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シルクロード―流沙に消えた西域三十六か国―

中村清次/著

792円(税込)

発売日:2021/05/17

  • 新書
  • 電子書籍あり

「NHK特集 シルクロード」取材班団長が40年にわたって、今なお眠る、遥かなる謎を追う。楼蘭の美女の秘密。さまよえる湖 ロプ・ノールの真実。消えた財宝――。

シルクロード――それはなぜ、日本人にとって懐かしさを感じさせるのか。あの「NHK特集 シルクロード」取材班団長として、ブームの立役者の一人となった著者が、タクラマカン砂漠の謎や、楼蘭の美女と呼ばれる美しいミイラの秘密、さまよえる湖として有名なロプ・ノールの真実の姿、楼蘭の消えた財宝の行方、そして敦煌はなぜ捨てられたのかなど、今なお多くの謎が眠るシルクロード、西域三十六か国を案内する。

目次
序章  遥かなるシルクロード
第一章 「楼蘭の美女」は、どこから来たのか
第二章 「さまよえる湖」が、もうさまよわない理由
第三章 「タクラマカン」は謎の巨大王国なのか?
第四章 絹と玉の都、ホータン王国の幻の城
第五章 建国の夢が滅びの始まり――ソグド人の悲劇
第六章 奪われた王女――亀茲王、烏孫王女を帰さずに妻とする
第七章 玉を運んで四千キロ――謎の民族・月氏の正体
第八章 楼蘭・ぜん善王国の消えた財宝――天下一の大金持ち王の末路
第九章 仮面をつけた巨人のミイラの謎
第十章 幻の王族画家が描いた「西域のモナ・リザ」
終章  シルクロードはなぜ閉じられたのか――捨てられた敦煌
おわりに

書誌情報

読み仮名 シルクロードリュウサニキエタサイイキサンジュウロッカコク
シリーズ名 新潮新書
装幀 新潮社装幀室/デザイン
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 192ページ
ISBN 978-4-10-610905-8
C-CODE 0222
整理番号 905
ジャンル 歴史・地理
定価 792円
電子書籍 価格 792円
電子書籍 配信開始日 2021/05/17

蘊蓄倉庫

逃げた王と、消えた財宝

 かつて「天下一の大金持ち」と言われた王がいました。シルクロードの交易を担ったぜん善国(かつての楼蘭)の王・比龍です。彼は北涼から攻められた時に、全財産と民の半分、およそ四千人と共に、西の且末国へ逃げて且末国を支配したといいます。しかし比龍の子・真達王子は逃げずに、残った民と共に戦いました。その結果、北涼軍はぜん善への攻撃を止め、別の地へと向かいました。真達を支援した北魏軍がぜん善国へ入った時、タクラマカン砂漠の中で、真達や民は難民の様相を呈しており、やがて北魏の都へと連れられて行き、こうしてかつての楼蘭こと、ぜん善国は姿を消しました。けれども父王・比龍が逃げた且末国やその城については、いくたびもの探索活動にもかかわらず何もわかっていません。逃げなかった子と逃げた父。そのドラマもまた砂漠の中に眠っているのです。

掲載:2021年5月25日

担当編集者のひとこと

伝説のあの番組がもたらしたもの

「シルクロード」と聞いて、喜多郎のあのテーマ音楽を思い出すのは、50〜60代以上でしょうか。その後「シルクロード・ブーム」を巻き起こした、あの番組が影響を及ぼしたのは、実は国内にとどまりませんでした。当時、取材班団長を務めた著者は言います。「番組放送を契機に中国で、シルクロード分野における研究の飛躍的な発展」が始まったと。それまで文献学が主だったところに、考古学、言語学、人類学、仏教美術史、宗教学、自然科学分野も加わってのシルクロード研究が始まりました。その結果、「楼蘭の美女」と呼ばれるミイラの本当の年齢や、さまよえる湖と呼ばれた「ロプ・ノール」の真実など、興味深いことが次々に明らかになりました。そして、今なお多くの謎が眠ることも。時空を超えた謎解きの旅に出てみませんか?

2021/05/25

著者プロフィール

中村清次

ナカムラ・セイジ

1939(昭和14)年、東京生まれ。1962年、東京大学文学部西洋史学科卒業。NHK入局後、編成、番組制作を経て、1979〜1981年の「NHK特集 シルクロード」取材班団長を務める。2021年5月現在もNHK文化センターにてシルクロード講座の講師を務めている。

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