ホーム > 雑誌 > 雑誌詳細:波 > 雑誌詳細:波 2007年3月号

波 2007年3月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2007/02/25

発売日 2007/02/25
JANコード 4910068230379
定価 105円(税込)

志水辰夫『青に候』
佐々木 譲/時代小説の枠を超えた物語

有吉玉青『ティッシュペーパー・ボーイ』
亀和田 武/心温まる、ふわっと、透明な世界

日和聡子『火の旅』
荒川洋治/新しい旅

対談[柳瀬尚紀『日本語は天才である』刊行記念対談]
穂村 弘×柳瀬尚紀/日本語さん、さあ革命です

岡田利規『わたしたちに許された特別な時間の終わり』
陣野俊史/細部のきらめきこそが小説をつくる

宮木あや子『花宵道中』
三浦しをん/希望が生まれくるところ

貫井徳郎『ミハスの落日』
村上貴史/切れ味鋭い短篇の魅力

松尾由美『九月の恋と出会うまで』
大森 望/知的でキュートな極上の時間差ロマンス

道尾秀介『片眼の猿―One-eyed monkeys―』
千街晶之/距離と錯覚

北上次郎編『青春小説傑作選 14歳の本棚』(新潮文庫)
北上次郎/中学生小説叢書を編みたかった

相倉久人『新書で入門 ジャズの歴史』(新潮新書)
相倉久人/三〇年ぶり、二度目のトライ

デイヴィッド・ミッチェル『ナンバー9ドリーム』(新潮クレスト・ブックス)
高橋源一郎/夢の国に紛れ込んで

バリー・ユアグロー『たちの悪い話』
岸本佐知子/ギヒヒの効能

杉本秀太郎『京都夢幻記』
猪木武徳/己を語らずして己を語る

橋本 治『ひらがな日本美術史7』
橋本 治/ビジュアルで日本史のあらすじを書く

佐伯一麦『石の肺―アスベスト禍を追う―』
黒井千次/「ぼく」という被験者

田村明子『氷上の光と影―知られざるフィギュアスケート―』
田村明子/フィギュアスケーターの生き様

小林登志子『五○○○年前の日常―シュメル人たちの物語―』(新潮選書)
草野 仁/粘土板はタイム・マシン

コラム
新潮文庫の海外エンタテインメント

連載
安住洋子/日無坂 第3回
赤川次郎/ドイツ、オーストリア旅物語 第24回
北原亞以子/父の戦地 第6回
佐野洋子/シズコさん 第15回
大平 健/治療するとカワイクなります。 第8回
日高敏隆/猫の目草―森と林
宮城谷昌光/古城の風景 第45回 久野城
花村萬月/百万遍 流転旋転 第3回
保阪正康/即位と崩御 第3回
木田 元/反哲学入門 第10回
山本一力/研ぎ師太吉 第26回

・編集室だより ・新潮社の新刊案内 ・編集長から ・カット:水上多摩江

編集長から

 今月の表紙の筆蹟は、二十七日に、個人的な快・不快を基準に「倫理的問題」を考え直していくエッセイ集『哲学者というならず者がいる』が刊行される中島義道氏。表紙の写真は、氏が教授を務める、電気通信大学の研究室の扉を写したものです。
 昨年、吉川英治文学新人賞を受賞した、今野敏氏のベストセラー小説『隠蔽捜査』がドラマ化され、全国テレビ朝日系土曜ワイド劇場三十周年記念番組として、三月十日(土)に放送されます。主人公の警察庁のキャリア竜崎伸也には、陣内孝則、同じくキャリアで警視庁刑事部長の伊丹俊太郎には柳葉敏郎という豪華キャストです。主人公の竜崎伸也は、四十六歳、東大卒、警察庁長官官房総務課長を務めるキャリア。連続殺人事件のマスコミ対策に追われる竜崎は、警察組織を揺るがす事件の真相に気がつく。保身にはしる警察庁上層部、上からの命令に苦慮する現場指揮官、混乱する捜査本部。自らの正義をあくまでも貫き、窮地に陥る竜崎。孤立無援の彼は、組織の威信を守りとおせるのか。この竜崎を、陣内孝則さんが、どのように演じるのか。とても楽しみです。また、『隠蔽捜査』の続編もこの春刊行される予定です。竜崎ファン、伊丹ファンのみなさん、もうしばらくお待ちください。
 第五十八回読売文学賞(読売新聞社主催)の評論・伝記賞を嵐山光三郎氏の『悪党芭蕉』が受賞しました。第三十四回泉鏡花文学賞とのダブル受賞となりました。同じく、読売文学賞の戯曲・シナリオ賞を、「新潮」一月号に掲載された「ロープ」で野田秀樹氏が受賞しています。
 本誌108頁(書評:粘土板はタイム・マシン)の、草野仁さんのクエスチョンの答えは、(2)鯛焼きでした。

左はパン型、右は左の型で焼いたパンの模型。その全長は、二十九・五センチメートル。アレッポ博物館蔵。

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。