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特集[塩野七生『十字軍物語2』刊行記念]

波 2011年4月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2011/04/01

発売日 2011/04/01
JANコード 4910068230416
定価 105円(税込)

特集[塩野七生『十字軍物語2』刊行記念]
伊奈久喜/伝統的な十字軍理解に挑戦
『十字軍物語』シリーズ キーパーソン相関図

[畠中 恵『ちょちょら』刊行記念]
【インタビュー】畠中 恵/武士の生活、覗いてみませんか?
吉田伸子/おぉ、遂に武家ものの登場だ!

沢木耕太郎『あなたがいる場所』
角田光代/「私」になるための決意

安部ねり『安部公房伝』
近藤一弥/新しい伝記の形

[新潮文庫 新年度スタート特別対談]
高杉 良『人事異動』(新潮文庫)
湯谷昇羊『「できません」と云うな―オムロン創業者 立石一真―』(新潮文庫)
高杉 良×湯谷昇羊/理想の経営者とは、サラリーマンの生き方とは

中原昌也『死んでも何も残さない―中原昌也 自伝―』
陣野俊史/着地点が最初に用意されることはない

朽木ゆり子『ハウス・オブ・ヤマナカ―東洋の至宝を欧米に売った美術商―』
山下裕二/「山中商会」とはいかなる存在だったのか

河毛俊作『一枚の白いシャツ―男、45歳からの服装術―』
中野香織/かっこよすぎる。

川村明子『パリのビストロ手帖』
渡辺有子/20軒にこめられたもの

野地秩嘉『サービスの達人たち 日本一の秘書』(新潮新書)
野地秩嘉/できそうで、できない「最高のサービス」とは?

トマス・ピンチョン『V.(上・下)』(トマス・ピンチョン全小説)
若島 正/青春の『V.』

斎藤 環『「社会的うつ病」の治し方―人間関係をどう見直すか―』(新潮選書)
内海 健/最後にたどりつく処方は「人薬」

第23回日本ファンタジーノベル大賞作品募集
第8回新潮エンターテインメント大賞作品募集

コラム
「考える人」─未曾有の国難の中で
とんぼの本編集部通信
三橋曉の海外エンタ三つ巴

連載
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第13回
吉川 潮/【対談】寿限無の言い分 三遊亭歌之介(後篇)
山折哲雄/長谷川伸と日本人 第16回
佐木隆三/わたしが出会った殺人者たち 第11回
阿部和重/幼少の帝国 成熟を拒否する日本人 第5回
片山杜秀/未完のファシズム 第7回
蓮池 薫/拉致と決断 第12回
小林朋道/ヒト、動物に会う 第11回
三田 完/モーニングサービス 第8回

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

編集長から

三月一一日に起こった東北地方太平洋沖地震と津波の影響により、各地で甚大な被害が出ています。被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。皆様の安全と一日も早い復興をお祈り申し上げます。
◇今月の表紙の筆蹟は、新潮文庫から『新三河物語』(上・中・下)、『古城の風景III』が刊行された宮城谷昌光氏。表紙に写っているのは、本誌に連載された「古城の風景」の原稿と連載中に誌面を飾った原田維夫氏の版画です。「古城の風景」は、本誌で七年以上も連載された、歴史の興亡を見ていた百以上の古城・古戦場を巡り、往事の武将たちの宿運と哀歓に思いを馳せる歴史紀行エッセイです。また、『新三河物語』は、桶狭間合戦に始まる徳川家康の覇業の真実を描いた歴史巨編。徳川家康の覇業の陰で身命を賭して奉公を続けた大久保一族の宿命を通して、かつてない家康像を完成させました。ちなみに、今年は、この作品、そして前作の『風は山河より』にも登場する徳川家康の祖父、松平清康の生誕五〇〇年に当たります。
 新潮文庫ではこのほかにも、中国春秋期、卓越した智謀と比類のない徳望で斉の危機を救った晏弱、晏嬰父子の波乱の生涯を描く『晏子』(全四巻)、中国戦国時代の名将・楽毅の生涯を通して「人がみごとに生きるとはどういうことか」を描いた『楽毅』(全四巻)、秦の始皇帝没後の惑乱の中で、一人信義を貫いた田横の生涯を描いた『香乱記』(全四巻)、才気煥発の青年范雎が、大国秦の名宰相となり、戦国時代に終焉をもたらすまでを描く『青雲はるかに』(全二巻)、恋物語六篇を収録する『玉人』、「史記」に溢れる人間の英知を探るエッセイ『史記の風景』など、古代中国を舞台にした歴史小説、エッセイも好評発売中です。
 雄渾な詩情の中に大いなる歴史の地平を拓く宮城谷歴史文学の世界を、この機会にご堪能いただければ幸いです。

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。