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これが、世界で読まれるニッポンの小説!

ペンギン・ブックスが選んだ日本の名短篇29

ジェイ・ルービン/編 、村上春樹/序文

3,888円(税込)

本の仕様

発売日:2019/02/27

読み仮名 ペンギンブックスガエランダニホンノメイタンペン29
装幀 新潮社装幀室/装幀
発行形態 書籍
判型 四六判変型
頁数 494ページ
ISBN 978-4-10-353436-5
C-CODE 0093
ジャンル 文学・評論
定価 3,888円

日本と西洋、男と女、近代的生活その他のナンセンス、災厄など七つのテーマで選ばれたのは、荷風・芥川・川端・三島、そして星新一・中上健次から川上未映子・星野智幸・松田青子・佐藤友哉までの二十九の珠玉。村上春樹が収録作品を軸に日本文学を深く論じた、必読の序文七十枚を付す。

著者プロフィール

ジェイ・ルービン Rubin,Jay

1941年ワシントンD.C.生まれ。ハーバード大学名誉教授、翻訳家、作家。シカゴ大学で博士課程修了ののち、ワシントン大学教授、ハーバード大学教授を歴任。芥川龍之介、夏目漱石など日本を代表する作家の翻訳多数。特に村上春樹作品の翻訳家として世界的に知られる。著書に『風俗壊乱:明治国家と文芸の検閲」『ハルキ・ムラカミと言葉の音楽」『村上春樹と私』、小説作品『日々の光』、編著『芥川龍之介短篇集』がある。英訳書に、夏目漱石『三四郎』『坑夫』、村上春樹『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』『神の子どもたちはみな踊る』『アフターダーク』『1Q84』など。

村上春樹 ムラカミ・ハルキ

1949(昭和24)年、京都市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。1979年『風の歌を聴け』(群像新人文学賞)でデビュー。主な長編小説に、『羊をめぐる冒険』(野間文芸新人賞)、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(谷崎潤一郎賞)、『ノルウェイの森』、『国境の南、太陽の西』、『ねじまき鳥クロニクル』(読売文学賞)、『海辺のカフカ』、『アフターダーク』、『1Q84』(毎日出版文化賞)、『騎士団長殺し』がある。『神の子どもたちはみな踊る』、『東京奇譚集』などの短編小説集、エッセイ集、紀行文、翻訳書など著書多数。海外での文学賞受賞も多く、2006(平成18)年フランツ・カフカ賞、フランク・オコナー国際短編賞、2009年エルサレム賞、2011年カタルーニャ国際賞、2016年ハンス・クリスチャン・アンデルセン文学賞を受賞。

村上春樹 Haruki Murakami 新潮社公式サイト

目次

序文 切腹からメルトダウンまで 村上春樹
日本と西洋 Japan and the West
監獄署の裏 永井荷風
忠実なる戦士 Loyal Warriors
興津弥五右衛門の遺書 森鴎外
憂国 三島由紀夫
男と女 Men and Women
焔 津島佑子
箱の中 河野多惠子
残りの花 中上健次
ハチハニー 吉本ばなな
山姥の微笑 大庭みな子
二世の縁 拾遺 円地文子
自然と記憶 Nature and Memory
桃 阿部昭
『物理の館物語』 小川洋子
忘れえぬ人々 国木田独歩
1963/1982年のイパネマ娘 村上春樹
ケンブリッジ・サーカス 柴田元幸
近代的生活、その他のナンセンス Modern Life and Other Nonsense
屋根裏の法学士 宇野浩二
工場のある街 別役実
愛の夢とか 川上未映子
肩の上の秘書 星新一
恐怖 Dread
砂糖で満ちてゆく 澤西祐典
件 内田百閒
災厄 天災及び人災 Disasters, Natural and Man-Made
関東大震災、一九二三
大地震・金将軍 芥川龍之介
原爆、一九四五
虫 青来有一
戦後の日本
五拾銭銀貨 川端康成
ピンク 星野智幸
阪神・淡路大震災、一九九五
UFOが釧路に降りる 村上春樹
東日本大震災、二〇一一
日和山 佐伯一麦
マーガレットは植える 松田青子
今まで通り 佐藤友哉
日本版のあとがき ジェイ・ルービン

インタビュー/対談/エッセイ

とにかく良い作品を集めたかった

ジェイ・ルービン

 2013年9月、英国の大手出版社ペンギン・ブックスの編集者サイモン・ウインダーからメールが届き、近代・現代日本の短編小説集を編纂しないかとの誘いがあった。最初、私はこの仕事を引き受けることを躊躇した。なぜなら過去二十五年間にわたって村上春樹の作品にかなりの時間を費やしていたため、「日本文学」という、より広い分野の動向を追うことをすっかり怠っていたからである。しかし同時に、少なくともその埋め合わせを試みるのも悪くないと思い、数週間後、サイモンに仮の目次を含めた企画書を送った。
 当初は年代順に短編を並べようと考えた。頭に浮かんだ作品群は、国木田独歩夏目漱石芥川龍之介の研究や翻訳、また戦前日本の文学検閲の研究(『風俗壊乱:明治国家と文芸の検閲』世織書房、2011年)のために親しんだ一連の作品だった。最初のリストにあった二十八作品中、最終的に残ったのはわずか十三作品。樋口一葉島崎藤村田山花袋、徳田秋声、志賀直哉井伏鱒二太宰治坂口安吾小島信夫大江健三郎などの作品には優れたものが多かったが、3・11の震災を考慮して選ぶ作品を変えることとなった。
 この企画は2013年に始まったので、2011年3月11日の記憶は当然まだ鮮明であり、東日本の大地震、津波、原発事故を反映した作品群で本を締めくくることを思いついた。作品を年代順に並べたとしても、東日本大震災をめぐる作品は自然と本の終わりに来るはずである。しかしこの大震災を歴史的現象として考え始めると、日本を襲った他の災害や惨事と一緒にまとめたいという思いが強くなり、本の最後のセクションは、1923年の関東大震災から始まり、1945年の広島と長崎の原爆投下を含む、「災厄 天災及び人災」として、まとめることにしたのである。
 1980年代初頭、江藤淳教授のもとで占領期の文学検閲に関する研究をしていた頃、大田洋子や原民喜をはじめとする広島・長崎出身の作家による作品を多読した。そして、それまでアメリカ人の近代日本文学研究者として、原爆について読むことを避けていたことに気づかされた。この本能的な回避の根底にある、アメリカは罪を犯したのだという思いを自覚するようになると、原爆をめぐる作品をできるだけ読むことが、私にとって贖罪の行為になった。第二次世界大戦中のアメリカ人による日系アメリカ人の迫害を描いた小説『The Sun Gods』(日本語版:『日々の光』新潮社、2015年)を執筆したときも、その当時読んだ書籍を大いに参考にして、長崎の原爆投下についての章を含めた。また、広島と長崎で起きた身の毛のよだつような事実を回避するすべを見出していたのはアメリカ人の私だけでなく、日本の批評家や一般読者も同じだということに気づいた。「原爆文学」という名称をつけ、日本文学の中の特殊なカテゴリーとしてまとめてしまえば、メインストリームから切り離し、都合よく避けることができるのだ。アメリカ人が落とした原爆がその下にいた人々にもたらした惨事を描いた作品を読むことは、アメリカ人にとって重要である。同様に、日本の読者にとっても、そうした作品を文学の主流の一部として、近代日本人の体験を理解する上で不可欠なものとして扱うことも等しく重要だと思う。
「災厄 天災及び人災」の章がまとまると、作品を年代順に配置することはもはや適切とは思えなかった。そもそも私は、西洋の読者に近代・現代日本文学の発展を解説する簡潔な年代記を提供するつもりはなく、とにかく良い作品を集めたかった。それらは長年にわたり私に大きな感銘を与え、西洋の日本文学研究者に、膨大な時間とエネルギーを費やしてでも母語たる英語に翻訳したいと思うほど強いインパクトを与えてきた作品群だ。そこで、時系列よりも重要なのは「作風」と「主題」であると考え、レンタルビデオ屋の陳列方法に倣って、目次にあるようにテーマ別に七つのグループに分類した。
 村上春樹はすでに、私が発表した三作品『Rashomon and Seventeen Other Stories』(2006、日本語版:『芥川龍之介短篇集』新潮社、2007年)、夏目漱石『三四郎』英訳(2009)、夏目漱石『坑夫』英訳(2015)に序文を書いてくれている。いずれの場合も、みっちり下調べをしてくれて、入念なリサーチと深い思考が反映された序文を完成させた。そして四冊目となる本書の序文を書くことも快諾してくれたわけだが、きっとその仕事の膨大さにいささか驚いたと思う。しかし、今回もまた期待を裏切らず、洞察力に満ち情報も詰まった文章を寄せてくれた。日本の読者にも、本書の編纂と序文に注がれた努力と献身を感じ取っていただければと思う。

本書「日本版のあとがき」より

(ジェイ・ルービン ハーバード大学名誉教授・翻訳家・作家)
波 2019年3月号より
単行本刊行時掲載

担当編集者のひとこと

 本書はイギリスで刊行された原著のいわば「逆輸入版」。老舗の文藝出版社がハーバード大学名誉教授のルービン氏に編纂を、序文を村上春樹さんに頼んで出来た一冊。
 編者曰く「レンタルビデオ屋の陳列方法に倣って」、この手の本によくある時系列ではなく、テーマ別に名短篇を七つのグループに分けて掲載しています。その選択は、村上さんの序文によると「(注・デパートなどの)『福袋』のことを思い出してしまった。そういう良い意味でミステリアスな、そして射幸的な楽しみが間違いなくここにはある。袋を開けて、中身を楽しんでいただければと思う」。
 収録作家を挙げておきます。永井荷風。森鴎外。三島由紀夫。津島佑子。河野多惠子。中上健次。吉本ばなな。大庭みな子。円地文子。阿部昭。小川洋子。国木田独歩。村上春樹(二篇)。柴田元幸。宇野浩二。別役実。川上未映子。星新一。澤西祐典。内田百閒。芥川龍之介(二篇)。青来有一。川端康成。星野智幸。佐伯一麦。松田青子。佐藤友哉。
 収録作品に全て触れつつ日本文学を深く論じた序文七十枚もきわめて読みごたえがあり。どうぞ袋を開けて下さい!

2019/03/27

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