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今月の表紙の筆蹟は、佐藤賢一さん。

波 2026年3月号

(毎月27日発売)

100円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2026/02/27

発売日 2026/02/27
JANコード 4912068230366
定価 100円(税込)
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大矢博子/〈偶像〉の行き着く果て
【コラム】
小澤 實/俳句と職業

[とんぼの本]編集室だより

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高木 徹/東京裁判 11人の判事たち 第4回
下重暁子/九十歳、それがどうした 第10回
椎名 誠/こんな友だちがいた 第19回
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シリ・ハストヴェット、柴田元幸 訳/ゴースト・ストーリーズ 第2回
大木 毅/錯誤の波濤 海軍士官たちの太平洋戦争 最終回
【中綴じ】
『エッダ』初のコンプリート版刊行!
編輯後記 いま話題の本 新刊案内 編集長から

立ち読み

編集長から

今月の表紙の筆蹟は、佐藤賢一さん。

◎佐藤賢一さん(今月の表紙)『釣り侍』は磯釣りが武芸として奨励されている羽州荘内(つまり藤沢周平さんの例の海坂藩と同じあたり)の大泉藩が舞台。現実の庄内藩も釣りが盛んで、魚拓を発明(?)したのもこの藩の由。
◎『釣り侍』は幼馴染との友情、御家騒動、父と子等々を描いて時代小説の粋を尽す面白さですが、僕がとりわけ夢中になったのはあれこれ登場する食べ物。小説に蠱惑的な料理が出てくるのは、「読者の感覚を刺激する」(イアン・フレミング「スリラー小説作法」)ためだけでなく、登場人物への親近感とか季節感とかいろんな効果がありますが、登場人物が住まう世界の屹立にも大きな役割を果たします。篠子鯛のすまし汁や、漁師料理のワッパ煮や、加藤清正所縁ゆかりの辛口の𤏐酒などを登場人物と共に味わううちにこの東北の架空の小藩が身近に、大げさに言えば聖なる土地として迫ってきます。
◎釣り侍前原又左衛門の知行は藤沢周平『用心棒日月抄』の主人公青江又八郎と同じ百石。経済状態が似ているせいか、二人の好みは近いようで、例えばからげ(エイの干物)。「石のように固くなるが、水でもどして甘辛く煮つけると、なかなかに美味な一品料理になる」(『用心棒日月抄 凶刃』)、「皮はとろとろ、なかの軟骨はコリコリどして、これは荘内の名物だもののう」(『釣り侍』)。
◎佐藤さん藤沢さんと同郷の丸谷才一は故郷の味の双璧にハタハタとだだちゃ豆を挙げ、なのに『日月抄』に出てこないのは「大事に取つてあるのだらうか」、「晩年の又八郎と佐知が、枝豆とハタハタで一杯やる情景を読みたい」(「故郷の味」『猫のつもりが虎』)と書いています。嬉しいのは『釣り侍』には実に旨そうなだだちゃ豆ご飯が出てきたこと。こうなると続篇で又左衛門が藤兵衛や明江とハタハタで呑む(明江はご飯?)場面を読みたいですねえ。
▽次号の刊行は三月二十七日です。

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雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。