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 1991年ソ連消滅。エリツィン大統領の台頭から、その後の大混乱の時代を経て、プーチン氏への政権委譲へと続く90年代激動のロシアを縦横無尽に駆け回り、類い希な専門知識と豊富な人脈を駆使して、膨大な情報を日本政府にもたらした男、それが元主任分析官、佐藤優だ。
 2000年までの平和条約の締結と北方領土の返還という外交政策の実現を目指して、ロシア外交の最前線で活躍していた彼は、なぜ「国策捜査」の対象となり、東京地検特捜部に逮捕されなければならなかったのか? そもそも、検察による「国策捜査」とは何か?
 さらに、鈴木宗男代議士による外務省支配の実態とは? 小泉政権誕生の「生みの母」とまで言われた田中眞紀子外相の実像とは? 宗男vs.眞紀子戦争の裏側で何が起こっていたのか──。
 512日にも及んだ獄中で構想を練り、釈放後1年以上をかけて執筆された、まさに入魂の告白手記。



〈外務省の実態〉
  • 「外務省のラスプーチン」誕生の経緯。ロシア人に食い込むために効力を発揮したのは宗教と神学に関する知識だった。
  • 1991年、保守派に監禁されたゴルバチョフ大統領の生存情報を、世界に先駆けキャッチ。その舞台裏で何があったのか。
  • 外務省を牛耳る「スクール」「マフィア」とは何か。また、政治家を籠絡する官僚の手練手管の数々。
〈眞紀子vs.宗男抗争の真実〉
  • 希代のトリックスター田中眞紀子が外相に就任。外務省大混乱の実態。
  • 「田中眞紀子はヒトラー、鈴木宗男はスターリン、外務省執行部はチャーチル、小泉首相はルーズベルト」という政治闘争の勢力分析は何を意味するのか。
  • 「独裁者」眞紀子と「知りすぎた男」宗男の相討ちを仕組んだ外務官僚の陰謀。その影に見え隠れする総理官邸の思惑。
〈東京拘置所ってこんな所〉
  • 「ラスプーチン逮捕前夜」一大騒動となったマスコミによる取材合戦の実態。
  • 逮捕されてから東京拘置所に収監されるまで。人はこういう手続きを経て容疑者へと変わる。
  • 食事、娯楽、入浴、独房の隣人たち──。獄中生活の日常を細かく描写。意外に贅沢な食事。東京拘置所の「ゆく年くる年」。正月に支給される特別料理にはこんなものも。
〈日本最強の捜査集団、東京地検特捜部の取り調べとは〉
  • 泣く子も黙る特捜検事との対決。取り調べの様子を対話形式で再現。
  • 「国策捜査は『時代のけじめ』をつけるために必要なんです。時代を転換するために、何か象徴的な事件を作り出して、それを断罪するのです」「評価の基準が変わるんだ。何かハードルが下がってくるんだ」──。そう語った特捜検事の真意とは。
  • 実は日本の大転換点だった「鈴木宗男事件」。時代は「公平配分」から「傾斜配分」へ大きく変わった。
〈北方領土交渉の実態〉
  • 橋本、小渕、森、小泉──。北方領土交渉に取り組む歴代首相の姿を証言。
  • 出張先で聞いた気配りの人、小渕首相の訃報とモスクワの涙。
  • 「国際協調的愛国主義」から「排外主義的ナショナリズム」にシフトし始めた小泉政権の危うさとは。
〈外交情報収集の最前線へ〉
  • 9.11米国同時多発テロで発揮された国を超えた情報マンたちの連携とはどんなものだったのか。
  • サウナに側近を集めて宴会を開き、浴びるほどウオッカを飲み、暴飲暴食の中で政策決定をしていた「エリツィンサウナ政治」の実態とは。
  • ロシア外交においてなぜイスラエルやユダヤ人脈の情報が大切なのか。