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今月の表紙の筆蹟は、平山周吉さん。

波 2023年4月号

(毎月27日発売)

100円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2023/03/28

発売日 2023/03/28
JANコード 4910068230430
定価 100円(税込)
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筒井康隆/老耄美食日記 第3回
阿川佐和子/やっぱり残るは食欲 第67回
【宮島未奈『成瀬は天下を取りにいく』刊行記念特集】
[対談]宮島未奈×柚木麻子/文学界の新風、現る!
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【追悼 ジャン=リュック・ゴダール】
モリー・リングウォルド、小澤身和子 訳/王様と私 ジャン=リュック・ゴダールと『リア王』を撮りながら
平山周吉『小津安二郎』
川本三郎/戦争体験者としての小津

井上ひさし、町田 康 編『だけどぼくらはくじけない―井上ひさし歌詞集―』
池澤夏樹/作詞の愉快

原田マハ『原田マハ、アートの達人に会いにいく』
高橋瑞木/愛のレクチャー33本ノック

マーカス・デュ・ソートイ、冨永 星 訳『数学が見つける近道』(新潮クレスト・ブックス)
読書猿/数学とは「ずる」である

彩瀬まる『花に埋もれる』
大森 望/日常と非日常が自然に混ざり合う

寺嶌 曜『キツネ狩り』
村上貴史/バランス感覚に優れた破格の新人

室橋裕和『北関東の異界 エスニック国道354号線―絶品メシとリアル日本―』
藤岡みなみ/「なまの暮らし」をおいしく包み込んだルポ

フランシス・フクヤマ、会田弘継 訳『リベラリズムへの不満』
宇野重規/あのフクヤマが書く堂々たるリベラリズム論

前田 勝『遠い家族―母はなぜ無理心中を図ったのか―』
石井裕也/母親への愛を静かに叫ぶ剥き出しの魂の軌跡
【千早 茜『しろがねの葉』直木賞受賞×宮田愛萌『きらきらし』刊行記念】
[特別対談]千早 茜×宮田愛萌/ルールを破るかわいい不良に

【早花まこ『すみれの花、また咲く頃―タカラジェンヌのセカンドキャリア―』刊行記念】
[特別対談]早花まこ×天真みちる/「命を懸けた」次にあるもの
【特別読物】
バッキー井上/京都裏寺40前後 第五部 前篇
【私の好きな新潮文庫】
高橋久美子/読めないときに手に取る本
 宮沢賢治『新編 銀河鉄道の夜
 リルケ、富士川英郎 訳『リルケ詩集
 小澤征爾、武満 徹『音楽
【今月の新潮文庫】
石原千秋 編著『新潮ことばの扉 教科書で出会った名作小説一〇〇』
岡崎武志/開かれるのを待つ100の扉
【コラム】
三枝昴之・小澤 實/掌のうた

三宅香帆/物語のふちでおしゃべり 第13回

石井洋二郎『東京大学の式辞―歴代総長の贈る言葉―』(新潮新書)
石井洋二郎/式辞の変遷に見る日本の近現代史

[とんぼの本]編集室だより

崎山蒼志/ふと、新世界と繋がって 第7回
【連載】
エリイ(Chim↑Pom from Smappa!Group)/生時記 第8回
近藤ようこ 原作・梨木香歩/家守綺譚 第7回
梨木香歩/猫ヤナギ芽ぶく 第7回
橋本 直(銀シャリ)/細かいところが気になりすぎて 第6回
内田 樹/カミュ論 第18回
大木 毅/指揮官と参謀たちの太平洋戦争 第5回
伊与原 新/翠雨の人 第16回
川本三郎/荷風の昭和 第59回
編輯後記 いま話題の本 新刊案内 編集長から

立ち読み

編集長から

今月の表紙の筆蹟は、平山周吉さん。

◎WBCを観戦するうち野球熱が再燃し、あの球技をめぐる小説を色々引っ張り出してきました。ロス素晴らしいアメリカ野球』、井上ひさし下駄の上の卵』、高橋源一郎『優雅で感傷的な日本野球』等々。思わず読み耽ったのは大江健三郎同時代ゲーム』の「第五の手紙」、語り手の弟は谷間の村のエースで、MLBを目指して渡米するも……。彼の酷い野球人生に笑い転げていたら、この偉大な作家の訃報が届きました。
◎大江さんは小誌には創刊号(1967年1月号)のエッセイ「性的なるものと緊張感」から2016年9月号小澤征爾さんの写真集の書評まで数多く登場してくださいました。とりわけ「1980年代前半の『波』の主役は、大江健三郎、井上ひさし、筒井康隆だった」(南陀楼綾繁ナミ戦記――あるリトルマガジンの50年史」)。個人的な体験を言えば、高校生(1980年代!)の頃、金高堂書店で貰う「波」で大江さんの「小説のたくらみ、知の楽しみ」を読むのが毎月の歓びでした。連載初回で取り上げたのはヴォネガット『デッドアイ・ディック』、末尾で井上さんと筒井さんを賞揚していたのを覚えています。チーヴァーの短篇を紹介した回で一緒に言及したのが女優ルイズ・ブルックスの自伝『ハリウッドのルル』。日本でブルックス復権が実現したのには、大岡昇平氏の情熱的なエッセイ(『ルイズ・ブルックスと「ルル」』)などと共に、この文章も一役買ったはずです。大江さんはヴォネガットやフォークナーたちと繋げるように、decency(連載のキーワードの一つ)という言葉を自伝でどう使ったかを記しつつ、彼女の文才を証していきます。
◎ハリウッド・バビロンの冷静で辛辣な観察記でもある『ハリウッドのルル』、今春ようやく国書刊行会から完訳が刊行される由。
▽次号の刊行は四月二十七日です。

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雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。