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いま注目の1冊! 水上勉『土を喰う日々―わが精進十二ヵ月―』

主演・沢田研二、料理・土井善晴。40年来のロングセラーが映画化!

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 旬を喰うこととはつまり土を喰うことだろう――。
 9歳で京都の禅寺に預けられ、精進料理をおぼえた水上勉さん。皮つきのままじっくり焼いたくわい、ほうれん草のうす赤い根元、わかめと筍の炊きあわせ……。少年期の経験をもとに、還暦間近の著者は軽井沢の別荘でさまざまな料理をつくりました。一月から十二月まで、旬の材料に向き合う一年を描いたエッセイ『土を喰う日々―わが精進十二ヵ月―』は、刊行から40年以上が経った今も読まれ続けています。
 本書を原案とした映画「土を喰らう十二ヵ月」(監督・中江裕司)が11月11日から全国公開されます。主人公のツトム役は沢田研二さん。松たか子さん演じる恋人・真知子にふるまう四季折々の料理はスクリーン越しにもそのあたたかさや香りが伝わってきます。
 料理監修は『一汁一菜でよいという提案』がベストセラーとなった土井善晴さん。若竹煮が盛られる大皿など、私物も提供されました。土が育む季節の恵みを、大切な人と一緒に味わう。そんな喜びに満ちた作品です。

波 2022年11月号「いま話題の本」より

著者紹介

水上勉ミズカミ・ツトム

(1919-2004)福井県生れ。少年時代に禅寺の侍者を体験する。立命館大学文学部中退。戦後、宇野浩二に師事する。1959(昭和34)年『霧と影』を発表し本格的な作家活動に入る。1960年『海の牙』で探偵作家クラブ賞、1961年『雁の寺』で直木賞、1971年『宇野浩二伝』で菊池寛賞、1975年『一休』で谷崎賞、1977年『寺泊』で川端賞、1983年『良寛』で毎日芸術賞を受賞する。『金閣炎上』『ブンナよ、木からおりてこい』『土を喰う日々』など著書多数。2004(平成16)年9月永眠。

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