今月の表紙の筆蹟は、住野よるさん。
波 2017年4月号
(毎月27日発売)
発売日 | 2017/03/28 |
---|---|
JANコード | 4910068230478 |
定価 | 102円(税込) |
平岩弓枝/なつかしい面影 第7回
[住野よる『か「」く「」し「」ご「」と「』刊行記念対談]
住野よる×彩瀬まる/私たちの「書く仕事」
[村上春樹『騎士団長殺し』書評特集]
河野 裕/特別な魔法がかかった鏡
鴻池朋子/マジックとワンダーの違い
片山杜秀/大きな胸を本当に愛せるようになるために
ポール・オースター、柴田元幸/訳『内面からの報告書』
滝口悠生/複数の時間にわたる声
[多和田葉子『百年の散歩』刊行記念特集]
松永美穂/書物であり、劇場としての街
谷口幸代/『百年の散歩』をめぐる散歩
ジュリアン・バーンズ、土屋政雄/訳『人生の段階』(新潮クレスト・ブックス)
いしいしんじ/絶望のさなかの言葉の杖
乙川優三郎『R.S.ヴィラセニョール』
島内景二/現代に蘇った「もののあはれ」
暖あやこ『遠く海より来たりし者』
手嶋龍一/古代生物からの飛躍
津村節子『時の名残り』
松田哲夫/「夫」と「かれ」と「吉村」と
[伊東 潤『城をひとつ』刊行記念対談]
伊東 潤×高嶋政伸/宿命と闘った戦国大名
米本浩二『評伝 石牟礼道子―渚に立つひと―』
田中優子/文学が私にぶつかってきた
志村洋子『色という奇跡―母・ふくみから受け継いだもの―』
柄澤 齊/色の神秘を読む
小林由美『超一極集中社会アメリカの暴走』
池上 彰/たった0.1%の超富裕層が富を独占する国の現実
藤井青銅『幸せな裏方』
マキタスポーツ/面白がりのアウトサイダー
[神楽坂ブック倶楽部発足!]
南陀楼綾繁/いい大人が本気で遊ぶ本の文化祭in神楽坂
ライムスター宇多丸/筒井康隆原作映画祭!
竹本健治/かくも水深き不在(新潮文庫)
新井素子/“ざわっ”としてます
藤田庄市/写真、隈 研吾、河合真如、渡邊直樹/文、音羽 悟/解説『伊勢神宮 神事編・遷宮編・解説編』
都築響一/ふつうの街から生まれる「神聖」
[酒井順子『源氏姉妹』刊行記念スペシャル・トーク]
酒井順子×穂村 弘/妄想で語れ! 源氏物語
【コラム】
太田 肇『なぜ日本企業は勝てなくなったのか―個を活かす「分化」の組織論―』(新潮選書)
服部泰宏/人材マネジメントのOSを変える時
古野まほろ『警察手帳』(新潮新書)
古野まほろ/カイシャとしての警察、そのリアル
池澤夏樹/『世界文学を読みほどく―スタンダールからピンチョンまで【増補新版】―』(新潮選書)
野崎 歓/世界文学の海原をへめぐる精神の航跡
とんぼの本編集室だより
西原理恵子『パーマネント野ばら』
原 幹恵/映画になった新潮文庫
【連載】
新連載 谷川ゆに/境界紀行 たましいの行方をさがして
ジェーン・スー/生きるとか死ぬとか父親とか 第14回
山下洋輔/猛老猫の逆襲 山下洋輔旅日記 第13回
津村記久子/やりなおし世界文学 第35回
堀本裕樹、穂村 弘/俳句と短歌の待ち合わせ 第44回
野村 進/多幸感のくに 第5回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第85回
戌井昭人/煙たかろう、さのよいよい 第4回
佐藤賢一/遺訓 第16回
編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から
立ち読み
編集長から
今月の表紙の筆蹟は、住野よるさん。
◇今月の表紙の筆蹟は、住野よるさん。絵は、いつかさんが描いた住野さんの新刊『か「」く「」し「」ご「」と「』の装画からです。読者そして書店から圧倒的な支持を受けた『君の膵臓をたべたい』からまだ二年足らず、四作目になる今作も、とびっきり切ない、共感度一二〇%の青春小説です。表紙に立っている高校のクラスメイト五人それぞれの〈かくしごと〉が、やがて読む者の感受性を揺さぶり、震えさせます。さて、この表紙で花びらのように、細雪のように、彼らに舞い落ちている記号は何を意味しているのでしょう?
◇新潮社は東京の神楽坂というところにあります。住所は矢来町で、地元生まれの人間に言わせると「あそこは神楽坂ではない」ということになるのですが。もともとは花街として発達してきた街ですが、漱石や尾崎紅葉、泉鏡花たち、歴史的に文士と縁の深い土地でもあります(漱石夫人鏡子さんの実家は新潮社のへんに建っていました)。また、このあたりは印刷、製紙、製本、出版などの会社も多く存在しています。同時に、「フランス租界だ」なんて揶揄する人もいるほど、フレンチ系の飲食店はたくさんあるし、一方でイタリアン、新和食、カフェなどの新しい店も目立ちます。
◇そんな賑やかな街の「おかみさん会」など地元有志の方たちと「神楽坂ブック倶楽部」を作りました。活字周りを中心としたイベントを神楽坂で定期的にやっていくことになります。どうぞ、お見知りおきを。
◇キックオフ・イベントから、ライムスター宇多丸さんの筒井康隆原作映画をめぐるトークを採録し、一箱古本市のルポを〈ミスター・ヒトハコ〉南陀楼綾繁さんに書いて頂きました。サポーター会員も募集中です。豪華特典あり! まずは神楽坂ブック倶楽部のホームページ、http://kagubookclub.com/をぜひ覗いてみて下さい。
◇今月号より、谷川ゆにさんの「境界紀行」が始まりました。既に著作もある方なのですが、この筆名で書くのは初めて。さまざまな元手がかかった文章です。
◇木皿泉さん「カゲロボ日記」は休載です。
お知らせ
バックナンバー
雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。
雑誌から生まれた本
波とは?
1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。
創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。
創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。
現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。