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NHKニュースでも紹介、「定説」を覆した室町小説。

 小説と映像の世界には「室町時代を扱うと当たらない」というジンクスがあります。たしかに即座に思い浮かぶ本はなく、NHKの大河ドラマ『花の乱』も歴代視聴率のブービーで、「当たらない」は半ば「定説」と化していました。しかし、書名に「室町」を冠した垣根涼介氏著『室町無頼』は去年八月の刊行後、増刷を重ね、オール讀物と週刊朝日、本の雑誌の時代小説「年間ベストテン」第一位の三冠を獲得。この三月二日にはNHK総合テレビ「ニュースウオッチ9」で著者インタビューとともに紹介されました。
 『室町無頼』は応仁の乱前夜の京都が舞台で、当時は幕府と一部の神社仏閣が富を吸い上げ、格差がかつてないほど開き、家(組織)は頼りにならず、食い詰め者で溢れ返っていたと言います。傭兵部隊を組織して権力に食い込む骨皮道賢ほねかわどうけん、牢人らを糾合する蓮田田衛はすだひょうえ(いずれも実在の人物)、二人に目をかけられて棒術で身を立てようとする若者「吹き流し才蔵」の無頼たちが社会の枠組みや矛盾を突き崩そうとします。呉座勇一氏著『応仁の乱』(中公新書)が大ベストセラーとなっているのも偶然の一致とは思えない室町ブームの現在、「定説」を覆した小説をご堪能ください。

波 2017年4月号「新潮社の新刊案内」より

著者紹介

垣根涼介カキネ・リョウスケ

1966(昭和41)年長崎県諫早市生れ。筑波大学卒業。2000(平成12)年『午前三時のルースター』でサントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞。2004年『ワイルド・ソウル』で、大藪春彦賞、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞と、史上初の3冠受賞に輝く。翌2005年、『君たちに明日はない』で山本周五郎賞を受賞。その他の著書に『ヒート アイランド』『ギャングスター・レッスン』『サウダージ』『クレイジーヘヴン』『ゆりかごで眠れ』『真夏の島に咲く花は』『光秀の定理』『室町無頼』『信長の原理』などがある。

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