人生はそれでも続く
902円(税込)
発売日:2022/08/18
- 新書
- 電子書籍あり
あの人は、今? 日本中が注目した22人を、徹底取材!
かつて日本中が注目したニュースの「あの人」は、いまどうしているのか。赤ちゃんポストに預けられた男児、本名「王子様」から改名した十八歳、バックドロップをかけた対戦相手の死に直面したプロレスラー、日本人初の宇宙飛行士になれなかった二十六歳、万引きで逮捕された元マラソン女王……。二十二人を長期取材して分かった、意外な真実や感動のドラマとは。大反響の連載をついに新書化。
2 日本初の飛び入学で大学生になった17歳〈1998〉
3 「キラキラ」に決別、「王子様」から改名した18歳〈2019〉
4 「演技してみたい」両腕のない、19歳の主演女優〈1981〉
5 延長50回、「もう一つの甲子園」を背負った18歳〈2014〉
6 断れなかった――姿を現したゴースト作曲家〈2014〉
7 福島の山荘を選んだ原子力規制委員トップ〈2017〉
8 3年B組イチの不良「加藤優」になった17歳〈1980〉
9 松井を5敬遠、罵声を浴びた17歳〈1992〉
10 この野郎、ぶっ殺すぞ――「大罪」を認めた検事〈2001〉
11 説得失敗、爆風で吹き飛んだ事件交渉人〈2003〉
12 「私は誰?」戦後日本に取り残された「碧眼」の6歳〈1956〉
13 多摩川の珍客「タマちゃん」を「見守る会」〈2002〉
14 7度目の逮捕、マラソン女王の「秘密」〈2018〉
15 日本人初の宇宙飛行士になれなかった26歳〈1990〉
16 「火の中を通れ!」貿易センタービル勤務の44歳〈2001〉
17 名回答がベストセラーに「生協の白石さん」〈2005〉
18 三沢光晴さんに「最後」のバックドロップを放ったプロレスラー〈2009〉
19 アフリカから来た、最も有名な国会議員秘書〈2002〉
20 難関400倍、「氷河期」限定採用に挑んだ44歳〈2019〉
21 熊谷6人殺害事件 妻と娘を失った42歳〈2015〉
22 赤ちゃんポストに預けられた、想定外の男児〈2007〉
書誌情報
読み仮名 | ジンセイハソレデモツヅク |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
装幀 | 新潮社装幀室/デザイン |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 240ページ |
ISBN | 978-4-10-610963-8 |
C-CODE | 0236 |
整理番号 | 963 |
ジャンル | ノンフィクション |
定価 | 902円 |
電子書籍 価格 | 902円 |
電子書籍 配信開始日 | 2022/08/18 |
インタビュー/対談/エッセイ
ニュースになった「あの人」は今、どう生きているか
世間では毎日、色んなことが起きていて、私たちはテレビや新聞雑誌、今ならネットニュースを見ながら、その瞬間ごとに「へえ」とか「えっ?」とかつぶやいたり、驚いたりするものです。
あまりにも多くのことが次から次に起きるので、一つひとつの出来事を細かく覚えているのは難しいでしょう。それでも、ある時期に多くの人の耳目を集めたニュースというのは、その後、ずっと時が経ってから話題にしても、「ああ、あれね」「あの人ね」と一気に時計を巻き戻して記憶を呼び戻す力があります。〈記憶の引っかかり力〉とでもいうべきものでしょうか。
本書はその力に着目し、かつてニュースで話題となった出来事の当事者たち22人の「その後」を追ったものです。もとになったのは、読売新聞が2020年2月から朝刊で原則月1回連載している人物企画「あれから」。その連載のうち、今年4月までに新聞に掲載された22本の記事を、ほぼそのまま収録しました。
有り体にいえば「あの人は、今?」ということになりますが、単に近況を伝えるだけではありません。たとえば、「5連続敬遠」で日本中の話題をさらった1992年夏の甲子園での一戦。監督の指示通り、星稜高校(石川)の4番打者・松井秀喜選手の全打席を敬遠した明徳義塾高校(高知)の投手・河野和洋さんですが、5回の敬遠のうち1回だけは、「え、本当にここでも勝負を避けるのか?」と思ったと記者に明かします。
そこに、選手と監督の深い絆や、何度敬遠されても、「隙あらば打つ」という気迫を一瞬たりとも崩さなかった松井選手の姿が重なって、その後の河野さんの人生が刻まれていきます。後に河野さんが繰り返し見たという夢の内容も、想像を超えて興味深いものでした。
ニュースの当事者だけでなく、傍らでその姿を見ていた人たちの証言もまた示唆に富み、当事者の歩いてきた道をリアルに浮かび上がらせます。
日本人初の宇宙飛行士といえば、皆さんすぐに「TBS記者だった秋山豊寛さん」の名を思い浮かべることと思います。ですが、実は秋山さんが宇宙飛行士に選出される直前まで、共にその座を目指して厳しい訓練を重ねた女性がいました。本書ではその女性、菊地涼子さんを当事者に据えたわけですが、そばにいた秋山さんの視点から今、菊地さんの様子を振り返ってもらうと、歴史の一場面を見るような印象深さがありました。
新聞には毎日、事件や事故、政治の動き、国際情勢、街の話題など様々なニュースが載ります。そこには必ず人がいます。そこにその人がいたこと、そして今も生き、しっかりと人生を歩んでいることを記したのが本書です。一人ひとりの生き様にぜひ触れていただければと思います。
(きのした・あつこ 読売新聞論説委員)
波 2022年9月号より
著者プロフィール
読売新聞社会部「あれから」取材班
ヨミウリシンブンシャカイブアレカラシュザイハン
過去のニュースの当事者に改めて話を聞き、その人生をたどる人物企画「あれから」を担当。メンバーは社会部の若手記者が多い。人選にこだわり、取材期間は短くても三か月。一年近くかけることもある。2020年2月にスタート。ネット配信でも大きな反響を呼び、連載継続中。