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[角田光代『平凡』刊行記念特集]【インタビュー】角田光代/「もし」から想像する、もうひとつの人生

波 2014年6月号

(毎月27日発売)

102円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2014/05/27

発売日 2014/05/27
JANコード 4910068230645
定価 102円(税込)

[角田光代『平凡』刊行記念特集]
【インタビュー】角田光代/「もし」から想像する、もうひとつの人生
星野博美/人生はやっぱり捨てたものじゃない

【辻村深月『盲目的な恋と友情』刊行記念対談】
藤田貴大×辻村深月/残酷さをエスカレートできる世界で

【国際アンデルセン賞作家賞受賞記念】
野上 暁/森羅万象とつながりあう上橋菜穂子の作品世界

志川節子『結び屋おえん 糸を手繰れば』
松田哲夫/江戸の町に迷い込む

勝山海百合『狂書伝』
南條竹則/文人たちの「癖(へき)」

辻井南青紀『縁結び仕り候―結婚奉行―』
山内昌之/金平娘の女子会

【『迷子の王様―君たちに明日はない5―』刊行記念インタビュー】
垣根涼介/人生はリストラのくり返し

麻見和史『特捜7―銃弾―』
香山二三郎/変貌する刑事小説

セス・フリード『大いなる不満』(新潮クレスト・ブックス)
円城 塔/「麻痺的不条理」の最良の使い手

ポール・オースター『闇の中の男』
藤井 光/「もう一つのアメリカ」の物語

【『身体巡礼』&『日本の身体』2冊刊行記念“非同席”対談】
養老孟司×内田 樹/未知の身体世界へ

松本章男『和歌で感じる日本の春夏』『和歌で愛しむ日本の秋冬』
松本章男/月の光は広沢の池

【『明治の表象空間』刊行記念インタビュー】
松浦寿輝/言葉のあらゆる領域を踏破する

グレン・グリーンウォルド『暴露―スノーデンが私に託したファイル―』
田口俊樹/国家と市民のプライヴァシー

沢田啓明『マラカナンの悲劇―世界サッカー史上最大の敗北―』
大住良之/たったひとつの試合がブラジルを変えた

中川翔子・編『にゃんそろじー』(新潮文庫)
角田光代/猫とはいったいにゃんであるのか

たかはしみき『東京ひよっ子3人暮らし』
たかはしみき/我が家の「こんにちは、赤ちゃん」

平川祐弘『日本人に生まれて、まあよかった』(新潮新書)
平川祐弘/「もてない日本人」から「世界にもてる日本人」へ

[追悼・渡辺淳一さん]
中村淳良/驚くばかりの創作欲

新潮選書フェア
【著者インタビュー】西成活裕/どの部分で誤解が起こっているのか、微分するとわかります。

西成活裕『誤解学』
高橋秀実/誤解する方程式

木村榮一『謎ときガルシア=マルケス』
小野正嗣/東洋の島国から捧げられた美しいたむけの花

仲正昌樹『精神論ぬきの保守主義』
橋本 努/二一世紀の新しい思想形態

武田 徹『暴力的風景論』
武田 徹/だれも同じ「風景」を見ていない

齋藤希史『漢字世界の地平―私たちにとって文字とは何か―』
品田悦一/漢字、この未知なるもの

新潮選書ベスト・セレクション2014

第二十七回三島由紀夫賞・山本周五郎賞決定発表

コラム
とんぼの本をよむ
三橋曉の海外エンタ三つ巴

連載
【新連載】津村記久子/やりなおし世界文学 第1回
嵐山光三郎/芭蕉という修羅 第15回
末盛千枝子/父と母の娘 第3回
木皿 泉/カゲロボ日記 第2回
池上 彰/超訳 日本国憲法 第15回
石原千秋/漱石と日本の近代 第12回
久間十義/デス・エンジェル 第11回
堀本裕樹、穂村弘/俳句と短歌の待ち合わせ 第10回
森 まゆみ/子規の音 第5回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第51回
藤野千夜/D菩薩峠漫研夏合宿 第9回
高橋秀実/とかなんとか言語学 第30回
津村節子/時のなごり 第33回

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

編集長から

◇今月の表紙の筆蹟は、辻村深月さんです。
 新刊『盲目的な恋と友情』は私立大学に通う二人の対照的な女子大生を主人公に、まさに書名通りに恋愛と友情が激しく絡み合い、嫉妬、惑溺、妄執といった感情を増幅させながらエロティックに、サスペンスフルに展開していく書下ろし作品です。写真は、この衝撃作を生みだしたご自宅の書斎を辻村さんご自身が撮影し、「自然と増えてしまった大好きなドラえもんのフィギュアに囲まれつつ、黒い話も白い話も、この場所で書いています」というメッセージとあわせて送っていただきました。
◇「リストラ請負人」を主人公にした垣根涼介さんの異色のお仕事小説「君たちに明日はない」シリーズが、五冊目の『迷子の王様』で完結しました。その刊行を記念して、サイン会が六月四日(水)19時から、東京千代田区の三省堂書店有楽町店で行われます(先着百名)。お問い合わせは、同店までお願いします(電話03-5222-1200)。
◇渡辺淳一さんがご逝去されました。タブーや旧弊を嫌い、常に自らの内奥に潜む情動を見詰め、掘り下げ続けた渡辺さん。穏やかな笑顔を浮かべながら発する言葉にはいつでも生を肯定し、鼓舞する気迫がこもっていて、聞く者も自ずと勇気づけられました。小誌に掲載させていただいたインタビュー記事などを読み返しても、作品への滾るような情熱が伝わってきます。「小説はそんな努力とか知識で書くものではない。もっと躯で書くものなんだと思っています」(一九八七年五月号)。「とにかく恋愛小説というのは気迫というか、熱い思いがないと書けない小説なんですね。その意味では一番消耗するジャンルだと思います」「恋愛小説には見識はいらない(笑)……それより著者自身が色気や好色をしっかりとわが内に携えておかないといけない。その実感が弛むとたちまち作品がぼけてしまう」(一九九九年十二月号)。全身恋愛小説家を貫いた渡辺さんのご冥福を、心よりお祈り申し上げます。

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。