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決定版カーネギー 話す力―自分の言葉を引き出す方法―

D・カーネギー/著 、東条健一/訳

1,430円(税込)

発売日:2015/08/27

  • 書籍
  • 電子書籍あり

正しい「話し方」を身につければ、すべての聞き手は味方にできる。

世界的ベストセラー『人を動かす』、『道は開ける』の著者が明かす、人前で話すための秘訣。どうすれば緊張せずに話せるのか。どうすれば正確にメッセージを伝えられるのか。テーマの見つけ方から、アイデアの熟成のさせ方、説得力のある構成の作り方、本番での心構えなど、相手の心を動かすための具体的アドバイスが満載。

目次
第1章 あなたも必ず「話す力」を獲得できる
●「話す力」は練習すれば短期間で身につく
●1対1なら話せるのに、なぜ複数の人の前では話せなくなるのか
●どんな偉人でも、最初はうまく話せなかった
第2章 「話す力」を最大限に得るために必要な4つのこと
ルール(1)能力の獲得を、強く望み続ける
ルール(2)何を話したいのか決めてから話す
ルール(3)自信があるように振る舞う
ルール(4)実際に練習する
第3章 伝わるメッセージを生み出す「準備」の方法
●十分な準備ができた時点で、9割成功している
●真の準備とは、自分のなかにあるものを引き出すこと
●自分自身の考え方・アイデア・信念・衝動を収集しておく
●独創的な思考プロセスの生み出し方
●長期間考え続けることの効果
●話すテーマの決め方と内容の組み立て方
●実例は、自分の主張でサンドイッチにする
●自分の興味だけでなく、相手の興味を考える
●実際に使用するよりはるかに多くの材料を集めて、取捨選択する
第4章 思考と説得力を強化する方法
●スピーチには計画が必要
●伝える・動かす――強い説得力の設計法
●3つの構成で話を組み立てる
●口述筆記で原稿を推敲する
●メモを使って思考を整理する方法
●練習すればするほど「話す力」は強化される
●その場で知識と思考をまとめる練習
第5章 大事なことを忘れない強い記憶力を得る方法
●集中した時間は、記憶力も向上する
●正確さにこだわると、観察力が増す
●視覚と聴覚で深く記憶する方法
●イメージを活用して要点を記憶する方法
●脳の働きを利用した反復記憶法
●連想による関連づけで、記憶を呼び起こす
●話をすべて忘れても話を続ける方法
第6章 相手を引きつけ離さない技術
●あなたの態度が、相手の態度を作る
●自分の話の価値を信じ込むと、説得力が生じる
●人を引きつける信念と情熱を探す
●熱意は態度で表現する
●話をする前に、自分を奮い立たせておく
●確信を伝えるには、気弱な言葉を使わない
●聴衆に愛される秘訣は、自分が聴衆を愛すること
第7章 最大限に「伝える」技術
●話し方が悪いと、内容は伝わらない
●相手に伝えたいという意識を持つ
●本当の自分を引き出す練習
原則(1)重要な言葉は声に力を入れる
原則(2)言葉によって、声の高さを変える
原則(3)言葉の重要度によって、話す速度を変える
原則(4)重要なところは、沈黙を使う
第8章 誰よりも注目される存在感を作る技術
●人を引きつける人ほど、エネルギーが高い
●良い身だしなみは、相手から敬意を引き出す
●注目が欲しければ、先に相手に注目する
●群集心理を利用して相手をコントロールする
第9章 聞き手を味方に変える技術
●聞く耳を持たない相手に、耳を傾けさせる方法
●異なる意見を持つ相手からイエスを引き出す方法
●反対意見を持つ相手を味方にする方法
●相手に意見を変えさせる話し方
第10章 「話す力」を発揮するために不可欠な3つのこと
●必ず成功するという確信を持つ
●心から望み、あきらめない
●ある日突然、飛躍的に上達することを信じる
「話す力」を獲得するための20のポイント
訳者あとがき

書誌情報

読み仮名 ケッテイバンカーネギーハナスチカラジブンノコトバヲヒキダスホウホウ
発行形態 書籍、電子書籍
判型 四六判変型
頁数 224ページ
ISBN 978-4-10-506652-9
C-CODE 0098
ジャンル ビジネス実用、趣味・実用
定価 1,430円
電子書籍 価格 1,144円
電子書籍 配信開始日 2016/02/12

書評

人前で話す恐怖に負けないために

吉田尚記

 人前で話す機会が欲しくてウズウズしている人、って、どれくらいいるのでしょうか?
「学級委員になりたい人!」という先生の問いかけに対して、小学4年生までは一斉に手が上がっていたのに、5年生になった途端に誰も手を上げないのを見て衝撃を受けたことがありますが、ほとんどの大人は、可能な限り、人前で喋りたくないのではないでしょうか。
 でも同時に、そのことから逃げているのが、自分の最大の弱点だ、と薄々気づいている人も少なくないでしょう。
「話す力がほしい」と思う人の本当のニーズは、本書でも指摘されていますが、「人前でも安心感や解放感を得たい」ということじゃないでしょうか。「話す力」は、突然人前で喋らなければならない、というあの恐ろしい状況に負けずに安心して過ごすための力なのです。
 こんなことを言っている私は、ラジオ局のアナウンサーです。イベントの司会は年に100本以上、スピーチ的なことも、最近は授業的なこともやらせて頂いていたり、そもそも毎日、オールナイトニッポンの直前の1時間、年に200回以上の生放送を担当させて頂いています。
 また僭越ながら、今年『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』という本を出版させていただきまして、おかげさまで一部では上半期売上ベスト10に入るなど多くの方に読んでいただいたのですが、この『なぜ楽』は、いわゆるコミュ障、コミュニケーションに悩んでいる人間に贈る本です。スピーチではなく、1対1、もしくは少人数での会話を取り扱った本で、その内容のひとつは「自己主張はいらない」ということ。コミュニケーションを自己表現と考えるのではなく、相手と呼吸を合わせて、気持ちよくなるためのゲームと考えましょう、という本でした。
 実はこの本には、まだ書いてない先がありました。
 それは、どうしても「伝えなければいけないことがある」場合について。カーネギーのこの『話す力』は、まさにその自己主張がある場合についての本なのです。そして、私が毎日行なっている仕事は、まさにそのスピーチです。
 一応プロの端くれとして、自分の専門分野のハウツー本として見ると、「それは言われないと気付かないかも!」と思うことや、「私もそれを言うべきだと思ってた!」ということのオンパレード。具体的で、実用的です。
 何項目か上げましょう。「スピーチは、聴衆にイエスと言わせる共通点から入る」――これ、前説の基本中の基本です。「対象について、スピーチに登場する外側の知識も持っておくべき」――言葉にしていない知識が、スピーチの詳細を精緻にしてくれることはよくあります。「聴衆は、自分が見つけた、と思うことを強く信じる傾向がある」――ラジオの演出法に「これって○○なんですよー」としたり顔で言うより、「えっ!? これって○○なの!?」とリスナーと一緒に驚いたほうが何倍も伝わる、というものがあります。これらの生々しいテクニックの数々が、何十年も前に書かれた原書に載っているとは、驚きです。
 ただ、こうしたある意味小手先のテクニックを越えて、この本には、スピーチの本質そのものが、ズバリと書いてありました。
 曰く「メッセージを持つ」こと。
 伝えたいメッセージがある人は、その場に立つだけで、相手に何かが伝わります。また、メッセージのある良いスピーチは、必ず、一言の言葉に要約できるのです。
 もちろんスピーチのためにメッセージを持つのでは本末転倒です。どんな人でも、生きている限り、たった一つのメッセージを持っています。あるディレクターは、「オレがキューを振った相手は、どんなことがあっても一生面倒を見る」と臆面もなく宣言していました。ある意味、社会人としては荒唐無稽です。でも、間違いなくそのディレクターはそれを信じていましたし、何より、この人の作る番組は、人を動かしていたのです。
 その人に宿ってしまうメッセージは、実際に実現可能か、社会倫理に反していないか、なんて基準を飛び越えています。そのメッセージに自分で気づいたときの解放感は、人生の真実に触れたような感覚をもたらしてくれます。
 スピーチを通じて、自分に本当に宿っているメッセージに気づかせ、そして気づいた人を解放する。この本は「スピーチ道」の本、と言っていいのではないでしょうか。
 
 

(よしだ・ひさのり ニッポン放送アナウンサー)
波 2015年9月号より

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著者プロフィール

D・カーネギー

Carnegie,Dale

(1888-1955)アメリカ・ミズーリ州に生れる。セールスマンなどの仕事を経て、YMCAの夜間学校で「話し方」の講座を受け持つようになる。講座用テキストとして執筆された『決定版カーネギー 話す力―自分の言葉を引き出す方法―』がベストセラーに。その後に発表された『人を動かす』と『道は開ける』は、ビジネス書・自己啓発書の名著として現在も世界中で広く読み継がれている。

東条健一

トウジョウ・ケンイチ

作家。1993年大学卒業。営業職、大手報道機関の社会部記者を経て、現職。著書に『リカと3つのルール』、訳書にD・カーネギー著『決定版カーネギー 道は開ける』、『決定版カーネギー 話す力』、『人を動かす 完全版』(すべて新潮社)がある。

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