パワハラ問題―アウトの基準から対策まで―
880円(税込)
発売日:2020/10/17
- 新書
- 電子書籍あり
「常識だろ」「悪気はないんだから」「返信が遅い」「入社何年目だよ」えっ、どれがアウト!? 弁護士が徹底解説! 【実務に役立つ最新判決30選付】。
アウトとセーフの境界はどこにあるのか。被害を受けたら、被害を訴えられたらどうするのか。経営者や管理職に限らず、誰もが被害者、加害者になりうる「パワハラ問題」。2020年6月からは「パワハラ防止法」も施行されたが、中身を理解している人は少ない。過去、1000件以上のハラスメント相談を受けてきた弁護士が、この法律を徹底解説したうえで、予防策や危機管理、過去の判例まで詳述。全組織人必読の書。
主要な参考文献
専門家による相談窓口
書誌情報
読み仮名 | パワハラモンダイアウトノキジュンカラタイサクマデ |
---|---|
シリーズ名 | 新潮新書 |
装幀 | 新潮社装幀室/デザイン |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 256ページ |
ISBN | 978-4-10-610878-5 |
C-CODE | 0234 |
整理番号 | 878 |
ジャンル | 社会学、実践経営・リーダーシップ |
定価 | 880円 |
電子書籍 価格 | 880円 |
電子書籍 配信開始日 | 2020/10/17 |
薀蓄倉庫
パワハラの定義
「それはパワハラですよ」「そんな大げさな」――どの職場でも交わされていそうな会話です。「パワハラ」の定義が人によって異なるから揉めるわけです。しかし、今年6月に施行された「パワハラ防止法」では次のように定義されています。
「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されること」
これがいわば公式の定義となるのですが、「結局、どういうことよ?」と思う方もいらっしゃることでしょう。そのへんは『パワハラ問題―アウトの基準から対策まで―』(井口博・著)で詳しく解説してありますので、被害を受けている方、被害を訴えている方、会社の揉めごとをなくしたい方はぜひ。
掲載:2020年10月23日
担当編集者のひとこと
パワハラをこわがる前に
パワハラをテーマにした企画を進めている、と社内で話すと、
「一番気になるのはどこからがアウトなのかということです」
と言われました。
たしかに私もそれが気になります。しかし難しいのは、その境界線が動く性質を持つということでしょう。
常識的に言えば「殴る」はアウト。間違いありません。しかし良し悪しは別として、殴られてもOKと考える人もいないわけではないでしょう。たとえば「始末書を書くのは面倒なのでビンタで済ませてください」という部下がいた場合、どうすればいいのか(まあビンタで済まさないほうがいいんでしょうが)。
厚労省はパワハラの6類型として、(1)身体的な攻撃、(2)精神的な攻撃、(3)人間関係からの切り離し、(4)過大な要求、(5)過小な要求、(6)個の侵害を挙げています。
(1)は暴行など、(2)は脅迫、名誉棄損、侮辱、暴言など、(3)は隔離、仲間外し、無視など、(4)は過大なノルマなど、(5)は合理性なく程度の低い仕事を命じたり、仕事を与えなかったりすること、(6)は私的なことに過度に立ち入ること、です。
いずれも微妙なグレーゾーンが存在する気がします。たとえば「彼は今弱っているから少し仕事を減らしてあげよう」と思ったのに、(5)(過小な要求)だ、と受け止められれば、パワハラになるかもしれません。
考えると、だんだん部内で話すのが面倒になってきますが、それもまた(3)の中の「無視」だとされるかもしれない。それではとコミュニケーションを取ろうとして、「おっ、髪切った?」と話しかけたら(6)(私的なことに過度に立ち入る)だ、と思われるかもしれない。
「どうすりゃいいんだよ」
そう思う方は、本書『パワハラ問題―アウトの基準から対策まで―』をお読みください。数多くのハラスメント相談を受けてきた弁護士が、アウトの基準から予防策まで網羅的に解説した1冊です。
知っておくことが予防の第一歩となります。
2020/10/23
著者プロフィール
井口博
イグチ・ヒロシ
1949(昭和24)年生まれ。東京ゆまにて法律事務所代表弁護士。一橋大学法学部卒。同大学院を経て1978年から1989年まで裁判官・検事。1992年ジョージタウン大学大学院修士課程修了。第二東京弁護士会登録。元司法試験考査委員。ハラスメントに関する著作、論文多数。