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パワハラ問題―アウトの基準から対策まで―

井口博/著

880円(税込)

発売日:2020/10/17

書誌情報

読み仮名 パワハラモンダイアウトノキジュンカラタイサクマデ
シリーズ名 新潮新書
装幀 新潮社装幀室/デザイン
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 254ページ
ISBN 978-4-10-610878-5
C-CODE 0234
整理番号 878
定価 880円
電子書籍 価格 880円
電子書籍 配信開始日 2020/10/17

「常識だろ」「悪気はないんだから」「返信が遅い」「入社何年目だよ」えっ、どれがアウト!? 弁護士が徹底解説! 【実務に役立つ最新判決30選付】。

アウトとセーフの境界はどこにあるのか。被害を受けたら、被害を訴えられたらどうするのか。経営者や管理職に限らず、誰もが被害者、加害者になりうる「パワハラ問題」。2020年6月からは「パワハラ防止法」も施行されたが、中身を理解している人は少ない。過去、1000件以上のハラスメント相談を受けてきた弁護士が、この法律を徹底解説したうえで、予防策や危機管理、過去の判例まで詳述。全組織人必読の書。

目次
まえがき
第1章 まず基礎知識から
法律ができても/急増するハラスメント/言葉の定着/被害者はすぐには声が出せない/いつ加害者・被害者になるかわからない/パワハラという言葉に要注意/職場のハラスメント/相手が不快というだけでは/セクハラは不快性だけで/さまざまなハラスメント((1)ジェンダー・ハラスメント (2)マタニティ・ハラスメントとパタニティ・ハラスメント (3)SOGIハラスメント (4)カスタマー・ハラスメント (5)就活ハラスメント (6)アカデミック・ハラスメントとスクール・ハラスメント (7)ソーシャル・ハラスメント (8)レイシャル・ハラスメント (9)その他のハラスメント)
第2章 ウィズコロナ時代のハラスメント
新型コロナ感染についてのハラスメント/テレワークと在宅勤務の広がり/テレワークには限界がある/新たなハラスメント「テレハラ」/なぜテレハラが出てくるのか/経営者と管理職は何に注意すればよいのか
第3章 アウトとセーフの事例を理解する
6つの行為類型/どんなことがアウトなのか((1)暴力行為 (2)威圧的言動 (3)人格否定発言 (4)仕事に無関係な言動 (5)長時間にわたる叱責 (6)他の社員のいる場所での叱責)/どういうときがセーフなのか/民事上の責任は損害賠償責任/刑事責任を問われることも/会社の責任は/経営者や管理職の責任は/被害申出者が責任を問われるとき
第4章 パワハラ防止法の徹底解剖
法律の中味を簡単にまとめると/社員間のパワハラだけを対象に/指針はマニュアルではない/法律の基準と会社の基準は違う/法律のパワハラ3要件/「事業主が雇用する労働者」/「職場において行われる」/「優越的な関係を背景とした言動」/「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」/「ものにより」/「労働者の就業環境が害される」/判断基準は平均的労働者の感じ方/会社の定義は予防的に/会社の定義としてのパワハラ3要件/法律で何が変わるか
第5章 国家公務員と地方公務員の職場はどうなるか
公務員の種類と数/公務職場のパワハラも増えている/管理職はこわがって指導を躊躇/知事や市町村長は事業主/人事院規則の制定/パワハラの定義の違い/官民格差/もうひとつの官民格差/カスハラはどうなったか/懲戒処分の基準も定められた
第6章 経営者と管理職は何をすればよいのか
事業主の措置義務とは/違反はブラック企業として公表/経営者は就業規則と方針を/相談窓口と言われても/管理職は何をすればよいのか/部下から相談を受けたときの三大禁句
第7章 パワハラ経営者、管理職にならないために
いくつかの傾向タイプ((1)瞬間湯沸かし器型 (2)鬼コーチ型 (3)オレが一番型 (4)好き嫌い型 (5)ストレスはけ口型 (6)会社ぐるみ型)/傾向タイプはどうすれば/意図的パワハラと無意識パワハラ/本当にこわいのは無意識パワハラ/メンタル不調の部下には/発達障害の疑いのある部下には/部下に言ってよい言葉・悪い言葉/パワハラ経営者、管理職にならないための5つの心得
第8章 グレーゾーンをこわがらない方法
グレーゾーンとパワハラの境界線/グレーゾーンのときの判断基準/業務の適正な範囲の判断はこの2要素で/言動の態様とは/平均的労働者基準とは/グレーゾーンはフォローが大事/教育指導のときの線引きはどこに/叱責のときの線引きはどこに/部下の叱り方5原則/部下が喜んで過大な業務をするとき/部下との共通認識/良好な人間関係とコミュニケーションの意味
第9章 問題化した場合のリカバリー
どう見ても黒なら/どう見ても白なら/全く身に覚えがないときは/ヒアリングと事実調査はどうなる/言った言わないの世界/メールとICレコーダーは強力な証拠/懲戒処分はどうなる/刑事事件になると/裁判になると
第10章 管理職が被害者になるとき
管理職が被害者になることは多い/モンスター部下には/ネット中傷へは即時対応を/削除請求と発信者情報の開示請求の実際/メンタルに影響があるとき/パワハラと労災請求
第11章 問題集:あなたならどう動くか
ケース1 【なぜオレがパワハラ上司に】/ケース2 【一生懸命指導しているのに】/ケース3 【グレーの場合】/ケース4 【無意識パワハラ】/ケース5 【内容証明が来た】/ケース6 【パワハラを見たとき】/ケース7 【カスタマー・パワハラ】/ケース8 【最悪の結果】
現場で役立つ最新パワハラ判決30選
1 パワハラを認めた判決例
(1)退職勧奨が違法に/(2)部下に対する暴行の慰謝料は/(3)手帳の記載に信用性があるか/(4)社員に配付した文書が名誉毀損に/(5)パワハラをした社員への訓戒処分は相当/(6)老人介護施設長の職員に対する暴言/(7)校長の教諭に対するパワハラ/(8)会社代表者による社員への暴行/(9)丸刈りにされ花火を発射され土下座までさせられた社員/(10)被害者の個人的素因で損害額が減額されるか/(11)部下の席の周りをパーテーションで仕切った上司/(12)声を荒らげての退職勧奨/(13)上司からの執拗な注意と叱責の責任/(14)パワハラに加担した上司は共同責任を負う/(15)パワハラはあったが適応障害との因果関係は否定/(16)店長は部下が自殺することを予見できたか
2 パワハラを認めなかった判決例
(1)工場でのミスの多い社員の担当の変更/(2)暴力があったといっても病院に行っていないのは/(3)業務改善確認書へ署名させたことの是非/(4)体調不良の部下との面談での配慮/(5)支店長の営業目標の設定は過大か/(6)先輩職員らは無視して返事もしなかったか/(7)パワハラを理由とする労災保険給付の要件は/(8)パワハラ相談担当者やコンプライアンス担当者も被告に/(9)上司が人事面談を無断録音したのは/(10)147通の手紙を手書きで/(11)社員の言い争い/(12)派遣先の会社でのパワハラは/(13)叱責がパワハラにならないのは/(14)プレゼンの指導が1時間になっても
あとがき
主要な参考文献
専門家による相談窓口

薀蓄倉庫

パワハラの定義

「それはパワハラですよ」「そんな大げさな」――どの職場でも交わされていそうな会話です。「パワハラ」の定義が人によって異なるから揉めるわけです。しかし、今年6月に施行された「パワハラ防止法」では次のように定義されています。
「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されること」
 これがいわば公式の定義となるのですが、「結局、どういうことよ?」と思う方もいらっしゃることでしょう。そのへんは『パワハラ問題―アウトの基準から対策まで―』(井口博・著)で詳しく解説してありますので、被害を受けている方、被害を訴えている方、会社の揉めごとをなくしたい方はぜひ。

掲載:2020年10月23日

担当編集者のひとこと

パワハラをこわがる前に

 パワハラをテーマにした企画を進めている、と社内で話すと、
「一番気になるのはどこからがアウトなのかということです」
 と言われました。
 たしかに私もそれが気になります。しかし難しいのは、その境界線が動く性質を持つということでしょう。
 常識的に言えば「殴る」はアウト。間違いありません。しかし良し悪しは別として、殴られてもOKと考える人もいないわけではないでしょう。たとえば「始末書を書くのは面倒なのでビンタで済ませてください」という部下がいた場合、どうすればいいのか(まあビンタで済まさないほうがいいんでしょうが)。
 厚労省はパワハラの6類型として、(1)身体的な攻撃、(2)精神的な攻撃、(3)人間関係からの切り離し、(4)過大な要求、(5)過小な要求、(6)個の侵害を挙げています。
 (1)は暴行など、(2)は脅迫、名誉棄損、侮辱、暴言など、(3)は隔離、仲間外し、無視など、(4)は過大なノルマなど、(5)は合理性なく程度の低い仕事を命じたり、仕事を与えなかったりすること、(6)は私的なことに過度に立ち入ること、です。
 いずれも微妙なグレーゾーンが存在する気がします。たとえば「彼は今弱っているから少し仕事を減らしてあげよう」と思ったのに、(5)(過小な要求)だ、と受け止められれば、パワハラになるかもしれません。
 考えると、だんだん部内で話すのが面倒になってきますが、それもまた(3)の中の「無視」だとされるかもしれない。それではとコミュニケーションを取ろうとして、「おっ、髪切った?」と話しかけたら(6)(私的なことに過度に立ち入る)だ、と思われるかもしれない。
「どうすりゃいいんだよ」
 そう思う方は、本書『パワハラ問題―アウトの基準から対策まで―』をお読みください。数多くのハラスメント相談を受けてきた弁護士が、アウトの基準から予防策まで網羅的に解説した1冊です。
 知っておくことが予防の第一歩となります。

2020/10/23

著者プロフィール

井口博

イグチ・ヒロシ

1949(昭和24)年生まれ。東京ゆまにて法律事務所代表弁護士。一橋大学法学部卒。同大学院を経て1978年から1989年まで裁判官・検事。1992年ジョージタウン大学大学院修士課程修了。第二東京弁護士会登録。元司法試験考査委員。ハラスメントに関する著作、論文多数。

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