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いま注目の本! 桜木紫乃『緋の河』『孤蝶の城』


映画「一月の声に歓びを刻め」に出演したカルーセル麻紀さんが第79回毎日映画コンクールで助演俳優賞を受賞しました。今まで男優・女優の区分のあった賞ですが、ジェンダーレスの観点から今回から「俳優賞」となり、カルーセル麻紀さんが初の受賞者に。「マキ」という役名で彼女が演じたのは、過去に性転換手術を受け「母親」になった女性。その半生と役が重なって見えてきます。
そんなカルーセル麻紀さんをモデルにした小説が、桜木紫乃さんの『緋の河』と『孤蝶の城』。桜木さんが「麻紀さんのことを小説に書きたいです」とお願いしたところ、「いいわよ。そのかわり、あたしをとことん汚く書いてね」と言われたそうです。そして、釧路に生まれ、家を飛び出して札幌、東京、大阪の夜の街、芸能界へと道を切り拓いていくまでを描いた『緋の河』、その後モロッコで女の身体を手に入れ、芸能界での生き残りをかけ奮闘する姿を描いた『孤蝶の城』が生まれました。今回の受賞をきっかけに注目を集める二冊、この機会にぜひご一読ください。
著者紹介
桜木紫乃サクラギ・シノ
1965年、北海道釧路市生まれ。2002年、「雪虫」でオール讀物新人賞を受賞し、2007年、同作を収録した単行本『氷平線』でデビューした。2013年、『ラブレス』で島清恋愛文学賞、『ホテルローヤル』で直木賞を、2020年、『家族じまい』で中央公論文芸賞を受賞。ほかの著書に『硝子の葦』『起終点駅(ターミナル)』『裸の華』『ふたりぐらし』など多数。『孤蝶の城』は『緋の河』の第二部にして完結篇である。