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いま注目の本! ガブリエル・ガルシア=マルケス/著、鼓直/訳『百年の孤独』

百年に一度の傑作を、五十年間お待たせしました!

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 店頭に並ぶや蜃気楼のように消えて話題になった本作。同名の人物が大量に出てくるとか、人物がなんの断りもなく生き返るらしいなどと都市伝説的に語られてきましたが、はじめから伝説的な作品だったわけではありません。1972年に出版された初訳版は絶版通告の前に立つはめになり、初版四千部が売り切れるまでに丸五年という長い歳月が過ぎ、恐らくこの本を最初に見出した新潮社の塙陽子さん(「波」8月号24ページに登場)は、飛ぶように文庫版が売れていく、遠い未来のことを予想できなかったにちがいありません。
 鼓直先生が鋭意翻訳中だった1970年、池澤夏樹さんは丸善洋書部の宮原隼人さんに薦められて忽ち夢中になり、その後長大な要約と詳細な家系図を作成。ご著書内で「読み解き支援キット」として発表してきましたが、このたび自由にダウンロードできるものとしてご提供いただけました。
「五十年も文庫化しないとは何事か」とお叱りを受けますが、ブエンディア一族の劇的な百年に比べれば半分。先人たちがこの作品を日本語で読めるよう汗をかいてきた長い時間を味わっていただき、ご容赦下さい。

波 2024年8月号「いま話題の本」より

著者紹介

ガブリエル・ガルシア=マルケスMarquez,Gabriel Garcia

(1927-2014)コロンビア、アラカタカ生まれ。ボゴタ大学法学部を中退し、新聞記者となって欧州各地を転々とした後、1955年に処女作『落葉』を発表。1967年『百年の孤独』によって一躍世界が注目する作家となった。『族長の秋』『予告された殺人の記録』『コレラの時代の愛』『迷宮の将軍』など次々と歴史的傑作を刊行し、1982年にはノーベル文学賞を受賞した。

鼓直ツヅミ・タダシ

(1930-2019)旧朝鮮生れ。東京外事専門学校卒業。神戸市外大、神奈川大などでスペイン語を講じながらボルヘス、アストゥリアス、カルペンティエール、コルタサル、ドノソ、ガルシア=マルケスなどの主要作品を翻訳し、ラテンアメリカ文学ブームを牽引した。法政大学教授や日本スペイン協会理事長を歴任。瑞宝中綬章、スペイン民功騎士十字章を受章。

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