート・エンターテインメント、スポーツ |
定価 | 814円 |
電子書籍 価格 | 814円 |
電子書籍 配信開始日 | 2020/06/19 |
インタビュー/対談/エッセイ
“今”のジャイアンツも最高です。
私は、現役巨人ファンである。
という書き出しに、懐かしさを感じる人も多いのではないだろうか。昭和の時代は、仕事が終わり帰宅すると、ビール片手にテレビの地上波ナイター中継を見て、巨人が負けると不機嫌になるお父さんが日本全国にいた。会社の喫煙所では今日の天気を語るように、昨日の巨人の継投について「王監督も鹿取を投げさせすぎたよ」なんて議論を交わす。典型的な“ジャイアンツオヤジ”たちである。
1983年(昭和58年)の巨人戦年間平均視聴率は、なんと27・1パーセントを記録。あの頃、ゴールデンタイムにテレビをつけたらいつもやっていた巨人戦は、まさに“国民的娯楽”だった。1979年に埼玉県で生まれた私もG党で、熱烈な原辰徳ファンのジャイアンツチルドレンのひとりだ。まるで教科書のようにプロ野球選手名鑑を暗記し、1990年代になっても教室の片隅で、今日の給食について語るように「昨日のゴジラ松井のホームラン見た?」と盛り上がったものだ。
それが、いつからだろうか? 我々の日常の会話から巨人が消えた。思えば、2001年限りで長嶋茂雄監督が勇退し、2002年オフに松井秀喜がニューヨークへ去った。スーパースター不在で徐々に視聴率は低迷し、やがて各局が巨人戦の地上波中継をほぼ打ち切る。高橋由伸が衰え、上原浩治も憧れのメジャーリーグへ。テレビCMでもYGマークを見かけなくなり、最近のジャイアンツで知っている選手は阿部慎之助ぐらい……。もう現在進行形の4番打者やエースは知らない。気が付けば、世の中にそういう元巨人ファンが増えた。
だが、今の巨人は85年以上の球団史でも屈指の才能が集結している。主将を務める坂本勇人はセ・リーグ史上最年少の通算2000安打を狙い、4番を打つ24歳の岡本和真は松井以来の生え抜き打者3年連続30本塁打に挑戦する。エース菅野智之は、伝説の稲尾和久が持つ最優秀防御率5度のプロ野球記録に挑む。チームを指揮するのは61歳の原辰徳監督である。
確かにV9を達成したあの頃の巨人は最強だった。でも、今の巨人も最高だ。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で開幕が約3か月遅れ、無観客でのスタートとなる2020年のペナントレースは、日本テレビで巨人の主催試合を開幕戦から5試合連続の地上波放送することが話題となった。エンタメ業界の底力が問われる中、プロ野球への注目度も例年以上に高い。久々に巨人に興味を持った人も少なからずいるだろう。だから、今さらじゃなく、今こそ時代に合わせアップデートした巨人論が求められている。
この本は現役巨人ファンはもちろん、そんな帰ってきた元G党のあなたに、今のジャイアンツを、つまり「令和の巨人軍」の面白さをプレゼンするつもりで書いたものである。
(なかみぞ・やすたか ライター)
波 2020年7月号より
担当編集者のひとこと
新しいジャイアンツ論!
王・長嶋の時代、あるいは松井秀喜が活躍していた頃までは追っかけていたけど、最近のジャイアンツはあまり……という人も多いのではないでしょうか。地上波での放送も少なくなり、各球団の人気と実力も拮抗した現在、巨人軍に冠せられた「球界の盟主」という称号は過去のものなのでしょうか――。
「いやいや、今のジャイアンツが一番面白い!」と、その魅力を語るのが、当代一のウォッチャーである中溝康隆氏の新刊『令和の巨人軍』です。“61歳の若大将”“史上最高の遊撃手”“待望の生え抜き4番”など、アップデートされた巨人の魅力がこれでもかと詰まった一書です。どんなエンターテインメントでも、“現在進行形”の姿が魅力的でなければ、そのジャンルの将来は明るくありません。コロナウイルスの影響で延期となっていたプロ野球も、6月19日にようやく開幕。これ以上ないタイミングでの発売となりました。
2020/06/25
著者プロフィール
中溝康隆
ナカミゾ・ヤスタカ
1979(昭和54)年埼玉県生まれ。ライター。2010年開設のブログ「プロ野球死亡遊戯」が話題に。著書に『プロ野球死亡遊戯』『原辰徳に憧れて』『令和の巨人軍』『現役引退 プロ野球名選手「最後の1年」』『キヨハラに会いたくて 限りなく透明に近いライオンズブルー』など。