ホーム > 雑誌 > 雑誌詳細:波 > 雑誌詳細:波 2011年10月号

[今野 敏『転迷―隠蔽捜査4―』刊行記念対談]池上 彰×今野 敏/「正しく生きる勇気」が湧く小説

波 2011年10月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2011/09/27

発売日 2011/09/27
JANコード 4910068231017
定価 105円(税込)

[今野 敏『転迷―隠蔽捜査4―』刊行記念対談]
池上 彰×今野 敏/「正しく生きる勇気」が湧く小説

[『警官の条件』刊行記念インタビュー]
佐々木 譲/刑事とは、何をする者か。父は、何を伝えるか。

円城 塔『これはペンです』
沼野充義/現代文学の最前線を行く忍者

宇江佐真理『古手屋喜十 為事覚え』
梶 よう子/時をこえ、人の思いをつなぐ見世

[絲山秋子『不愉快な本の続編』刊行記念対談]
安藤礼二×絲山秋子/廃墟からの「続編」

諸田玲子『幽霊の涙―お鳥見女房―』
金子良次/命をつなぐ家族の絆

志水辰夫『待ち伏せ街道―蓬莱屋帳外控―』
吉野 仁/『深夜プラス1』を越えて

新野剛志『中野トリップスター』
西上心太/ツアコンヤクザの《旅》の行き着く先は?

[高杉 良『虚像』刊行記念特集]
【インタビュー】高杉 良/「失われた十年」を問う
中沢孝夫/経済小説の真骨頂

四方田犬彦・石井睦美『再会と別離』
坂野由紀子/50歳を過ぎて語られる記憶と友情

岩橋邦枝『評伝 野上彌生子―迷路を抜けて森へ―』
津島佑子/やはり一種の怪物だった

長山靖生『天皇はなぜ滅びないのか』(新潮選書)
長山靖生/皇統存続と日本人

冨田浩司『危機の指導者 チャーチル』(新潮選書)
阿川尚之/外交官の描いたチャーチル

中野 雄『指揮者の役割―ヨーロッパ三大オーケストラ物語―』(新潮選書)
宇野功芳/まことに内容充実の指揮者論

増田俊也『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』
平野啓一郎/そして、リヴェンジは果たされた

山村明義『神道と日本人―魂とこころの源を探して―』
山村明義/日本人の精神の原点に帰る

野町和嘉『ガンジス』
山折哲雄/死と再生のマンダラ空間を写す

読売新聞政治部『亡国の宰相―官邸機能停止の180日―』
玉井忠幸/民主党は同じ過ちを繰り返すな

溝口 敦『暴力団』(新潮新書)
溝口 敦/今こそ知っておきたい「暴力団」

中谷航太郎『ヤマダチの砦』(新潮文庫)
吉田伸子/物語に引き込む「腕力」!

コラム
「考える人」─トマトの水煮缶だけで本格イタリアン!
とんぼの本をよむ
三橋曉の海外エンタ三つ巴

小林秀雄賞・新潮ドキュメント賞 決定発表

連載
【新連載】津村節子/時のなごり 第1回
【新連載】中村うさぎ×池谷裕二/オトナのための脳科学 第1回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第19回
阿部和重/幼少の帝国 成熟を拒否する日本人 第11回
蓮池 薫/拉致と決断 第18回
斎藤明美/高峰秀子の言葉 第4回
永田和宏/河野裕子と私 歌と闘病の十年 第5回
片山杜秀/未完のファシズム 第13回
椎名 誠/ぼくがいま、死について思うこと 第2回
佐木隆三/わたしが出会った殺人者たち 第17回

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

編集長から

◇今月の表紙の筆蹟は、絲山秋子氏。写真の撮影場所は群馬県高崎市にある、ご自宅の仕事部屋です。爽やかな風が吹き込む執筆デスクで揮毫していただいたのは、新作『不愉快な本の続編』の一節。全編が主人公の独白調で語られていく物語の中の、印象的な一言です。
◇佐々木譲氏と今野敏氏。昨今、大人気の警察小説の中でもひときわ密度の濃い作品で読者を魅了し続けているベテラン二人の新刊が、同時に発売されました。作品の内容につきましては本文の対談とインタビューおよび中綴特集ページをお読みいただきたいのですが、刊行を記念してお二人によるトークショーとサイン会が十月十日(月・祝)午後三時から、東京・千代田区の丸善丸の内本店で行われます。意外にも対談では初顔合わせとのこと、エキサイティングな話が期待できそうです。お問い合わせと予約は、03-5288-8881(丸善丸の内本店和書グループ)までお願いいたします。
◇震災後『三陸海岸大津波』(文春文庫)がベストセラーとなるなど、このところ吉村昭氏の作品が注目を集めています。細部にいたるまで毫もゆるがせにせず取材し、自然や人間の真実に迫り続けた氏の作品の価値は時を経ても減じないどころか、不確実な情報や言論が飛び交うこの時代にこそ輝きが増していく感があります。十月一日(土)には、テレビ朝日系で吉村氏原作(新潮文庫)のドラマ『光る壁画』が放映されます。終戦直後、世界に先駆けて胃カメラの開発に取り組んだ日本の外科医と技術者たちの情熱溢れる姿を描く物語です。
 吉村氏が亡くなるまでの闘病の日々を綴った夫人の津村節子氏の『紅梅』(文藝春秋)も評判になっていますが、津村氏には今月からエッセイの連載をお願いしました。第一回目には、仕事一筋だった吉村氏らしいエピソードが描かれています。

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。