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いま注目の1冊! ドロレス・ヒッチェンズ/著、矢口誠/訳『はなればなれに』、ライオネル・ホワイト/著 、矢口誠/訳『気狂いピエロ』

ジャン=リュック・ゴダール追悼映画祭と原作小説を愉しむ

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 先頃公開された、フランソワ・オゾン監督の仏・白合作映画「すべてうまくいきますように」(2021年)は、安楽死をテーマにした人間ドラマの傑作でしたが、映画ファンがそのテーマから思わず思い浮かべたのは、2022年9月13日、スイスの自宅にて安楽死を遂げた映画監督、ジャン=リュック・ゴダールのことでしょう。
 初の長篇映画「勝手にしやがれ」(1960年)で、一躍ヌーヴェル・ヴァーグ(新しい波)の旗手と称揚され、映画界を牽引し続けた異端の巨匠ゴダール。追悼の映画特集を求める声も多かったのですが、このたびようやく朗報が。〈追悼 ジャン=リュック・ゴダール映画祭〉が、4月28日から全国の映画館にて順次開催決定。まずはヒューマントラストシネマ渋谷、角川シネマ有楽町ほかにて、全9作品が劇場公開されます。
 新潮文庫では、「勝手にしやがれ」と並ぶ代表作「気狂いピエロ」の原作小説に続き、映画ではマディソン・ダンス、ルーヴル美術館内全力疾走などの名シーンが有名な「はなればなれに」の原作小説も本邦初訳で刊行。後者は映画祭で公開予定なので、映画と併せて存分にお愉しみください。

波 2023年5月号「いま話題の本」より

著者紹介

ドロレス・ヒッチェンズHitchens,Dolores

(1907-1973)1938年のデビューから、D・B・オルセン、ドラン・バークリー、ノエル・バークなど多くのペンネームで執筆をこなした、テキサス州出身のミステリー作家。再婚相手の夫バートとの共作で5作の鉄道ミステリーを、また西部劇などの他ジャンルにも手を広げた。邦訳作品に『黒猫は殺人を見ていた』、『泣きねいり』がある。1958年発表のFools' Goldは、故ジャン=リュック・ゴダール監督の長篇映画第7作『はなればなれに(Bande a part)』(1964年)の原作となった。

ライオネル・ホワイトWhite,Lionel

(1905-1985)ニューヨーク州バッファロー出身。ノワール系犯罪小説を得意とした作家。〈NYタイムズ〉に「大型犯罪小説の巨匠」と称され、S・キューブリック監督『現金に体を張れ』の原作となった『逃走と死と』(1955年)をはじめ、数多くの作品が映画化されている。また、Q・タランティーノ監督『レザボア・ドッグス』に影響をあたえた一人とされる。

矢口誠ヤグチ・マコト

1962年生まれ。慶應義塾大学文学部卒。ウェストレイク『さらば、シェヘラザード』、バリンジャー『煙で描いた肖像画』、グレシャム『ナイトメア・アリー』、マッケイブ『ブッチャー・ボーイ』、ホワイト『気狂いピエロ』、ヒッチェンズ『はなればなれに』など、訳書多数。

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