
スサノヲの正体
836円(税込)
発売日:2023/07/18
- 新書
- 電子書籍あり
荒ぶる悪神か、救いの善神か。『日本書紀』の企みを古代史研究の鬼才が暴く!
アマテラスの弟スサノヲは、天上界では乱暴狼藉を働いて追放される悪玉だが、地上界では八岐大蛇(やまたのおろち)を退治して人々を助ける善玉になる。そのキャラクターは『古事記』と『日本書紀』とで大きく異なり、研究者の間でしばしば論争となってきた。ヤマト建国への関与、祭祀をめぐる天皇家との関係、縄文文化のシンボル……。豊富な知識と大胆な仮説で古代史の謎を追ってきた筆者が、スサノヲの正体に鋭く迫る。
書誌情報
読み仮名 | スサノヲノショウタイ |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
装幀 | 新潮社装幀室/デザイン |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 192ページ |
ISBN | 978-4-10-611005-4 |
C-CODE | 0221 |
整理番号 | 1005 |
ジャンル | 歴史読み物、歴史・地理・旅行記、世界史 |
定価 | 836円 |
電子書籍 価格 | 836円 |
電子書籍 配信開始日 | 2023/07/18 |
蘊蓄倉庫
アマテラスにも謎は多い
本書ではスサノヲの正体を探っていく中で、姉のアマテラスの謎にも迫ります。アマテラスは皇祖神なのですが、天皇とアマテラスの関係はちょっと意外です。まず、実在の初代王と言われる崇神天皇はアマテラスを伊勢に追いやっています。また、伊勢神宮を整備した持統天皇だけは伊勢に参りましたが、それ以降明治になるまで、1000年以上も歴代天皇はアマテラスを祀る伊勢神宮を訪れませんでした。そして、明治天皇が東京に遷御したあと武蔵国の鎮守勅祭の社に定めたのは、スサノヲの祀られる氷川神社(現さいたま市)。明治天皇は氷川神社を訪れた翌年に、伊勢神宮を訪れたのです。そもそも伊勢にいる神はアマテラスなのか、その正体は何なのか――。本書はそんな疑問も投げかけます。
掲載:2023年7月25日
担当編集者のひとこと
裏テーマは「尾張」
新潮新書での関裕二さんの作品は、『神武天皇vs.卑弥呼―ヤマト建国を推理する―』(2018年)『古代史の正体―縄文から平安まで―』(2021年)に続いて3作目となります。それぞれいろいろな読み方ができる作品なのですが、今回の「裏テーマ」は、あまり脚光を浴びることがない「尾張」かもしれません。ヤマト建国に多大な貢献をしたにもかかわらず、最後に裏切られてしまった尾張。その結果、日本海勢力である天皇家は天香具山で東海勢力を祀ることになり、それは紆余曲折を経て、今も住吉大社に受け継がれることになります。天香具山の重要性と東海勢力の関係――ぜひ本書でご確認ください。
2023/07/25
著者プロフィール
関裕二
セキ・ユウジ
1959(昭和34)年、千葉県柏市生まれ。歴史作家、武蔵野学院大学日本総合研究所スペシャルアカデミックフェロー。仏教美術に魅了されて奈良に通いつめ、独学で古代史を学ぶ。『藤原氏の正体』『蘇我氏の正体』『神武天皇vs.卑弥呼』『スサノヲの正体』など著書多数。