新潮社

吉本ばなな『キッチン』刊行30周年 『キッチン』と私 思い出・エピソード大募集

私がこの世でいちばん好きな場所は台所だと思う──

あなたと『キッチン』をめぐる物語をお寄せください。
吉本ばななは、皮膚やかたちではなく、
はじめから人のこころを見ているような気がする。
糸井重里
あんなに澄んだ小説は、あとにも先にも出会ったことがない。
出てくる人みんな、一生懸命生きていて、こちらまで照らされる。
綿矢りさ
ただ生きている。
それだけの事を、こんなにも褒めてくれるのは、
この物語だけだと思う。
木村文乃

初めて読んだちゃんとした小説で
母から紹介されました。
当時中学一年生。私の小説を読む、というものに対する姿勢、傾向に大きな影響を与え、小説を読む、ということが最大の娯楽になったきっかけです。
今でもばななさんの小説が読めるのが幸せです。

いつか好きな人ができたら
あれぐらい強烈な形でカツ丼を届けられる人間になりたいと思っています。

南部屋

キッチンはは
ふわふあするような
ふしぎな空気感の感じられる本
わたしにとっては新しい本でした
わたしの中
奥底にあるどこかさみしい気持ち
他人とは分かち合えないなにかが
が癒されるような
ひととは違う感覚に
分かち合えないさみしさに
そっと手を触れてもらったような
そんな本でした
ひとと違うことで引け目を感じる自分が許されるような
ほっとできる本でした

ゆきはな

出会いは…なんだったろうか?確か、電車に乗って通っていた習い事の帰り道。楽しみの一つにしていたレンタルショップで映画を借りて、不思議な3人の関係に、まだ子どもだった私はドキドキして。翌週には、これまた楽しみの一つの中古本屋さんで購入したんだった。
だから、お小遣いが少なかったあの頃に、初めて買ったハードカバーの「キッチン」。だいぶ古びた風合いで、今も我が家の本棚に。

naokoara

初めて読んだ、吉本ばななさんの小説です。
なんて、すっごく普遍的ですが、これで吉本ばななさんのことがすっごく、大好きになりました。
これまで小説を読むのがなんとなく苦手で、ハウツー本やら新書やらを読んでいたのですが、この本に出会って小説を読むのが楽しくなりました。
「小説を読み返す」なんて、生まれてこのかた一度もなかったのですが、キッチンは、吉本ばななさんの作品だけは何度も何度も読み返しています。
この作品がきっかけで吉本ばななさんの作る世界観にもっと触れたいと思い、たくさんの素敵な世界へ連れて行っていただきました。
せつなくて はかなくて 愛であふれていて うつくしい。
いくつになっても、ずっとそばにいてほしい一冊です。
ありがとう、出会えてよかった。

この本を読んで、カツ丼が好物になった
しんどい時『風邪は今がいちばんつらい』と繰り返し唱えて乗り越えた
今、いちばんしんどい
またこの物語に出会ったことは運命ではないかと思う

台所で眠ったみかげの真似をして、私もたまにキッチンに寝転びます。うつ伏せになって、かつ丼を背に旅館の壁を登ってくみかげを思ってちょっと笑います。だからなんだって話なんですが『キッチン』に、ばななさんに、お礼をいいたくて投稿しました。ありがとうございます。これからも何回も読み返します。

wiper

漠然と感じていた何が、文字になって表現されたことに驚いた。時によって、打たれる感情が異なる不思議な本だと思う。
愛されて育ったのに、いつも寂しかった。

Neo

最後の家族を失った深い悲しみを涙にした末、ゆういちに「ねむくて。」と一言告げるシーン。
崖っぷちを生きる辛さと、その楽しさを心に刻む、夜道のシーン。
ただ生きようと伝えるために、一緒にカツ丼を食べるシーン。
全てのシーンが孤独を背中合わせに生きる毎日に潜む温もりに気付かせてくれる、お守りのような本です。
この読書は、最高の食事。
本当に、本当に大好きです。

こびと

私の家族にはあまり読書の習慣がなかったが、それでも本棚には「キッチン」があった。だからと言ってあえて読むこともしなかった私が「キッチン」に再会したのは、中学2年生の頃だ。中2男子なんてまだまだ子どもで、休み時間は校庭へ飛び出しドッジボール。そんな中、隣の席の男の子は、日差しが差し込む窓際で一人、本を読んでいた。彼が手にする「キッチン」が私にはどうしても気になった。
それから、私とその男の子の恋愛はなんだかんだで7年と半年続いた。7年の間に私の本棚には沢山の本が並んだ。みかげたちが食べたようなカツ丼が食べたくて、美味しいカツ丼屋さんを二人で探してみたりもした。
あれから私はいくつかの恋をして、別の人と結婚し、趣味も増えた。それでもあの頃のキラキラした想いがふと浮かんでくるときがある。少し疲れたなぁと思うとき、背中を押してほしいとき、結局手にするのは「キッチン」なのだ。

青子

キッチンを初めて読んだのは26歳の時。いい歳して愛も恋もまだわからないけど大事な人はたしかにいて、人との繋がり方や自分の居場所にはいろんな形があってよくて、周りの人をもっと大事にしたいと思えました。しばらく連絡を取っていない、大切ですこし緊張する人に連絡してしまいました。

いち

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