【特集】ビアズリー 背徳のモノクローム
芸術新潮 2025年2月号
(毎月25日発売)
発売日 | 2025/01/24 |
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JANコード | 4910033050254 |
定価 | 1,500円(税込) |
【特集】ビアズリー 背徳のモノクローム
AUBREY BEARDSLEY 1872-98
[巻頭エッセイ]
黄色いあだ花とその果実
談 原田マハ
[略年譜]
Too Young To Die……疾走した25年半
オーブリー 毀誉褒貶の仕事と生涯
本文解説 加藤明子
1 ピアノと読書に耽る少年
2 アーサー王の挿絵画家は期待の新星
3 サロメの衝撃
4 雑誌こそ主戦場
5 華麗なる新展開
ビアズリーを深掘りする
文 河村錠一郎
I 少女か妖婦か、サロメ比べ
II ビアズリー近辺の性事情
III 相思相愛♡ビアズリーと日本
愛されビアズリーの気になる交遊録
[コラム]じつは優れたカラリスト
[スペシャル・エッセイ]
潔い余白、塗りつぶされた闇
――僕とビアズリー
文 坂本眞一
展覧会案内
書籍案内
◆ 第2特集 ◆
- 坂本龍一展を視るため聴くためのアーティストインタビュー
- 高谷史郎 坂本龍一との最後のコラボレーション
- 岩井俊雄 伝説のライブが再現されるまで
◆ Art News architecture ◆
ついに完成!?
〈蟻鱒鳶ル〉が呼び覚ます建築の力
INTERVIEW 岡 啓輔
◆ Art News exhibition ◆
宮脇綾子のセンス・オブ・ワンダー
超貴重! カラヴァッジョが描いた“肖像画”初公開
文 高橋恵理
◆ Art News report ◆
多様性時代の
みんなのターナー賞
文 伊藤結希
◆ Review ◆
- イェンス・フェンゲ
- 岩谷雪子
- 川端龍子+高橋龍太郎コレクション コラボレーション企画展「ファンタジーの力」
- 須藤絢乃
◆ Regular Features ◆
◇ 巻頭 ◇
Goods & Shop
時と光の美術館〈94〉
ミキモト
とんぼの手帖〈14〉
三島由紀夫、眷恋の希臘行
◇ 連載 ◇
定形外郵便〈127〉
文 堀江敏幸
三浦篤×森村泰昌
キテレツ絵画の逆襲〈6〉
日本近代洋画を見つめなおす
浅草から上野へ、そして戦争画の問題
ゲスト:木下直之
千住博の知となり肉となり〈19〉
余白について
山下裕二の
新・今月の隠し球〈36〉
髙木優希(下)
福井江太郎の
駝鳥がゆく!!〈23〉
山口源兵衛さん
千 宗屋の飲みたい茶碗、点てたい茶碗〈119〉
◇ PICK UP ◇
movie 佐々木敦
book 諏訪 敦
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始めよう! NFTアートカレッジ〈11〉
Adam by GMO
日本近代洋画のミカタ〈6〉
本気の戦争画
ART CAFÉ
GALLERY'S PLAZA
最新号PICK UP
ビアズリーの血脈

原田マハ氏蔵 撮影:広瀬達郎(本誌)
グラフィックに興味を持っていて、その名を知らない人はいないだろう。
オーブリー・ビアズリー(1872~98)。19世紀末のイギリスで、26年にも満たない生涯のうち、画家としての活動はわずか5年ほど。
けれど、その短い制作期間に生み出された作品のイメージは、印刷文化隆盛の時代の波に乗ってまたたく間に世界中にひろがり、ビアズリー本人が憧れた日本でも20世紀初頭には雑誌に掲載されるなど、熱狂的に迎え入れられた。切り落とされた愛しい男の首を掲げその唇にキスしようとするサロメ像に代表される、背徳とエロスの匂いをまとったイメージは「奇想」と形容され、目にした人々の網膜から侵入し、意識の底へと沈殿していった。
まもなく日本で久方ぶりとなるビアズリーの大規模展が三菱一号館美術館で始まる。私たちの中に潜伏していたビアズリー熱が、ふたたびうずき出しそうだ。戯曲『サロメ』の作者オスカー・ワイルドとビアズリーを巡る小説『サロメ』(2017年)を書いた作家・原田マハさんは、本誌の巻頭エッセイで〈彼(ビアズリー)はまちがいなく現代の日本の一流の漫画、映画、ファッションにも、影響を与え続けています〉と語る。そしてじっさいに漫画家・坂本眞一さんは特集末のエッセイで、ビアズリーに対して感じる〈嫉妬〉を告白。100年を超える時を経てなお私たちの中に流れる血脈を、実感してください。
この号の誌面
編集長から
短くも激しく燃えた ビアズリーの芸術と生涯
西洋の短命画家というと、ゴッホ(37歳没)やラファエロ(同)、モディリアーニ(35歳没)が思い浮かぶけど、28歳没のエゴン・シーレと比べれば彼らですら長生き? さらにオーブリー・ビアズリーに至っては25歳没……。画家としての活動歴はわずか5年である。しかし、それはなんと豊饒な5年間だったことか。
特集「ビアズリー 背徳のモノクローム」では、オスカー・ワイルドの戯曲「サロメ」の挿絵をはじめとする、ビアズリーの暗黒美の世界へご案内する。全盛期の大英帝国の文化的活力を背景に生まれたビアズリー芸術は、妖しいエロスに加えて悪ふざけと紙一重の諧謔に溢れる。結核による早世を覚悟せざるを得なかった画家の“末期の眼”がもたらした凄絶な表現性は、じつは現代日本のマンガの中にも脈々と受け継がれている。
第2特集は坂本龍一。開催中の坂本龍一展の舞台裏について、坂本とコラボしてきた高谷史郎と岩井俊雄の両氏に話を聞いた。
芸術新潮編集長 高山れおな
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