【2刷】BEYOND THE STORY ビヨンド・ザ・ストーリー―10-YEAR RECORD OF BTS―
7,777円(税込)
発売日:2023/07/11
- 書籍
- 電子書籍あり
デビュー10周年、かつてないほど率直に語られた初のオフィシャル・ブック。
あなたが知っているBTS、それを超える彼らの物語。共にしてきた‶花樣年華〟、青春の最初の記録――。3年以上にわたる深層取材、そして7人がインタビューを通して聞かせてくれるグループの軌跡とビハインドストーリー。アーティストとして、また個人としてのBTSの素顔とまなざしを収めた未公開ポートレート21枚を掲載。
書誌情報
読み仮名 | ビヨンドザストーリービヨンドザストーリーテンイヤーレコードオブビーティーエス |
---|---|
装幀 | 大野リサ/日本語版ブックデザイン監修 |
発行形態 | 書籍、電子書籍 |
判型 | B5判変型 |
頁数 | 512ページ |
ISBN | 978-4-10-507342-8 |
C-CODE | 0098 |
ジャンル | 自伝・伝記 |
定価 | 7,777円 |
電子書籍 価格 | 6,999円 |
電子書籍 配信開始日 | 2023/12/25 |
インタビュー/対談/エッセイ
「チーム」「生存競争」「転換点」――まさか発売されるとは思わなかったBTSメンバーのインタビュー集
デビュー10周年、かつてないほど率直に語られたBTS初のオフィシャル・ブック。総頁512頁、重量1・2キロの永久保存版、ついに発売!
「BTS関係の大型企画が出るので翻訳を」とオファーをいただいてすぐ頭に浮かんだのは、「BTSを生んだHYBEのバン・シヒョク議長が、ついにご自身のことを書かれたのかな」ということでした。まさかそれがBTSの本で、メンバーご本人たちの言葉が満載なのだとは予想もしなかったのです。
JINさんが兵役に就き、ほかのメンバーたちはそれぞれのソロ活動を一生懸命にしていたタイミングでしたから、よけいにそう感じたのでしょう。じつは7人で、BTSのファンダム・ARMYの誕生日である「ARMY DAY」に向けてこの本を準備してくれていることを知り、感激の思いでいっぱいになりました。
もちろん、私はほかの全ての仕事をいったんストップして、『BEYOND THE STORY:10-YEAR RECORD OF BTS』日本語版の翻訳を引き受けました。ただ分かったのは、韓国語で500ページもあること、韓国オリジナル版と同じタイミングで日本の読者に届けるために、超特急での翻訳が必要だということでした。
本書ならではの魅力を3つ、ご紹介していきましょう。その1つめは、メンバーの言葉によって、点と点で見ていたものが線でつながるところにあります。
ソウル育ちではない7人がそれぞれHYBEの前身Big Hit Entertainmentを目指し、宿舎に入り、ひとつのチームになるまでを描く最初の章。熱烈なファンほど知っているエピソードもありますが、それらの出来事がメンバーそれぞれの口から語られ、川の流れのように物語がまとまります。その凝縮された物語を読んでいくワクワク感は、きっとみなさん初めての体験になるはずです。
もちろん、お互いが初めて出会った瞬間についても語られています。J-HOPEさんは、ひとりでソウルにやって来たJIMINさんを迎えに行ったときのことをこう振り返りました。
――「ジミンさん?」「パク・ジミンさん?」って。挨拶をして、宿舎まで一緒に歩きながら話しました。ダンスについて尋ねたら「はい、ポッピンをやっていました」と言うので、「わー、僕もストリートダンスをやっていました」と。「お互い助け合えるといいね」。こんな会話をしたんです。すごくぎこちない雰囲気で(笑)。【CHAPTER 1】
文字から、彼らのぎこちない様子と、2人の表情が目に浮かんできます。そして思わずくすっとしてしまいます。元の文章がうまいのです。構成もよく、メンバーの個性が表れる言葉を引き出している。メンバーご本人たちをよく知っている方が愛情と熱量をもって書いているな、と考えていたら、インタビュアーはWeverse Magazineのカン・ミョンソクさんだと後から分かって、なるほどと納得の思いでした。
J-HOPEさんは当時の宿舎の様子をこう表現していて、印象深かったです。
――ラップの巣窟でした、ラップの巣窟。
――いやもう、宿舎に帰って目が合うと、みんないきなりフリースタイルでラップをするんです。【CHAPTER 1】
ファンの皆さんなら、彼らがデビュー後にも長い苦労の道のりを歩いてきたことをご存知でしょう。熾烈な「生存競争」は、BTSのキーワードであり、本書の読みどころでもあります。彼らはステージのために日々練習を重ね、ステージ上での圧倒的なパフォーマンスで勝ちぬいてきました。
ぜひ読んで欲しいのが2014年、香港で開催されたMAMAのお話です。JIMINさんが白いタンクトップを破り脱いでみせたあのステージ、と言うほうが早いかもしれませんね。彼らがこの頃、何と闘っていたか。この前日まで、何が起きていたか。
MAMAのステージは「ネクスト ジェネレーション オブ K-POP」という名のコラボレーションステージで、ダンスやラップを交互に披露した後、各チームが自分たちの曲のパフォーマンスをする形式でした。そしてBTSは当時勢いを見せていたBlock Bと対決する構図で進められました。RMさんは心境をこう語っています。
――僕たちはなんとかして……這いあがろうとしていました。
――皆同じ考えでした。年上メンバーが怒れば自分も怒り、年下メンバーが憤れば自分も憤る。僕たちは一心同体だったので、思いも以心伝心だったのでしょう。【CHAPTER 2】
JIMINさんもステージに上がる前の感情をこう語ります。
――絶対に勝たなければなりませんでした。すべての部分で後れをとりたくなかったんです。【CHAPTER 2】
このようにメンバーが語る当時の心境を読み、すぐそばに示してある二次元コードから飛んでそのステージ映像を見直すと、見え方が違ってくるのが分かります。
理解の仕方がまったく違ってくる。少なくとも私はそうでした。
本書にはストーリーとリンクした動画に飛ぶ二次元コードが約340も掲載されており、これが本書ならではの魅力の2つめです。
そうしてまた本文に戻ると、7人で〈Danger〉を披露したステージを締めくくる、Vさんの言葉に目が止まりました。
――MAMAでこの曲の魅力を200%引き出せたと思います。【CHAPTER 2】
2014年当時のK-POP雑誌を自宅で引っ張り出してみると、表紙を飾っていたアイドルの中で現在も残っているグループは、ごくわずかです。BTSはチャンスを掴む準備を重ね続け、RMさんの言葉を借りるとステージで見せた一瞬一瞬すべてが「闘争」【CHAPTER 2】だったのです。だからこそ彼らはとにかくステージで強い。
そしてその強さは、着ていたスーツの上着を一瞬にしてつなげて世界を驚かせた、去年のグラミー賞授賞式のパフォーマンスにまで繋がっています。
アルバムが売れ、ファンダム・ARMYが世界各地に増えてからも彼らの挑戦は続くのですが、彼らが試練を受け入れ、成長を遂げる転換点が正直に明かされていることも、この本ならではと言えるでしょう。
JINさんは「人生最高の曲」を〈Burning Up(FIRE)〉だと語っています。
――僕の人生最高の曲は〈Burning Up(FIRE)〉です。その前は自信がなかったけれど、〈Burning Up(FIRE)〉のパフォーマンスで見せた投げキスをARMYたちに会ったときにしたら、それをステージじゃなくて日常生活のなかでやったからか、とても喜んでくださったんです。だからARMYたちが喜ぶ行動を探してみたらいろいろ出てきて、それですごく自信を取り戻しました。そのうちにそれが僕のキャラクターになって、少し厚かましいようなジェスチャーをすることも増えてきたように思います(笑)。【CHAPTER 3】
Vさんはプレッシャーに襲われながら完成させたソロ曲〈Stigma〉のステージが、アーティストとして自分らしさを出すきっかけになったと明かします。
――曲をじっくりと聴いて準備しました。自分の実力不足を感じて、もっと一生懸命に頑張らないといけないと思ったのです。特にステージでライブをするとき、曲をうまく生かすことができるように。
――ステージに対する欲望はアーティストにはもっとも重要な単語です。僕はその欲望に突き動かされて音楽をやってるんです。【CHAPTER 4】
また、JUNG KOOKさんは、ソロ曲〈Begin〉に関連して、メンバーとの関係を振り返りながら、自分が成長できた理由をこう話しました。
――メンバーたちが、僕に何かを具体的に教えてくれたわけではありません。でも、僕の話し方や普段の行動に、みんなが垣間見えることがあるんです。みんなが音楽をする姿、ステージでのささいなジェスチャーや、インタビューを受けるときの姿を見ながら、僕も何かを得て学んだのです。SUGAさんの考え方、RMさんの言葉、JIMINさんの行動、Vさんの個性的な姿、JINさんの明るさ、J-HOPEさんの前向きな心……。こういうことがひとつひとつ、僕にすっと入ってきたんです。【CHAPTER 4】
そしてSUGAさんが自分の歌の歌詞について明かした言葉を知って、今回のソロ世界ツアーを見ていた私には、こみ上げるものがありました。
――僕の曲の半分以上は、夢と希望を歌っていると思います。そういう話は、音楽でもなければ、誰もしてくれないでしょう。でもそれらの音楽は、今思えば、僕自身に対して言い聞かせていることなんです。【CHAPTER 3】
なぜBTSは世界を夢中にさせるのか。ファンはもちろん、多くの音楽評論家たちがその謎について議論してきましたが、その魅力の源はメンバー7人です。未公開ポートレートから最後の512ページに至るまで、そのことを体感できることこそが、本書のもっとも大きな魅力ではないかと思います。
(くわはた・ゆか 韓国語翻訳者)
波 2023年8月号より
単行本刊行時掲載
関連コンテンツ
BIGHIT MUSICによる本書紹介
BTSデビュー10周年、初のオフィシャル・ブック
あなたが知っているBTS、それを越える彼らの物語
2013年6月13日に世界へ第一歩を踏み出し、2023年6月にデビュー10周年を迎えるBTS。
誰もが知るグローバルなアーティスト、そして時代のアイコンとして頂点に立ち、新たな章を刻んだ今、
これまでの音楽活動を振り返り、彼らの存在意義を今一度確認しよう。
数年にわたる制作期間を経て、所属事務所のBIGHIT MUSICが披露する、BTSの初のオフィシャルブック。
そして、BTSが直接語る、今まで聞くことのできなかった最も気になる物語。
共にしてきた〝花樣年華〟、青春の最初の記録 3年以上にわたる深層取材、そして7人がインタビューを通して聞かせてくれる グループの軌跡とビハインドストーリー
複数のメディアでK-POPをはじめとする韓国のポピュラー文化を文章の形で記録してきたカン・ミョンソクが、3年以上の取材を通じて、BTSのデビュー前から現在までを全7章にわたり時系列で深く掘り下げる。韓国国内外のポピュラー音楽全般に対する鋭い洞察と幅広い理解をもとに、多角的な視点から彼らの音楽的な歩みをたどり、その意義を見つけ出していく。
そうして筆者の客観的な視線を維持する一方、BTSとの個別インタビューを通じて、彼らの生の声と考えを本書に綴っている。カメラもなく、メイクもせず、2年以上にわたって続けられたインタビューで、BTSはかつてないほど率直に深い話を聞かせてくれた。
未公開写真、全アルバム情報、330以上のQRコードなど
BTSのすべてを一冊に集約
『BEYOND THE STORY』は、表紙をめくるとすぐに、アーティストとして、また個人としてのBTSの素顔と眼差しを収めた21枚のポートレート写真でメンバー一人ひとりを紹介し、BTSに関する「物語の向こう側(beyond the story)」の物語へと続いている。カン・ミョンソクが書いた文章にはBTSメンバーのコメントがところどころに散りばめられ、躍動感と真剣さが伝わってくる。
このように筆者の文とメンバーたちの声が組み合わさって一連の流れを生み出し、BTSの音楽活動のすべてを教えてくれる『BEYOND THE STORY』。練習生時代からインターネットプラットフォームを介して世界とコミュニケーションしてきたBTSのスタイルに合わせて、読者がBTSの活動を追いながら、文中に出て来る映像や音源に簡単にアクセスできるような本になっている。330以上のQRコードが収録されているので、単行本としては珍しい構成である。これにより、BTSの歴史に新たなページを刻んだ重大な出来事を、文章だけでなく映像や音源、各種投稿など、様々な形で楽しんでもらえるだろう。
このほか、すべてのアルバムのコンセプトフォトとトラックリストを収録し、各アルバムのトレーラーやミュージックビデオを鑑賞できるQRコード、それぞれの作品が理解できる注釈などが適所に配置されている。それだけでなく、アルバム、コンサート、受賞歴、海外での活動などの主な実績が一目でわかるタイムラインも収録されている。『BEYOND THE STORY』は、BTSに関するアーカイブとしても価値を持つと言えるだろう。
計24か国語で翻訳出版
韓国書籍としては初の韓国語版・外国語版同時出版
オリジナルである韓国語版をもとに、計24か国語で翻訳出版される『BEYOND THE STORY』。そのうち10の言語版が、BTSのファンダム「ARMY」が誕生した7月9日、いわゆる「ARMY Day」に韓国語版と同時に上梓され、9月までに順次ほかの言語版も出版される。韓国の書籍が、韓国でオリジナルが出るのと同時に海外でも十数か国語の外国語版が出版されるのは初めてのことで、さらに、日曜日に発売されるのも前例のないことである。
また、『BEYOND THE STORY』は外国語版も様々な面で注目に値する。世界3大文学賞の一つとされるブッカー賞(Booker Prize)の国際部門の最終候補に選ばれた韓英翻訳家アントン・ホ(Anton Hur)、ハン・ガンの『菜食主義者』やチョン・ボラの『呪いのウサギ』などをドイツ語に訳した翻訳家イ・ギヒャンなど、韓国の文学と文化を様々な言語で世界に紹介している翻訳家たちが『BEYOND THE STORY』の翻訳版制作に参加した。
私たち、共に歩んでいく日々
新しい道を開く新たな旅の始まり
過ぎてきた道を振り返る時間は、これから進む時間にもつながる。いつからか、BTSの一瞬一瞬、一歩一歩は、世界になかった道、誰も歩んだことのない道を開く挑戦となった。デビュー10周年という節目を迎え、これまでの足跡を振り返る一方で、そこからBTSは、さらに長く続くであろう輝かしい日々を築く力を得る。そうしてここで、BTSはもう一度新たな一歩を踏み出し、前進することを選ぶ。
だからこそ、『BEYOND THE STORY』は、時空を共に歩んできた「ARMY」と分かち合いたい記録であり、「ARMY」になったばかりの人やいつか「ARMY」になって新しいページを共に刻む人のための記録でもある。 まだ一行も綴られていないワクワクする未来が私たちを待っているのだ。
著者プロフィール
カン・ミョンソク
カン・ミョンソク
評論家であり、複数のメディアの編集長として活動しながら、K-POPをはじめとする韓国のポピュラー文化を、文章の形で長い間記録してきた。現在、『Weverse Magazine』を担当している。
BTS
ビーティーエス
2013年6月13日にデビューした韓国のボーイグループ。「防弾少年団」または「Beyond The Scene(BTS)」。RM・SUGA・JIN・J-HOPE・JIMIN・V・JUNG KOOK、7人のメンバーで構成されている。自らのストーリーを込めた音楽と情熱的なパフォーマンス、ファンとの真摯なコミュニケーションにより、国や言語、人種、性別、世代など、あらゆる境界を越え、多くの人から愛されている。その愛に音楽で応えられる方法を常に探している。
桑畑優香
クワハタ・ユカ
翻訳家、ライター。早稲田大学第一文学部卒業。延世大学語学堂、ソウル大学政治学科で学ぶ。訳書に『BTSを読む なぜ世界を夢中にさせるのか』『BTSとARMY わたしたちは連帯する』『それぞれのうしろ姿』等。