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[「波」500号記念特集]文士たちの筆蹟

波 2011年8月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2011/07/27

発売日 2011/07/27
JANコード 4910068230812
定価 105円(税込)

[「波」通巻500号記念特集]
坪内祐三/「これは楽しい夢」のような雑誌
重松 清/一九八三年の「波」

【刊行記念インタビュー】

金原ひとみ『マザーズ』
金原ひとみ/母であることの幸福と、凄まじい孤独。

内田康夫『黄泉から来た女』
内田康夫/「女性」たちは美しく、けれども、恐ろしい──

古川日出男『馬たちよ、それでも光は無垢で』
古川日出男/いま、馬たちは駆け出した

帚木蓬生『蠅の帝国―軍医たちの黙示録―』
帚木蓬生/軍医たちに捧げるレクイエム

乾 ルカ『四龍海城』
吉田伸子/心の奥深くにつんと届く棘

トマス・ピンチョン『競売ナンバー49の叫び』(トマス・ピンチョン全小説)
山崎まどか/扉を開ける鍵

【畠中 恵「しゃばけ」シリーズ第10弾『やなりいなり』刊行記念対談】
恩田 陸×畠中 恵/悩んでいるのは、自分だけじゃない

庄野潤三『逸見小学校』
上坪裕介/庄野文学の原点

NHKスペシャル取材班『日本海軍400時間の証言―軍令部・参謀たちが語った敗戦―』
笹 幸恵/本当の“反省”とは何なのか

[岩瀬達哉『血族の王―松下幸之助とナショナルの世紀―』刊行記念特集]
【インタビュー】岩瀬達哉/「前提」を取り払って描く
イッセー尾形/自分の身体を通した昭和史

山口由美『百年の品格 クラシックホテルの歩き方』
石川次郎/魔法の場所

長沼 毅『形態の生命誌―なぜ生物にカタチがあるのか―』(新潮選書)
佐藤勝彦/生物は、神様の「カタチ」遊びで作られた?

高濱正伸・監修『東大生が教える ぐんぐん「伸びる子」を育むノート術』
浦野敏裕/大人にも役立つ「凄い小学生ノート」

渡辺 実『都市住民のための防災読本』(新潮新書)
渡辺 実/「想定外」とはもう言わない

中村 計『佐賀北の夏―甲子園史上最大の逆転劇―』(新潮文庫)
岩崎夏海/なぜ野球にはマンガのような展開がよく起こるのか?

[「波」500号記念特集]文士たちの筆蹟

コラム
「考える人」─梅棹忠夫の人間的な魅力
とんぼの本をよむ
三橋曉の海外エンタ三つ巴─特別篇─

第8回新潮エンターテインメント大賞作品募集

連載
阿部和重/幼少の帝国 成熟を拒否する日本人 第9回
蓮池 薫/拉致と決断 第16回
斎藤明美/高峰秀子の言葉 第2回
佐木隆三/わたしが出会った殺人者たち 第15回
永田和宏/河野裕子と私 歌と闘病の十年 第3回
片山杜秀/未完のファシズム 第11回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第17回
吉川 潮/【対談】寿限無の言い分 桂 三枝(後篇) 最終回
三田 完/モーニングサービス 最終回

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

編集長から

◇「波」の編集室には創刊以来のバックナンバーを一年ごとにまとめて、厚表紙の合本として保存してあります。創刊年の一九六七年、五木寛之『蒼ざめた馬を見よ』、大江健三郎『万延元年のフットボール』などの作品がベストセラーとなっており、新潮社の本でも有吉佐和子『華岡青洲の妻』が五十万部を突破するなど、文芸出版の世界は賑っていました。
 その年の合本をめくっていたところ、当時のこの欄にあたる「波のたより」というコーナーに先輩編集者が記した文章が目に留まりました。「世界も人生も、こんなに眺望のきかない時があったろうか。けれど、あるかなきかの光明をめがけてでも、私たちの舟は漕ぎ出してゆかねばなるまい」(一九六七年一〇月号)。
 まるで現在を語っているような言葉で、驚きを覚えました。通巻五百号を迎えた今年、日本は大きな危機に直面し、出版界もまさに眺望のきかない時を迎えようとしています。その中で、人生にささやかでも光明をもたらしてくれる読書という時間を充実させるために、役立つような雑誌であり続けたいと、改めて強く願っています。今後ともご愛読いただきますよう、お願い申し上げます。
◇今月の表紙の筆蹟は、編集室で撮影しました。もちろん初の試みです。重松清さんからいただいた原稿の陰に写っているのが創刊号、その奥に積み重ねてあるのが前述のバックナンバーの合本です。重松さんには坪内祐三さんと共に、五百号記念のエッセイもお願いしました。お二人とも学生時代から「波」を読んでいたという稀有な読者で、今後の雑誌作りへの貴重な助言をいただいた思いです。
◇今月で吉川潮氏の連続対談「寿限無の言い分」、三田完氏「モーニングサービス」の二本の連載が終了いたします。いずれ小社より単行本として刊行の予定です。

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。