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天皇への敗北─シリーズ哲学講話─

國分功一郎/著

990円(税込)

発売日:2026/04/17

  • 新書
  • 電子書籍あり

“私たち”はどんな物語を信じてきたのか。戦後80年の核心に迫る、憲法×文学論。

公布から80年、今こそ日本国憲法を本気で考える。憲法をめぐって紡がれた物語は、国民に浸透しつつも、第二次安倍政権下で危機に直面する。その時、立ちはだかったのは意外な“存在”だった──。「天皇への敗北」はなぜ起きたのか? その理由を、30年前に物議を醸した「敗戦後論」、昭和の憲法学者と文人の抵抗、戦争責任まで遡って探る。戦後憲法学の試みを近代文学に準え、複雑に絡み合う「天皇・憲法・戦後」の核心に迫る。

目次

はじめに──「戦後」日本と憲法学

第一章 天皇への敗北──戦後日本の民主主義における憲法の物語について
戦後民主主義と憲法学者/日本における憲法学への高い関心/戦後日本における憲法学の役割/憲法と文学/民主主義と立憲主義/“下”からの決定と“上”からの制限/二つの理念を守り抜く/憲法物語の手がかり/立憲国家への反逆にして革命/危機に瀕した立憲主義/天皇と護憲/1条のための9条から、9条のための1条へ/「天皇に頼らざるを得なかった」──憲法物語の残酷な現実/戦後民主主義の到達点
【注】

第二章 天皇と憲法をめぐる運命のアイロニー──「天皇への敗北」補講
二〇一五年の絶望/世界でもっとも憲法を語る国/憲法学と文学の役割/憲法学の物語/緊張関係/あるエピソード──成熟について/行政の幼稚な夢/二〇一三年の天皇の発言/反立憲的勢力への天皇の敵対/天皇とリベラル──運命のアイロニー/もう一つの敗北
【注】
【コラム(1)亡命はなぜ難しいのか?】

第三章 「ねじれ」あるいは自己欺瞞──『敗戦後論』と或る憲法学者
加藤典洋『敗戦後論』/日本の戦争責任と謝罪/憲法の選び直し/憲法についてのいくつかの立場と説/一九九五年という年/哀悼/被害者意識について/責任を突きつけるだけで責任感をもてるか/三〇年前の罪悪感/どうやって「恥じ入る」ことができるようになるか/或る憲法学者の抵抗/「日本帝国ハ聯合国ノ指揮ヲ受ケテ 天皇之ヲ統治ス」/「戦後」という観点で考えないこと
【注】
【コラム(2)「敗戦後論」その可能性の中心】

第四章 昭和の文人、昭和の憲法学者
中野重治がいた/中野重治の「転向」/史上最低の転向/「やはり書いて行きたいと思います」/孫蔵の長い語り/人情不感症/昭和の文人/「五勺の酒」の天皇観/江藤淳への疑念/江藤淳の暗さ/戦後文学と検閲/昭和の文人、昭和の憲法学者/エピローグ──戦後の中野、江藤の戦後
【注】

終章 戦争責任と加害者臨床
人権の認められない「飛び地」/天皇の戦争責任/「あるいは、むしろ、よくわかる」/加害者臨床/戦争責任と臨床
【注】

おわりに

書誌情報

読み仮名 テンノウヘノハイボクシリーズテツガクコウワ
シリーズ名 新潮新書
装幀 新潮社装幀室/デザイン
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 224ページ
ISBN 978-4-10-611120-4
C-CODE 0210
整理番号 1120
ジャンル 哲学・思想
定価 990円
電子書籍 価格 990円
電子書籍 配信開始日 2026/04/17

担当編集者のひとこと

はじめての「日本論」

 ベストセラーとなった『暇と退屈の倫理学』や『中動態の世界─意志と責任の考古学─』(いずれも新潮文庫)、新潮新書では『目的への抵抗―シリーズ哲学講話―』『手段からの解放―シリーズ哲学講話―』と、これまで國分功一郎さんは専門である西洋哲学をベースにして、それぞれのイシューを著作で論じてきました。しかし、新刊『天皇への敗北─シリーズ哲学講話─』は、「哲学の研究者である私がはじめて「日本」をテーマに書いたものです。日本の憲法、戦後の日本、日本文学といった専門外の分野に挑んでおり、その意味でいつも以上に緊張していますが、2011年以降、曲がりなりにも“言論”に携わってきた者としてけじめをつけたいと思い、精一杯取り組みました」というコメントを寄せているように、本書は國分さんがはじめて「日本」をテーマにした意欲作です。
 内容紹介に、「今こそ日本国憲法を本気で考える──」と書いたのですが、まさかここまで憲法が注目を集める状況になっているとは思わず、著者ともども驚いています。しかし、タイムリーな内容であることは間違いありません。

2026/04/24

著者プロフィール

國分功一郎

コクブン・コウイチロウ

1974年千葉県生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、東京大学大学院総合文化研究科修士課程へ。博士(学術)。専攻は哲学。2026年4月現在、東京大学大学院総合文化研究科教授。著書に『暇と退屈の倫理学』『中動態の世界 意志と責任の考古学』『目的への抵抗』『手段からの解放』など。

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