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[篠田節子『長女たち』刊行記念特集]

波 2014年3月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2014/02/27

発売日 2014/02/27
JANコード 4910068230348
定価 105円(税込)

[篠田節子『長女たち』刊行記念特集]
【インタビュー】篠田節子/家族愛という名の地獄
間室道子/長女たちは悲鳴をあげ、再生の道を探す

古井由吉『鐘の渡り』
大澤信亮/机の上

白洲正子『ほんもの―白洲次郎のことなど―』
和田尚久/夢から醒めたあとで

山崎豊子『約束の海』
大曽根幸太/山崎豊子さんの残したもの

【『いつまでも男と女 老いかたレッスン』刊行記念インタビュー】
渡辺淳一/上り坂も、下り坂も

窪 美澄『よるのふくらみ』
西 加奈子/苦しみに寄り添う

J・D・サリンジャー 村上春樹/訳『フラニーとズーイ』(新潮文庫)
柴田元幸/末っ子が「答え」を必要とするとき

ブライアン・エヴンソン 柴田元幸/訳『遁走状態』(新潮クレスト・ブックス)
古川日出男/こんな小説群があっていいのか?

前川 裕『酷―ハーシュ―』
吉野 仁/ざらざらした不気味さ

萩 耿介『極悪 五右衛門伝』
末國善己/現代を映し出す暗黒歴史小説

坂本 葵『吉祥寺の百日恋』
野崎 歓/気高い逸楽の友としての猫たち

【酒井順子『地震と独身』刊行記念対談】
内澤旬子×酒井順子/東京に地震が来る日、どこにいる?

小島慶子『解縛―しんどい親から自由になる―』
信田さよ子/娘たちにおくる希望の書

みつとみ俊郎『奇跡のはじまり―ある音楽家の革命的介護メソッド―』
石川 好/音楽の介護が導いた夫婦の「新生」

増田俊也『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか(上・下)』(新潮文庫)
増田俊也/僕の残りの人生は木村政彦先生からのプレゼント

D・カーネギー 東条健一/訳『決定版カーネギー 道は開ける―あらゆる悩みから自由になる方法―』
東条健一/幸せになるための技術書

松原隆一郎 堀部安嗣『書庫を建てる―1万冊の本を収める狭小住宅プロジェクト―』
田中真知/記憶と鎮魂の場としての書庫

冨手 淳『線路はつながった―三陸鉄道 復興の始発駅―』
高山文彦/三陸鉄道を全線復旧させた「社長の一言」

品田悦一『斎藤茂吉 異形の短歌』(新潮選書)
俵 万智/鑑賞の力、説得される喜び

ニコラス・ワプショット 久保恵美子/訳『レーガンとサッチャー新自由主義のリーダーシップ』(新潮選書)
中山俊宏/アングロ・サクソン指導者の政治的恋愛

小林朋道『ヒト、動物に会う―コバヤシ教授の動物行動学―』(新潮新書)
小林朋道/ヒトの脳と動物の関係

[山本周五郎と私]
西村賢太/自分にとっての読むべき作家

コラム
三橋曉の海外エンタ三つ巴
第一回新潮ミステリー大賞作品募集

連載
堀本裕樹、穂村 弘/俳句と短歌の待ち合わせ 第7回
嵐山光三郎/芭蕉という修羅 第12回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第48回
高橋秀実/とかなんとか言語学 第27回
池上 彰/超訳 日本国憲法 第12回
石原千秋/漱石と日本の近代 第9回
藤野千夜/D菩薩峠漫研夏合宿 第6回
久間十義/デス・エンジェル 第8回
鹿島田真希/少女のための秘密の聖書 最終回
森 まゆみ/子規の音 第2回
津村節子/時のなごり 第30回

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

編集長から

◇今月の表紙の筆蹟は、篠田節子さんです。篠田さんには小社が協力している「日本医療小説大賞」という文学賞(主催・日本医師会)の選考をお願いしていますが、新作『長女たち』に収録されている三作の小説は、いずれも生老病死に直結する「医療」が物語の展開に大きく関わってきます。作品の内容については特集をお読みいただきたいのですが、母娘の「真実」を抉る筆は深みと凄みを感じさせます。柔らかな冬の陽光が射しこむ写真は、東京郊外にある篠田さんの書斎です。一仕事終えた夕方にここでチェロを練習するのが日課になっていて、昨年からハイドンのハ長調協奏曲に一小節ずつ取り組んでいるという篠田さん。18歳の頃に弾きはじめたチェロの魅力は、「深い音色と曲の多さ」だそうです。
◇鹿島田真希さんの連載小説「少女のための秘密の聖書」が今月号で完結しました。ご愛読いただき、有難うございました。今秋、小社から単行本として刊行する予定になっています。来月号からは、「すえもりブックス」を設立して多くの美しい絵本や美智子皇后の講演録などを出版し、東日本大震災後は被災地の子どもたちに絵本を届ける「3・11絵本プロジェクトいわて」を立ち上げた作家・編集者の末盛千枝子さんが、波瀾万丈の半生を初めて語る自伝エッセイ「父と母の娘」がスタートします。どうぞお楽しみに。
◇1月号でご紹介した清水潔氏『殺人犯はそこにいる―隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件―』が発売以来、大きな反響を呼んで版を重ねています。ノンフィクション本の専門サイト「HONZ」ほか多くのメディアで取り上げられましたが、未解決事件をめぐる驚きの連続の取材経過をつぶさに記録した本書は、読みながら戦慄と悲憤を禁じえません。“司法国家”と呼ばれる日本の闇と病理を厳然と突きつける、まさに必読のルポルタージュです。
◇木皿泉さんの連載小説「カゲロボ」は今月、休載いたします。

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。