[船戸与一『満州国演義』全九巻完結記念特集]
波 2015年3月号
(毎月27日発売)
発売日 | 2015/02/27 |
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JANコード | 4910068230355 |
定価 | 102円(税込) |
全巻内容紹介
蜂飼 耳/古典から生まれた新しい物語
清水義範『朦朧戦記』
南 伸坊/「団塊」に効く小説
中江有里/白い夢と黒い夢がくれるもの
青衣茗荷/「だれか探し」の行方
伊東 潤『死んでたまるか』
末國善己/懸命に生きている人たちへのエール
越川芳明/全体主義的国家のグロテスクな寓話
本谷有希子/やがて繋がっていく物語たち
仙川 環『隔離島―フェーズ0―』(新潮文庫)
東 えりか/絶海の孤島の秘密
小林裕美子『親が倒れた! 桜井さんちの場合』
藤田香織/「その日」の覚悟を促す、温かな家族漫画
グレッグ・ペンブローク『うちの子が泣いてるワケ』
くわばたりえ/泣き顔は心のバロメーター
渡辺 都『お茶の味―京都寺町 一保堂茶舖―』
永江 朗/お茶はゆっくり飲むのがいい
辰巳芳子『食に生きて―私が大切に思うこと―』
佐藤隆介/裏方の記
成毛 眞『メガ!―巨大技術の現場へ、ゴー―』
成毛 眞/巨大現場で出会った3人
今尾恵介『日本鉄道旅行地図帳 増結 乗りつぶしノート 第3列車』(新潮「旅」ムック)
梯 久美子/ふつふつとわき上がる「完乗」への野望
森本あんり『反知性主義―アメリカが生んだ「熱病」の正体―』(新潮選書)
竹内 洋/アメリカの反知性主義の根幹
米村耕一『北朝鮮・絶対秘密文書―体制を脅かす「悪党」たち―』(新潮新書)
米村耕一/「資本主義化」した庶民が握る北朝鮮の未来
ミランダ・ジュライ(岸本佐知子訳)/ジョー
津村記久子/やりなおし世界文学 第10回
ドリアン助川/ニューヨーク・サン・ソウル 第4回
石原千秋/漱石と日本の近代 第21回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第60回
木皿 泉/カゲロボ日記 第11回
森 まゆみ/子規の音 第14回
久間十義/デス・エンジェル 最終回
堀本裕樹、穂村弘/俳句と短歌の待ち合わせ 第19回
末盛千枝子/父と母の娘 第12回
津村節子/時のなごり 第42回
編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から
編集長から
◇河野多惠子さんがご逝去されました。これまで小誌にも対談、インタビュー、随筆などで数多くの機会にご登場いただいておりその都度、小説の執筆について峻烈な言葉を残されています。「……男女および男女の関係というものほど、誤解と偏見と、それから既成概念に縛られている世界はないと思います。私が男女のことばかり書くのはこの理由からで……」(一九七〇年七・八月号)「そして、小説の誕生は、十九世紀よりも谷崎時代、谷崎時代よりも今日、一層その面目を増している。個々の作品がより一層、異なる化け物として誕生する可能性は、いよいよ増えているからである」(七六年八月号)「今は人間関係にしても密室的な面があるでしょう? 密室性を壊すことが、この時代だとできるんです」(九〇年十二月号、吉行淳之介氏との対談)「殺人だの不倫だのがないと『何も起こらない』などと言うのは、人生を軽く考えているからでしょう」(二〇〇一年十二月号)。およそ四十年前に表紙に揮毫していただいた「すべての藝術は生きて在る歓びに始まる」という言葉を貫かれた河野さんのご冥福を、心よりお祈りいたします。
バックナンバー
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雑誌から生まれた本
波とは?
1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。
創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。
創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。
現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。