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波 2007年6月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2007/05/29

発売日 2007/05/29
JANコード 4910068230676
定価 105円(税込)

特集[江國香織『がらくた』刊行記念対談]
高橋源一郎×江國香織/究極の愛は言葉がつくる
[孔 枝泳『私たちの幸せな時間』刊行記念]
市川拓司/この物語には真実の力がある
【対談】孔 枝泳×蓮池 薫/手が触れただけのラブストーリー
[森 昌行『天才をプロデュース?』刊行記念インタビュー]
森 昌行/たけしはホントに天才か?

青木淳悟『いい子は家で』
大和田俊之/世界の風景を変える言葉たち

三浦しをん『きみはポラリス』
伏見憲明/まだ名前を持たない関係

石持浅海『人柱はミイラと出会う』
村上貴史/持ち味が結実した短篇集

岩宮恵子『思春期をめぐる冒険―心理療法と村上春樹の世界―』(新潮文庫)
頼 明珠/心の声を聞くジュークボックス

ダフネ・デュ・モーリア『レベッカ』
栗田有起/おそろしいのは女か、悲劇か

新潮選書特集
茂木健一郎インタビュー/知の総合格闘技を支えるメディアに

寺島実郎インタビュー/「進化させる本」の受け皿としての選書

養老孟司・内田 樹『逆立ち日本論』
池田清彦/大人の知恵

松田忠徳『江戸の温泉学』
森 行成/温泉を現代に復元した労作

小和田哲男『名城と合戦の日本史』
諸田玲子/知将たちの合戦、武将たちの城

中島岳志インタビュー/文芸の雰囲気を持った選書を

寺島実郎『二十世紀から何を学ぶか』(上・下)
山内昌之/一九〇〇年への旅を振り返る

津田正夫、奥本大三郎監修『ファーブル巡礼』
安野光雅/サン・レオンでの出会い

大江健三郎『核時代の想像力』
川本三郎/同時代を生きる作家

新潮選書 ベスト・セレクション 2007

新潮社出版企画部編「塩野七生『ローマ人の物語』スペシャル・ガイドブック」
スペシャル・ガイドブック編集部/『物語』の中へ出発!――古代ローマ探訪記

東郷和彦『北方領土交渉秘録―失われた五度の機会―』
手嶋龍一/「亡命の書」として読まれるべき対ロ外交の記録

共同通信社憲法取材班『「改憲」の系譜―9条と日米同盟の現場―』
森 達也/ネコと麻婆豆腐と改憲と

徳本栄一郎『英国機密ファイルの昭和天皇』
半藤一利/歴史の欠落を埋めた英国への視点

上原善広『聖路加病院訪問看護科―11人のナースたち―』(新潮新書)
上原善広/「日常での死」を見つめる訪問看護の現場

大江健三郎『大江健三郎 作家自身を語る』(聞き手・構成 尾崎真理子)
沼野充義/大江山脈をすがすがしく見晴らせば

コラム
新潮文庫の海外エンタテインメント
とんぼの本編集部通信

連載
北原亞以子/父の戦地 第9回
木田 元/反哲学入門 第13回
赤川次郎/ドイツ、オーストリア旅物語 第27回
花村萬月/百万遍 流転旋転 第6回
佐野洋子/シズコさん 第18回
大平 健/治療するとカワイクなります。 第11回
日高敏隆/猫の目草―カエルたち
宮城谷昌光/古城の風景 第48回 高天神城
保阪正康/即位と崩御 第6回
安住洋子/日無坂 第6回

第二十回三島由紀夫賞・山本周五郎賞決定発表

・編集室だより ・新潮社の新刊案内 ・編集長から ・カット:水上多摩江

編集長から

 今月の表紙の筆蹟は、伊丹十三さん。伊丹さんが「お葬式」で監督デビューをはたしたのは、一九八四年、五十一歳のときでした。デザイナー、俳優、エッセイストなどの分野でそれぞれ一級の仕事を残してきた伊丹さんは、以降そのすべてを映画に注ぎ込み、「タンポポ」「マルサの女」「あげまん」など十作の映画を残しました。それは映画による卓越した日本人論であり、多くの観客動員を誇るエンターテインメントでした。伊丹さんが惜しまれつつ世を去ってから十年。伊丹映画を支えた俳優やスタッフ四十三人の熱い証言を収めた『伊丹十三の映画』がこのたび刊行されました。一九八〇~九〇年代の日本映画界を独走した伊丹映画のヒットの秘密、監督・伊丹十三の演出方法、尋常ならざる細部へのこだわりなど、これまで語られることのなかったエピソードが満載の一冊です。表紙の原稿は、同書にも収録されている映画への思いを綴った「自問自答」形式のインタビューです。
 五月十五日に、縁の地、愛媛県松山市に伊丹十三記念館がオープンしました(館長は宮本信子さん、設計は中村好文さん)。多才だった伊丹さんの「十三の素顔」に迫る常設展示室から、映画「お葬式」のセットを再現した企画展示室まで、伊丹十三への愛あふれるスタッフによる、信じられないほど細かな仕掛けと居心地の良い空間が両立したすてきな記念館です。ぜひお運びください。
 六四頁でお知らせ致しましたように、第二十回三島由紀夫賞山本周五郎賞(主催・新潮文芸振興会)の受賞作が決定しました。
 三島由紀夫賞が、佐藤友哉氏の『1000の小説とバックベアード』(新潮社)に、山本周五郎賞は、恩田陸氏の『中庭の出来事』(新潮社)、森見登美彦氏の『夜は短し歩けよ乙女』(角川書店)、の二作に決定しました。
 三島賞、山本賞それぞれの選考結果と各選考委員の選評は、三島賞は「新潮」七月号誌上(六月七日発売)に、山本賞は「小説新潮」七月号誌上(六月二十二日発売)に掲載されます。
 審査の対象を短篇小説とし、その年度における最も完成度の高い作品に授賞する川端康成文学賞(主催・川端康成記念会/後援・新潮社)が、小池昌代氏の「タタド」(「新潮」平成十八年九月号)に決定しました。この作品を収録した短篇集『タタド』は、小社より七月に刊行される予定です。

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。