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いま注目の本! 遠藤周作『影に対して―母をめぐる物語―』
モラハラ夫出てきた。お母さんかわいそう──。本年度大学入学共通テストの国語で出題された、遠藤周作の短編「影に対して」に関する受験生からの率直な感想でした。
この作品は遠藤の没後二十四年経って発見された未発表原稿。両親の離婚や受洗の経緯など遠藤の実人生を色濃く反映しています。
さてモラハラ。妻に夢を諦めさせたうえ〈月の終りになると父はソロバンを片手に、母のつけた家計簿の頁をめくりながらしきりに珠をはじく。それから小声の、しかし、ぐずぐずした説教が始まる〉。間違いない! ただし戦前の話なのでご容赦を。
母親が息子(遠藤周作)に宛てた手紙は示唆に富みます。〈アスハルトの道は安全だから誰だって歩きます。(中略)でもうしろを振りかえってみれば、その安全な道には自分の足あとなんか一つだって残っていやしない〉。舗装された道は本当に安全なのか、考えさせられたこともありました。
出題直後、書店で売り切れが続出。急遽増刷しました。
著者紹介
遠藤周作エンドウ・シュウサク
(1923-1996)東京生れ。幼年期を旧満州大連で過ごし、神戸に帰国後、12歳でカトリックの洗礼を受ける。慶応大学仏文科卒。フランス留学を経て、1955(昭和30)年「白い人」で芥川賞を受賞。一貫して日本の精神風土とキリスト教の問題を追究する一方、ユーモア作品、歴史小説も多数ある。主な作品は『海と毒薬』『沈黙』『イエスの生涯』『侍』『スキャンダル』等。1995(平成7)年、文化勲章受章。



































