お知らせ

いま注目の1冊! 足立紳/著『それでも俺は、妻としたい』、三上延/著『同潤会代官山アパートメント』

北上次郎さんと新潮文庫

Image

Image

 文芸評論家の北上次郎さんが1月19日に逝去されました。新潮文庫では、1980年代初頭から実に40作以上の解説をご執筆頂きました。青春、恋愛、時代・歴史小説、ミステリー。さまざまな場所を歩き、宝石を見つける方でした。「小説を読むことの至福とはこういう作品を読むことを言うのである」(『魔術はささやく』より)。届いたばかりの解説からはいつも熱気が発されており、繰り返し繰り返し、原稿をめくったものです。
 2022年、文庫解説を通して読者にその面白さを伝えてくださった2冊は、足立紳さんの『それでも俺は、妻としたい』と三上延さんの『同潤会代官山アパートメント』。足立さんの作品は北上さんが偏愛する「ダメ男小説」です。単行本刊行年のエンターテインメント小説ベスト1に推した長篇でした。一方、『同潤会代官山アパートメント』では、「遠い記憶を静かに蘇らせる力」に着目し、高く評価しています。
 愛する作家と作品について、半生をかけて語り続けた北上次郎さん。行きつけの酒場、池林房の扉を開けば、今もあの素敵な笑顔と会えるような気がしてならないのです。(新潮文庫編集部A)

波 2023年4月号「いま話題の本」より

著者紹介

足立紳アダチ・シン

1972(昭和47)年、鳥取県生れ。日本映画学校卒業後、相米慎二監督に師事。助監督、演劇活動を経てシナリオを書きはじめる。松田優作賞受賞作「百円の恋」が2014(平成26)年に映画化され、話題を集める。同作にて、シナリオ作家協会 菊島隆三賞、日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞。2016年、NHKドラマ「佐知とマユ」が市川森一脚本賞受賞、2019(令和元)年、監督・脚本を手がけた「喜劇 愛妻物語」が東京国際映画祭最優秀脚本賞受賞。小説作品に、『喜劇 愛妻物語』『14の夜』『弱虫日記』『それでも俺は、妻としたい』『したいとか、したくないとかの話じゃない』がある。2023年スタートのNHK連続テレビ小説「ブギウギ」で脚本を担当する。

三上延ミカミ・エン

1971(昭和46)年、神奈川県生れ。大学卒業後、中古レコード店、古書店勤務を経て、2002(平成14)年『ダーク・バイオレッツ』でデビュー。2011年、古書にまつわるミステリー『ビブリア古書堂の事件手帖』を発表し、ベストセラーシリーズとなる。ほかの著作に『モーフィアスの教室』シリーズ、『江ノ島西浦写真館』『同潤会代官山アパートメント』などがある。

書籍紹介

雑誌紹介