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[瀬戸内寂聴『爛』刊行記念特集]

波 2014年1月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2013/12/27

発売日 2013/12/27
JANコード 4910068230140
定価 105円(税込)

塩野七生『皇帝フリードリッヒ二世の生涯(上・下)』
本郷和人/歴史は顔を見ること、鏡を見ることから始まる

[瀬戸内寂聴『爛』刊行記念特集]
【インタビュー】瀬戸内寂聴/九十一歳で描く女たちの生と性
伊藤比呂美/どんな女もみな娘である

アリス・マンロー『ディア・ライフ』(新潮クレスト・ブックス)
松家仁之/語りと記憶が生みだすもの

山田太一『月日の残像』
荒川洋治/全体のための印象

【最新第八巻刊行記念インタビュー】
船戸与一『南冥の雫―満州国演義8―』
船戸与一/敷島四兄弟が見た満州

佐藤友哉『ベッドサイド・マーダーケース』
佐藤友哉/アウトサイド・レアケース~中途半端な僕らの逆襲~

柄澤 齊『黒富士』
中条省平/富士を舞台に描く現代の黙示録

北原亞以子『雨の底―慶次郎縁側日記―』
畠中 恵/感謝と資料

群 ようこ『おとこのるつぼ』
伊藤まさこ/やるせない気持ちのやりどころ

【椎名誠『殺したい蕎麦屋』刊行記念対談】
東海林さだお×椎名 誠/書いたエッセイが5万枚!

小池博史『からだのこえをきく』
茂木健一郎/「わが闘争」の「百年の孤独」への昇華

小田嶋 隆『ポエムに万歳!』
橋本麻里/幼児的な情動のダダ漏れ

二階堂正宏『恩讐の彼方に』
二階堂正宏/「それは何かの勘違いだと思います」

清水 潔『殺人犯はそこにいる―隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件―』
有田芳生/足利事件の真犯人がそこにいる!

野澤延行『獣医さんが出会った 愛を教えてくれる犬と幸せを運んでくる猫』
江戸家まねき猫/動物が「幸せ」と「ご縁」を運んでくる

フレッド・ボーゲルスタイン『アップルvs.グーグル―どちらが世界を支配するのか―』
成毛 眞/IT業界の将来を決める「選ばれし二社」の対立構造

にわあつし『東海道新幹線 運転席へようこそ』(新潮文庫)
有栖川有栖/運転席という名の舞台裏

野口武彦『明治めちゃくちゃ物語 維新の後始末』(新潮新書)
野口武彦/「歴史好き」という社会現象

内山 節『新・幸福論―「近現代」の次に来るもの―』(新潮選書)
藤原章生/「個」ではなく「関係」を生きる時代

井上 亮『天皇と葬儀―日本人の死生観―』(新潮選書)
原 武史/葬儀から見た近代天皇制の「残滓」

[山本周五郎と私]
横山秀夫/三十年ぶりの再読

コラム
考える人─こころよく働く人々
三橋曉の海外エンタ三つ巴

連載
【新連載】木皿 泉/カゲロボ 第1回
【短期集中連載エッセイ】海堂 尊/スチャラカ三都物語 最終回
嵐山光三郎/芭蕉という修羅 第10回
高橋秀実/とかなんとか言語学 第25回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第46回
池上 彰/超訳 日本国憲法 第10回
石原千秋/漱石と日本の近代 第7回
堀本裕樹、穂村 弘/俳句と短歌の待ち合わせ 第5回
吉田篤弘/ソラシド 最終回
久間十義/デス・エンジェル 第6回
鹿島田真希/少女のための秘密の聖書 第16回
藤野千夜/D菩薩峠漫研夏合宿 第4回
津村節子/時のなごり 第28回

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

編集長から

◇今月の表紙の筆蹟は、塩野七生氏の新作『皇帝フリードリッヒ二世の生涯』(上・下)の冒頭に「読者に」と題して記された文章の一節です。『ローマ人の物語』全十五巻の執筆後、『ローマ亡き後の地中海世界』(全二巻)『十字軍物語』(全四巻)とキリスト教世界とイスラム教世界の相克を広大な視野で描いてきた塩野氏は、本作を「中世モノの真打ち」と称します。雄渾、進取、多才といった形容が想起されるフリードリッヒの生涯からは、中世という時代と格闘した男の姿が浮び上がってきます。そして、その発想と行動の全貌に迫る塩野氏の文章の行間からは「なぜこの後にルネサンスが起ってきたのか」という問いかけへの答が滲出しており、まさに時代を描ききった作品になっています。背景の写真は終焉の地であるカスティオ・フィオレンティーノという、もはや廃墟と化した村の入口に建立されたフリードリッヒの記念碑で、撮影したのは塩野氏のご子息アントニオ・シモーネ氏です。
◇小山田浩子さんの『工場』が第三十回織田作之助賞を受賞しました。「新進・気鋭の作家の単行本」を対象にした同賞ですが、デビューからまだ日の浅い新人が、しかも第一作品集で受賞したのは異例のことです。一月には雑誌(「新潮」二〇一三年九月号)発表時から文芸時評等で話題になり、今期芥川賞候補作になっている中篇「穴」を含む第二作品集の刊行が予定されています。
◇東山彰良さんの『ブラックライダー』が「このミステリーがすごい!2014年版」の国内部門で第3位に選ばれました。大森望氏が小誌で「世界水準」「必読」と強力な推薦の辞を並べてくれたこの作品は、発売以来「間違いなく本年度最大の衝撃作」(藤田香織氏)など、絶賛の声を浴びています。大災害で一度壊滅して、文明を回復する途上の世界を舞台に描かれた約六百頁の超弩級エンタメは、年末年始の読書にお薦めです。ちなみに、東山さんは同じ世界観に立脚した新たな物語を目下構想中だそうです。

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。