川端康成文学賞
主催・公益財団法人 川端康成記念会 後援・株式会社 新潮社 発表誌:「新潮」
第42回 川端康成文学賞 受賞作品
生鮮てるてる坊主
「群像」 平成27年9月号
受賞のことば
捻挫と思われた足の怪我が、案外と面倒くさい骨折であるのが判明し、杖をついて歩きながら腐っていたある日、コンビニから帰って来た夫がくじに当たってビールのロング缶をもらったと喜んでいました。喜びのハードルの下がっていた私も一緒になって大喜び。そうしたら、その夕方、川端賞受賞の知らせを受けて、さらにさらに大喜び。しかし、夜になって熊本の地震のニュースが飛び込んで来て、その被害のすさまじさに息を呑むばかりとなりました。TV画面を見詰めながら私が思ったのは、一寸先の闇と光のこと。そして、一寸手前にあった闇と光のこと。そのはざまに確実に存在する私にしか見えないものを、この先も言葉にして行きたいです。
〔山田詠美氏略歴〕
一九五九年、東京生まれ。一九八五年、『ベッドタイムアイズ』で文藝賞を受賞し作家デビュー。一九八七年、『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で直木賞を受賞。他の著作に『風味絶佳』(谷崎潤一郎賞)、『ジェントルマン』(野間文芸賞)など。
第42回 川端康成文学賞 候補作品
呼び声、もしくはサンザシ | 金井美恵子 | |
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ふるさと | いしいしんじ | |
ある失踪 | 石原慎太郎 | |
三井愛子の悩み事 | 玄月 | |
禊 | 藤沢周 | |
生鮮てるてる坊主 | 山田詠美 | 「群像」 平成27年9月号 |
選考委員
過去の受賞作品
- 清心館小伝
- 私の批評
- 反対方向行き
- 旅のない