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上巻カバーに使ったイラストは、岡山県備前市にある閑谷学校です。じつは中村さん、いつも風景を眺めるとき、つい建築を重ねて見てしまう癖があるそう。山あいの静かなところにある閑谷学校を訪れた際も、この敷地全体が「周囲の山並みによって丁寧にすくい上げられたように見えた」のだそうです。
絵=中村好文



〈旧千代田生命本社ビル〉の「竜巻のようにうねりあがる」ステンレス製の優美な大階段。彫刻家の目と職人の技をあわせ持ち、階段を造らせたら右に出る者なしといわれた名人・村野藤吾の面目躍如たる傑作。
撮影=野中昭夫



〈ストックホルム市立図書館〉の大閲覧室。高窓から自然光が降りそそぎ、巨大な光の井戸の内部を思わせる。びっしりと本の詰まった書架にぐるりと囲まれるだけで、思わずゾクゾクと感動が湧き上がってくる。
撮影=中村好文


タルコフスキーの映画『ノスタルジア』の感動的なラストシーン。シエナの南にある〈サン・ガルガーノ聖堂〉の廃墟に作り込まれたロシアの村に音もなく雪が降り込んでくる。
絵=中村好文
まえがき

名作の足元を見る
旧千代田生命本社ビル 設計=村野藤吾
昭和41年(1966) 東京都目黒区

「星の王様」が造った天文遊園地
ジャンタル・マンタル
1728年 インド ラージャスタン州ジャイプール

本の精霊に捧げられた神殿
ストックホルム市立図書館
設計=エリック・グンナール・アスプルンド
1928年 スウェーデン ストックホルム

石塀に会いにゆく
閑谷学校
寛文10年(1670) 岡山県備前市

ひとひねりした住宅
母の家 設計=ロバート・ヴェンチューリ
1962年 アメリカ ペンシルヴァニア州フィラデルフィア

村の住み心地
河回村
韓国 慶尚北道

タルコフスキー好みの廃墟
サン・ガルガーノ聖堂
13世紀 イタリア サン・ガルガーノ

名旅館名室の条件
俵屋旅館
京都府京都市

コレクターの館
サー・ジョン・ソーン美術館
設計=サー・ジョン・ソーン 1824年 イギリス ロンドン

五十年後の建築家冥利
ケース・スタディ・ハウス#1
設計=ジュリアス・ラルフ・デイヴィッドソン
1948年 アメリカ カリフォルニア州ロサンジェルス


住まいの変奏曲
マーヴィスタ・ハウジング 設計=グレゴリー・エイン
1948年 アメリカ カリフォルニア州ロサンジェルス


マティスの遺した光の宝石箱
ロザリオ礼拝堂
1951年 フランス ヴァンス

読者のための見学案内
本書は『芸術新潮』2002年4月号~2004年7月号に連載された「意中の建築」を、上下巻に分けて再編集・増補したものです。「名旅館名室の条件」は、『和樂』2005年2月号掲載の「俵屋の逸室『竹泉』の間」を、「マティスの遺した光の宝石箱」は『芸術新潮』2004年11月号掲載の「ロザリオ礼拝堂 随想」を加筆訂正して収録しました。