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いま注目の1冊! 永井紗耶子『木挽町のあだ討ち』

江戸の芝居小屋のすぐそばで起きた「ある事件」をめぐる物語『木挽町のあだ討ち』は、「ミステリーのスリルがある」「芝居小屋で働く人たちの身の上話に泣けた」と、これまでたくさんのご感想をいただきました。
全六話の本書では、一話ごとに語り手が異なります。第一話は芝居小屋の呼び込み係、第二話は元武士の立師、第三話は女形の衣装係、最終話は主人公の美少年・菊之助。読み進むと、それぞれの登場人物の声が聞こえ、その喜怒哀楽が迫ってくるようです。ライターとしてさまざまな人達にインタビューをした著者の経験あってこその臨場感です。
みごとに「あだ討ち」を成し遂げる菊之助はじめ、本書に登場するのは、傷ついたことのある、葛藤を抱えた人々。著者はこの物語に「辛いことがあったら、いったん逃げてもいい。逃げてから、その先どうするかを考えてもいい」という想いを込めたそうです。
百年先でも読み継がれていてほしいと思えるほど、人が生きていく上で大切なことを伝えてくれる名作です。
著者紹介
永井紗耶子ナガイ・サヤコ
1977年、神奈川県出身。慶應義塾大学文学部卒。新聞記者を経て、フリーランスライターとなり、新聞、雑誌などで幅広く活躍。2010年、「絡繰り心中」で小学館文庫小説賞を受賞し、デビュー。2020年に刊行した『商う狼 江戸商人 杉本茂十郎』は、細谷正充賞、本屋が選ぶ時代小説大賞、新田次郎文学賞を受賞した。2022年、『女人入眼』が第一六七回直木賞の候補作に。他の著書に『大奥づとめ よろずおつとめ申し候』『福を届けよ 日本橋紙問屋商い心得』『横濱王』などがある。