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本とは何か

難波優輝/著

1,034円(税込)

発売日:2026/06/17

  • 新書
  • 電子書籍あり

読書ってそんなにえらいのだろうか。「パフォーマンス」をキーワードに、小説、人文書、マンガからハウツー本、楽譜、レシピ本まで。この世に存在する様々な本について考える読書の哲学/美学。

本を読むとはどういうことなのか。読んでいるとき、私たちは何を体験しているのか。「読書とは〈パフォーマンス〉である」という概念を手がかりに、小説、人文書、マンガからハウツー本、楽譜、レシピまで、幾多の学問領域を渡り歩きながら、この世に存在する様々な本について考える読書の哲学/美学。本を読むことが無条件によいものとされる現代で、読書の意味を問い直す試み。

目次

はじめに 本を読んでいるときに、私たちが考えていること

第一章 へたな読書と上手な読書は何が違うのか──パフォーマンスとしての読書
#1 パフォーマンスとしての読書
#2 読書のうまいへたは何で決まるのか
#3 他の人の読書を味わう

第二章 物語を読むと他人が分かるようになるのか──あいだのパフォーマンス
#1 私たちは、いつ本を読んでいないのか
#2 でも、物語は役に立たないかもしれない

第三章 難しい人文書が分からなくてなぜ楽しいのか──分からなさと半信
#1 分からないのが楽しい
#2 本当に理解すること
#3 ざっと分かる

第四章 ハウツー本でなぜ元気になるのか──変身の予感
#1 変身の予感
#2 なぜ本なのか
#3 ハウツー本の人類学

Column 1 学びと孤独

第五章 なぜ雑誌は読み通せなくてもいいのか──回遊する時間帯
#1 「回遊する」読書
#2 くつろぎながらの背伸び
#3 読書の時間性

第六章 マンガは本なのか──アトラクションと批評
#1 マンガを読むことは読書か
#2 マンガの持つ「読書パフォーマンスらしくなさ」
#3 マンガ批評の難しさ

第七章 楽譜とレシピの何を読んでいるのか──自由と可能性
#1 楽譜は本か
#2 料理レシピ本の文学性

Column 2 書き込み

第八章 なぜ読んだ本をSNSで紹介するのか──装いと家具
#1 本をまとう
#2 コーヒーテーブルブックとホテルペインティング

Column 3 装丁の記号論

第九章 積読と書店めぐりは読むことなのか──庭とデモクラシー
#1 本はそれ自体が思考する
#2 書店を読む
#3 書店と民主的活動

あとがき

参考文献一覧

ブックガイド──本をもっと楽しく読むための18冊

書誌情報

読み仮名 ホントハナニカ
シリーズ名 新潮新書
装幀 新潮社装幀室/デザイン
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 240ページ
ISBN 978-4-10-611128-0
C-CODE 0230
整理番号 1128
ジャンル 社会学、思想・社会
定価 1,034円
電子書籍 価格 1,034円
電子書籍 配信開始日 2026/06/17

蘊蓄倉庫

本と「映え」の意外と長い歴史

「スマホのせいで本が読まれなくなった」という嘆きが聞こえる一方で、SNSと本の相性は案外良いように見えます。とりわけInstagramなどの写真投稿型SNSでは、雰囲気の良い写真を撮るための小道具として本が用いられることがしばしばあります。
 このような「映え」アイテムとしての本の歴史は意外にも長く、1950年代のアメリカでは既に「コーヒーテーブルブック」という言葉が生まれていたそうです。コーヒーテーブルブックとは、その名の通りコーヒーテーブルの上に置かれ、来客の待ち時間を埋めたり、単に飾りとして用いられることを目的にした本のこと。「なんとなく知的でおしゃれな空間」を演出するために本を用いるという発想は昔も今も変わらないようです。

掲載:2026年6月25日

担当編集者のひとこと

読書ってそんなにえらいのだろうか。

 読書離れが進む昨今、出版業界で働く私たちが最後の頼みの綱とばかりに縋っていた「本を読むことは良いことだ」という言説に真っ向から疑問を投げかける、革新的な本が誕生しました。

 著者は、昨年『物語化批判の哲学』(講談社現代新書)で鮮烈な単著デビューを飾った美学者/哲学者の難波優輝さん。驚くのは、この本の執筆のきっかけが、複数の書店員の方から投げかけられた「本を読むってそんなにえらいことなんでしょうか」という疑問の声だったということです。

 かねて、
「物語を読むと人間理解が深まるっていうけれど、ちょっと周りを見たら嘘ではないか」
「人文書を読めば読むほど、人は愚かになることもあるのではないか」
と考えていた著者は、書店員さんからの疑問の声を受けて「我が意を得たり」と思い至り、本書の執筆に取り掛かります。

 ここで興味深いのは、「読書はそんなにえらいのか」という疑問を投げかけた書店員の方も、「我が意を得たり」と思った著者も、普通の人の何倍も本を愛しているはずの人だということです。

〈良いところばかりではなく、悪いところも認識してはじめてちゃんと本を愛することになる。全肯定は愛ではない。〉
という一文には、著者の本への誠実さと本当の愛が詰まっていると感じました。

 本が好きな人にも嫌いな人にも読んでみて欲しい一冊です。
 あの佐々木マキさんに描き下ろしていただいた、本への愛が溢れるイラストにもご注目ください。

2026/06/25

著者プロフィール

難波優輝

ナンバ・ユウキ

1994(平成6)年兵庫県生まれ。美学者。神戸大学大学院人文学研究科博士前期課程修了。専門は分析美学とポピュラーカルチャーの哲学。主な著書に『物語化批判の哲学』『なぜ人は締め切りを守れないのか』『批判的日常美学について』などがある。

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