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今月の表紙の筆蹟は朝井リョウさん。
[朝井リョウ『何様』刊行記念特集]

波 2016年9月号

(毎月27日発売)

102円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2016/08/27

発売日 2016/08/27
JANコード 4910068230966
定価 102円(税込)


小澤征爾、大窪道治/写真『小澤征爾―Seiji OZAWA―』
大江健三郎/「音楽する」小澤征爾

[朝井リョウ『何様』刊行記念特集]
【インタビュー】朝井リョウ/『何者』から『何様』へ――「近況報告……こんな日々です」
三浦大輔・佐藤 健/直木賞受賞作『何者』映画化今秋公開
榎本正樹/人間関係でリンクする豊かな群像劇

[尾崎裕哉『二世』刊行記念スペシャル・トーク]
尾崎裕哉×黒田俊介(コブクロ)/尾崎豊から引き継いだバトン

[垣根涼介『室町無頼』刊行記念特集]
早島大祐/室町小説の誕生
【インタビュー】垣根涼介/無頼でなければ、この世は変えられない

坂木 司『女子的生活』
大矢博子/女子たちよ、闘いを楽しもう

浅生 鴨『アグニオン』
杉江松恋/善意の人たらんとする、すべての君よ

法月綸太郎『挑戦者たち』
大森 望/抱腹絶倒、驚天動地の九十九変奏

春原 剛『ヒラリー・クリントン―その政策・信条・人脈―』
春原 剛/史上初の女性大統領は何を目指すか

野坂昭如『俺はNOSAKAだ ほか傑作撰』
芳川泰久/解放へと誘う想像力と音楽性

[加藤 廣『昭和からの伝言』刊行記念インタビュー]
加藤 廣/郷愁(ノスタルジー)のみでは語れない実感的昭和史

[角幡唯介『漂流』刊行特別対談]
角幡唯介×小野正嗣/土地にからめとられていく、人間の生き方

[新潮クレスト・ブックス2016-2017]
アンソニー・ドーア、藤井光/訳『すべての見えない光』
【インタビュー】アンソニー・ドーア/驚異と奇跡をめぐる歴史小説

ただいま翻訳中!

トンミ・キンヌネン、古市真由美/訳『四人の交差点』
古市真由美/北の国の人々の秘められた情熱

[特集 村上柴田翻訳堂、この夏も元気に営業中です。]
コリン・ウィルソン、中村保男/訳『宇宙ヴァンパイアー』
池澤春菜/カツカレー……のような、何か……のようなSF

マキシーン・ホン・キングストン、藤本和子/訳『チャイナ・メン』
津野海太郎/チャイナ・メン史ひとこま

ジェイムズ・ディッキー、酒本雅之/訳『救い出される』
北上次郎/モノクロームの暴力

リング・ラードナー、加島祥造/訳『アリバイ・アイク―ラードナー傑作選―』
川本三郎/アメリカの男たちが好きなもの

大竹 聡『五〇年酒場へ行こう』
椎名 誠/心を豊かにさせる共通の匂い

古山正雄『安藤忠雄 野獣の肖像』
藤塚光政/建築というリングでの戦いを観るように

石井光太『「鬼畜」の家―わが子を殺す親たち―』
福田ますみ/虐待事件の「元凶」を追って

安東能明『広域指定』(新潮文庫)
村上貴史/女児失踪事件の背後の冷たさ

[福永 信/編、柴崎友香、岡田利規、山崎ナオコーラ、最果タヒ、長嶋 有、青木淳悟、耕 治人、阿部和重、いしいしんじ、古川日出男、円城 塔、栗原裕一郎『小説の家』刊行記念座談会]
阿部和重×古川日出男×山崎ナオコーラ×青木淳悟×福永 信/小説の家で語る、小説のこと

【コラム】
朝井リョウ『何者』
宮崎香蓮/新潮文庫で歩く日本の町
【連載】
ジェーン・スー/生きるとか死ぬとか父親とか 第7回
山下洋輔/猛老猫の逆襲 山下洋輔旅日記 第6回
堀本裕樹、穂村弘/俳句と短歌の待ち合わせ 第37回
津村記久子/やりなおし世界文学 第28回
大澤真幸/山崎豊子の〈男〉 第7回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第78回
荒山 徹/歴史の極意・小説の奥儀 第18回
森 功/暗黒事件史 日本を変えた犯罪者たち 第8回
木皿 泉/カゲロボ日記 第29回
ミランダ・ジュライ(岸本佐知子訳)/最初の悪い男 第6回
佐藤賢一/遺訓 第9回

編集室だより  新潮社の新刊案内  編集長から  カット 水上多摩江

立ち読み

編集長から

今月の表紙は朝井リョウさん

◇表紙は朝井リョウさんです。戦後最年少で直木賞を受賞した『何者』から三年、アナザーストーリー集『何様』の刊行に合わせ、近況を伺うインタビューなど特集を組みました。榎本正樹さんによる『何様』書評の他、十月に公開される映画版『何者』の監督三浦大輔さん、主演の佐藤健さんのコメント、また現役大学生で就活世代の宮崎香蓮さんの連載コラムもご覧下さい。 ◇編集をやっていて愉しい作業の一つに、アンソロジーを編むという仕事があります。 あるテーマの下に全体のページ数を決め、作品を選び、目次の並びをつけていきます。どの作品を入れるかの目星は多少つけていても、いろいろ漁っていくうちに、「こんなのがあった」「これが入ると目先が変わっていいな」とか思いもよらなかった作品が次々に出て来て、取捨選択に大いに悩むことになります。全部入れちゃえばいいのですが、本には適切な厚さや定価というのもあって、なかなかそうもいかない。この悩み具合が面白くて、熱中してしまいます。 ◇昨年末に亡くなった野坂昭如さんの『俺はNOSAKAだ ほか傑作撰』を編むのも右のような按配で、かなり愉しみながら作りました。短編とエッセイの名品を集め、附録に対談も一つ載せよう。文庫で入手できる『アメリカひじき・火垂るの墓』『戦争童話集』所収の作品は省き、各篇の執筆時期が偏らないようにする――というのが基本方針。結局どんな目次立てになったかは、かつて〈野坂昭如の書生になりたかった〉という芳川泰久さんの書評を見て頂くとして、「もう一本入れられたら」と最後まで残った短篇のいくつかを未練たらしく書いておくと「垂乳根心中」「とむらい師たち」「ベトナム姐ちゃん」「くらい片隅」「娼婦三代」「あなた(『人称代名詞』より)」等々。エッセイはあまりに数が多いので目をつぶって決め、対談は病で倒れる直前に坪内祐三さんと語ったものを選びましたが、長部日出雄さんとの『超過激対談』のどれかも入れたかった! 酔払った学生にワセダの教授たちがいかに対処したかを語り合った一篇など爆笑必至です。

◇新潮社ホームページ、リニューアル!
http://www.shinchosha.co.jp/
◎新シリーズ「村上柴田翻訳堂」刊行中。
http://www.shinchosha.co.jp/murakamishibata/

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。