不道徳ロック講座
880円(税込)
発売日:2023/07/18
- 新書
- 電子書籍あり
不倫で自粛なんかするわけないだろ! ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、エリック・クラプトン、ジョン・レノン、ピート・タウンゼンド、マドンナetc.デタラメだけど憎めない天才たちの伝説。
仲間の妻や恋人に次々と関係を迫る。メンバー全員でファンをホテルに連れ込む。薬物に溺れて入院させられる。金に困って万引きをする……現在の日本人アーティストなら「一発退場」にされかねないエピソードを欧米のロック・スターたちは自ら赤裸々に明かしている。ミック・ジャガー、エリック・クラプトン、ジョン・レノン等、デタラメで不道徳、でも才能あふれて憎めないロクデナシたちの伝説を堪能できる一冊。
参考文献・映像
書誌情報
読み仮名 | フドウトクロックコウザ |
---|---|
シリーズ名 | 新潮新書 |
装幀 | 新潮社装幀室/デザイン |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 224ページ |
ISBN | 978-4-10-611004-7 |
C-CODE | 0273 |
整理番号 | 1004 |
ジャンル | 音楽 |
定価 | 880円 |
電子書籍 価格 | 880円 |
電子書籍 配信開始日 | 2023/07/18 |
インタビュー/対談/エッセイ
不倫もドラッグも初体験も赤裸々に
少し前、俳優の広末涼子さんのW不倫が連日報道されていた。彼らを起用している企業には一大事だ。企業、商品、作品のイメージダウンにつながる。同時期に永山絢斗さんは大麻取締法違反容疑で逮捕されていた。こちらも活動が深刻なダメージを受けるのは間違いないだろう。直近の不謹慎な振る舞いだけではなく、何年も前の件も問題になるケースが珍しくなくなってきた。「時効」が無くなってきたようだ。
不倫やドラッグについて、海の向こうの“芸能界”は日本とは少し様子が違う。既婚であろうが、別の相手と抵抗なく関係を持つ。違法薬物を常用する。アルコールは、脳の機能がどうにかなるまで摂取する。それらが世間に知られても、職を失うケースはあまりない。それどころか当人が自伝やメディアのインタビューで堂々と語っている。
『不道徳ロック講座』を執筆するために、ジョン・レノン、ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、エリック・クラプトン、ピート・タウンゼンド、マドンナ、シンディ・ローパーらロックスターのバイオグラフィや数多くの記事に目を通した。本書では彼らがおおらかに語る魅力的な逸話を本人コメント中心に紹介している。
本人は数えてはいないと思うが、ミックは4000人と関係したそうだ。そのなかには、ローリング・ストーンズの盟友、キースの内縁の妻、クラプトンの恋人、デヴィッド・ボウイ夫妻もいる。ミックは男女どちらともベッドに入る。トッド・ラングレンの恋人も奪ったが、彼女はスティーヴン・タイラーとも関係していたので、生まれた娘の父親が誰なのかわからなかった。やがて娘は女優となる。それがリヴ・タイラーだ。
多くのアーティストは自伝で初体験も告白している。クラプトンはパーティーの停電時に年上の女性に誘われ大人になった。ニューヨークで新聞少年だったキッスのジーン・シモンズは集金先の主婦に押し倒された。同じキッスのポール・スタンレーの相手も近所の奥さん。その家に通いすぎだと母親にとがめられたという。
ポールやキース・エマーソンは、日本の特殊な浴場での体験を振り返っている。手取り足取りのサービスにおおいに感銘を受けたという。
彼らは天才だ。庶民とは違う感覚で生き、ロックをやっているが、私生活での逸話も秀逸。別次元の感覚で生きているからこそ、彼らの歌も演奏もずば抜けていると再認識させられる。
そして今回、彼らの不道徳なエピソードを再構成していく過程で感じたのは、横のつながりが強いという点だ。濃く交流している。チャートを争い、女性を奪い合い、それでいてリスペクトし合い、けんかと仲直りをくりかえす。結婚式にも葬式にも参列する。そのため思いがけず、ロックシーンの大河ドラマのような本になった。
(こうだて・かずのり 音楽ライター)
波 2023年8月号より
蘊蓄倉庫
ロック界のレジェンドたちのレジェンド級エピソード
来日したミュージシャンが日本食を堪能したとか、ラーメンを気に入ったといった話はよく伝えられます。最近はどうかわかりませんが、ある時期までは、日本独自の「風呂」も一部では人気だったようです。エマーソン・レイク&パーマーのキース・エマーソンは、初来日の際、同伴していた妻の目を盗み、ミーティングだと偽って出かけて、個室で女性のサービスが受けられる特殊な「風呂」に行ったとのこと。これはスキャンダルではなく、本人が自伝で振り返っている「日本の思い出」の一つなのです。『不道徳ロック講座』は、レジェンドたち自らが語ったレジェンド級のエピソードが詰まった一冊です。
掲載:2023年7月25日
担当編集者のひとこと
不道徳なことも赤裸々に
昔の名曲のフレーズを借りれば「みんな妙に怒りっぽい」という感じでしょうか。
芸能人やミュージシャンが不倫をすると、「謝罪」「自粛」という流れが一つの定番になっているようです。薬物使用の場合は、「逮捕」「謝罪」「自粛」です。いずれもそこに関連作品の扱いについての議論も付け加わります。
このあたり、欧米はかなり寛容で、ロックミュージシャンの場合、自伝で平気で「不道徳」な振る舞いを白状しています。何となく「すべらない話」的に振り返っている感じもあります。
きっと当事者の間ではそれなりの修羅場もあったのでしょうが、「それはそれ、これはこれ」と社会も受け止めているようです。そのおかげで、私たちはローリング・ストーンズやビートルズ、エリック・クラプトン、ザ・フー、キッス等々の作品を問題なく楽しめます。
本書『不道徳ロック講座』では、彼らの自伝や証言をベースに、現在の日本であれば「一発退場」のような振る舞いの数々を紹介します。しかしそれによって作品の魅力はまったく損なわれない、というかむしろより味わい深くなります。
ものすごい才能を持った人たちのものすごいエピソードを堪能していただければ幸いです。
2023/07/25
著者プロフィール
神舘和典
コウダテ・カズノリ
1962(昭和37)年東京都生まれ。雑誌および書籍編集者を経てライター。政治・経済からスポーツ、文学まで幅広いジャンルを取材し、経営者やアーティストを中心に数多くのインタビューを手がける。中でも音楽に強く、著書に『新書で入門 ジャズの鉄板50枚+α』など。