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コメ関税ゼロで日本農業の夜は明ける

野口憲一/著

968円(税込)

発売日:2025/12/17

  • 新書
  • 電子書籍あり

農家よ、自立せよ! 超高級レンコン市場を創造した闘う現役農家による激辛農業論。

コメ関税ゼロ。それは、日本農業を再生に導く一番の特効薬である。本当の競争にさらされる時、農家は「どうやって儲けるか」を真剣に考えざるを得なくなる。激変する市場に対応するには、日本の農業の中核にある「農家のソフト」を継承・発展させるための装置としての農協を活用すればいい。「やりがい搾取」の構造を脱し、本来の価値を取り戻した時、日本農業の夜は明けるのだ──。闘う現役農家による激辛の提言。

目次

はじめに

第1章 「国産野菜を食べたい」という消費者の嘘
TPPとは何だったのか/チリ産ブドウは売れている/加工品は外国産が当たり前/インフレ時代の価格戦略/農産物マーケットをピラミッド構造化すべし/「意味のある高価格」をつくる/高くしないという差別化も/98円の次は128円/技術に裏打ちされたブランド価値

第2章 農業の価値の源泉は「農家のソフト」である
日本の農家は手間を惜しまない/労働が遊びを含んでいるからこそ工夫する/農業とは違う「野菜生産販売業」/植物工場でも「作物との対話」が/農業とは「姿勢」の問題である/「農家のソフト」という暗黙知/AIは農家のソフトを代替できるのか?/「スマート農業」というネーミングの欺瞞/「スマート農業」は今すぐ名称を変えるべきだ

第3章 理念で農業を抑圧する人々
桃の実の約束/美しい理念がかき消す現場の声/思わず記した「うるせーよバカ!」/農家とは誰なのか/覚悟ある言葉──田中正造と渋沢栄一/特定のイデオロギーに回収された有機農業/有機農業で無視された「市場価値」の視点/「1本5000円のレンコン」は核ミサイルだった/「農家のソフト」を農家に奪い返す/農家のソフトの継承は「投資」であるべき/決定権を農家の手に

第4章 農協を「知のインフラ」として再定義せよ
農協の組織/農協解体論/セーフティネットとしての役割は大きい/農家にとって農協の何が問題だったのか/農協否定論とスマート農業推進論の共通点/人の営みの連鎖としての農業/農家のソフトは共同体に宿る/AIに農協を学ばせる/農協を解体すると「農家のソフト」が消える/市場原理を貫徹させない余白の存在/イノベーションの触媒にもなれる

第5章 コメの関税をゼロにせよ
「守り続ける」から「支えながら変えていく」へ/減反政策によって失われた「挑戦する機会」/シャインマスカット農家は価格が暴落しても生産をやめなかった/農家が値段を決められない構造/弱小農家の販売ルート作りは、農協ができる/作る自由があるはずなのに作れない現実/「食料安全保障」という虚構/有事にはサツマイモで食いつなげ/アメリカ市場の「非関税障壁」/対アメリカ向け農産物関税ゼロの世界を想像してみる/交渉とは相手の言いなりになることではない/双方に利益をもたらす条件を/最も汚れた湖・霞ヶ浦/農業の価値をどうやって社会に伝えるか/価格戦略を自ら選び取る時代/輸出を阻む現場の人手不足/商習慣の違いも/日本の食文化を丸ごと輸出せよ/農水省に「日本文化局」を創設せよ/総力戦での対応を/農業の再生は農家の決意からしか始まらない

おわりに 参考文献

書誌情報

読み仮名 コメカンゼイゼロデニホンノウギョウノヨハアケル
シリーズ名 新潮新書
装幀 新潮社装幀室/デザイン
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 192ページ
ISBN 978-4-10-611108-2
C-CODE 0261
整理番号 1108
ジャンル ビジネス・経済、産業研究、農学
定価 968円
電子書籍 価格 968円
電子書籍 配信開始日 2025/12/17

著者プロフィール

野口憲一

ノグチ・ケンイチ

1981(昭和56)年、茨城県新治郡出島村(現かすみがうら市)生まれ。株式会社野口農園取締役、民俗学者。日本大学大学院文学研究科社会学専攻博士後期課程修了。博士(社会学)。著書に『1本5000円のレンコンがバカ売れする理由』『「やりがい搾取」の農業論』がある。

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