大人の判断だって?
それは、臭い物に蓋という古くて役立たずの官僚主義のことだ。
今必要なのは、保身のための方便じゃない。
どうしたら被害が最小限で抑えられるかという正しい危機管理なんだ。
『隠蔽捜査』同期の警視庁・伊丹刑事部長に対して
多くの犯罪者は弱者だという 考え方もある。社会的弱者が犯罪に走るのだと主張する者たちがいる。……冗談ではないと竜崎は思う。社会的な弱者のすべてが犯罪者になるわけではない。
自分が属する社会の約束事を守れない人間は、その社会に所属する資格はない。それがルールだ。
『果断』
公務員にとって出世は大切だ。出世すればそれだけ権限が増える。つまり、できることが増えるからだ。竜崎にとって出世というのは、それ以上でもそれ以下でもなかった。
だから、めでたいことでも何でもない。
『疑心』
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