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地の星―流転の海 第二部―

宮本輝/著

2,310円(税込)

発売日:1992/11/30

  • 書籍

人間の縁(えにし)の不思議、父祖の地のもたらす血の騒ぎ……。妻子の健康のため、郷里に引きこもった松坂熊吾の雌伏の三年。戦後史を背景に自らの“父と子”を描く連作長編。

書誌情報

読み仮名 チノホシルテンノウミダイニブ
発行形態 書籍
判型
頁数 432ページ
ISBN 978-4-10-332508-6
C-CODE 0093
ジャンル 文芸作品、文学賞受賞作家
定価 2,310円

あらすじ

 昭和二十六年、松坂熊吾は、会社を畳み、郷里、愛媛県南宇和に移り住んでいた。病弱な伸仁・房江の健康を案じ、自然の緑豊かな故郷で数年の間、暮すことを決意しての田舎住まいであった。伸仁は四歳になり、心身共に健やかに育っていた。不幸に過ぎる生い立ちから、心に萎縮した陰のあった房江も伸びやかな本来の自分を取り戻しつつあった。
 四十年前、熊吾に左足に怪我を負わされ生涯の傷となったことを逆恨みに思っていた増田伊佐男が、突如、熊吾の前に立ち現れた。伊佐男は広島でやくざの組長となっていた。伊佐男の奸計による牛の突き合い勝負を熊吾は未然に防ぎ、両者の因縁はより深まっていく。
 男関係に節操のない熊吾の妹タネは、それぞれ父親の違う明彦と千佐子を私生児として生んでいた。タネの生計を案じ、熊吾はダンスホールを建て、タネに経営を任せた。また、熊吾のかつての親友周栄文の日本人妻であった谷山節子を井草正之助が愛人にしていたことを知り、金沢に赴く。結核で瀕死の井草に金のことは不問に付し、結局、周の忘れ形見、麻衣子の恋路のために奔走することとなる。大阪の丸尾千代麿の愛人に子ができ、そこでも熊吾は計略を授ける。
 伊佐男はタネのダンスホールを標的に悪辣な嫌がらせを繰り返すのだが……。

著者プロフィール

宮本輝

ミヤモト・テル

1947(昭和22)年、兵庫県神戸市生れ。追手門学院大学文学部卒業。広告代理店勤務等を経て、1977年「泥の河」で太宰治賞を、翌年「螢川」で芥川賞を受賞。その後、結核のため2年ほどの療養生活を送るが、回復後、旺盛な執筆活動をすすめる。『道頓堀川』『錦繍』『青が散る』『流転の海』『優駿』(吉川英治文学賞)『約束の冬』(芸術選奨文部科学大臣賞)『にぎやかな天地』『骸骨ビルの庭』(司馬遼太郎賞)『水のかたち』『田園発 港行き自転車』等著書多数。2010 (平成22)年、紫綬褒章受章。2018年、37年の時を経て「流転の海」シリーズ全九部(毎日芸術賞)を完結させた。

The Teru's Club / 宮本輝公式サイト (外部リンク)

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